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14とある侍女の不満~エレナ
しおりを挟む私の名前はエレナ・シーベルト。
父は第三騎士団に所属し、母は文官秘書。
騎士としての生きて来た父を誇りに思う一方で私は貴族を毛嫌いしていた。
特に歪んだ貴族社会に家庭環境は異常だとも思っている。
そんな中、毛色の違うのが現在私が使える奥様だ。
百姓貴族出身の伯爵令嬢のアリア様。
奥様と呼ばずにアリア様と呼んでいるのはメリッサ様が面倒だからというのもあるけど、親しみを込めているというのもある。
平和な地方からこんな家に嫁がされたのはあの底意地の悪い奥様の策略だ。
なんせアリア様の後見人はシャドール侯爵夫人だ。
王族派筆頭のシャドール侯爵様は王族で、シャドール侯爵夫人は隣国の王族でもある。
血筋も申し分ないけど、馬鹿な貴族とは異なり本当に高貴な方だ。
私が嫌うのは権力で私達のような身分をねじ伏せる連中だ。
あの親子なんてまさにその通りだ。
対いするアリア様は貴族でありながら威張っていない。
そしてフリーシア伯爵家は騎士にも好意的に接し戦争が始まれば真っ先に食料や必要な物資を援助してくれた貴族だ。
ノブレス・オブリージュを大事にする貴族だ。
決して裕福ではないが、聡明な伯爵様は騎士を大事にしてくれる。
だからこそ私は数年前にこの邸に入るように命じられた時に迷いはなかった。
アリア様はこの歪んだ伯爵家で毎日必死に頑張っている。
だけどこの頑張りを評価しているのは使用人だけ。
一番質の悪いのはあの男だ。
「エレナ、アリアを見なかったか?」
「アリア様ならば煙突の掃除と、メリッサ様の下着を洗濯をなさってます」
「何だって…」
「その後メリッサ様の部屋の掃除にドレスの整理と、入浴の準備に…」
「待て待て!何でそんな事まで」
何処までも馬鹿な男。
優しい夫である事で自分は悪くないと思っている腰抜けだった。
「メリッサ様の命令です。アリア様に拒否権はございません」
「何を…」
「今さらではございませんか?エセルバート様も同意されたと聞いています」
昔から姑は嫁を指導すると称していけずをする。
平民の中ではもっと酷い事もあり、姑が嫁と認めなければ挙式も挙げさせずにいると聞くけど。
貴族でこれはあんまりだ。
「アリア様はずっと健気に耐えておられます。虐げられて笑顔ですわ」
「虐げ…」
「食事も同じテーブルでは許されず、健気ですわ」
この男は何を傷ついた顔をしているのか。
婚約して五年、結婚して二年目にしてずっと見て見ぬふりをして馬鹿だわ。
アリア様が大人しい事を良い事に。
なら私が少し苛めても許されるわよね?
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