義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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38居心地の悪い実家~エセルバートside

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僕の帰りをずっと待っててくれていると思ったのに、直ぐに邸を出て行ってしまった。


「どういうことだ」


「現在奥様はこのカスティージョ家の大黒柱です」

「は?」

アリアが何で大黒柱何だ。


「傾いたカスティージョ家を建て直すべく商人と交渉をされていります。本日の商談は借金を肩代わりしてくだりしてくださった方の依頼で商談を願われまして」

「アリアに商談だと」

「既にプリメーラ商会を筆頭に王都内の大商会と契約を結んでおられます」


「なっ・・・プリメーラ商会だと!」


プリメーラ商会は王都でも大きな商会で王宮に出入りが許されている。
隣国の王家とも渡りをつけている。

そんな相手と…


「奥様は商人のお心が解る方です。今では諍いのあったロベスペール家と和解され良いお付き合いをされておりますし」

「あのロベスペール家とか…」


邸を出る前にも怪訝そうな表情をしていた。
僕がロベスペール家を悪く言ったからなのか?


だがあの家は…


「奥様はメリッサ様が傷つけた令嬢に詫びを入れ、誠心誠意尽くされました。勿論最初は水をかけられたり罵倒を浴びせられ嫌がらせもありました」

「そんな…」

「ですが奥様は最後まで逃げられませんでした。私達を守ってくださりました…本当に素晴らしい方です。奥様がいらっしゃらなかったら私達はどうなっていたか」


カスティージョ家の窮地を救ったのはアリアだと誰もが口にする。


「だが…」

「エセルバート様、奥様はいまやこの邸で…いいえ社交界でも一目置かれる存在です。カスティージョ家の救世主でございます」

「あっ…ああ」


喜ぶべきなのに何故か喜べない。


「ジョイル様、奥様に花束届いております」

「え…」


豪華な百合の花束だった。
こんな豪華な百合の花束を贈れる貴族は限られている。


「これは…」


メッセージカードに描かれている紋章は騎士団の物だった。

何故…


「エレンディス様ですね。あの方も熱心ですね」

「それだけ奥様が魅力的だという事ですわ」


何故騎士団の団長である彼から手紙が届くんだ。


「後はプリメーラ商会の会長に、商業ギルドの副会長に大工ギルドのマイスターからも」

「順番に運んでくれ。優先するのを先に見ていただこう」


「はいはいどいてください!」

「通ります!」


「わぁ!」


贈り物を運ぶのは先ほど僕に無礼を働いた侍女達だった。

「おい!」

「邪魔です」

主人に向かってなんて口の利き方だ。
いかに僕が留守でも侍女の教育ができていないならまだまだだな。


アリアが帰ってきたら侍女の選び方も考えるように指導してやらなくてはと思っていたが。



八時を過ぎてもアリアは帰る事はなく僕はそのまま部屋で一人眠ってしまった。
そして翌朝にはアリアは既に邸にいなかった。


「奥様は何時もこの時間は外回りですよ」

冷ややかなめで見習い侍女に告げられてしまったのだった。


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