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15不憫な境遇~ジョナside
しおりを挟む広間で大騒ぎとなっている中私はただ仕事をこなす。
メリッサ様の放蕩には使用人がどれだけ呆れているか解らない。
既に愛想を尽かしている者は少なくない。
「まったくメリッサ様にも困ったものだ」
「旦那様もいい加減に突き放すべきだというのに」
「無理でしょうね」
これまでの事を思い返すと頭が痛くなる。
だからこそアリア様がこの邸で女主人となられるまでの辛抱だと思っていた。
家令であるジョイル様はもうお歳だ。
本来ならば引退しても良いご老体なのに無理をしている。
その理由はアリア様の為だった。
「ジョイル様、腰痛の方は」
「アリア様のマッサージでだいぶ良い」
腰痛を持っていらしたジョイル様はアリア様のマッサージと食事改善のおかげで体は楽になった。
馬車や椅子に座る時も特別のクッションを手作りしてくださった。
アリア様曰く、花嫁修業時代はジョイル様が父親代わりだったとかで、イベントや誕生日に手作りの贈り物をしてくださったことを喜んでいらした。
ジョイル様も孫のように思っていらしたのだ。
「アリア様が不憫でならない…万一メリッサ様が駆け落ちをした時伯爵家はどうなるか」
「最悪女主人の責任の全てはアリア様に…」
ありえるわ。
あの方ならば自分の保身の為に嫌な事はアリア様に任せて逃げる可能性がある。
「嫁として認めないと言いながら責任は全てアリア様任せるなんて酷すぎます」
「そうならない事を祈るが…」
いくら何でもそこまでするとは考えたくない。
だが家が傾いても贅沢な暮らしを辞めない見栄っ張りな大奥様の事だ。
そもそもアリア様を冷遇して許されるわけがない。
「シャドール侯爵夫人が黙っいらっしゃるのを良い事に」
本来この婚約は傾いたカスティージョ家はフリーシア家に資金援助と食料の援助してもらっている。
それだけではなく不作の対策にどれだけアリア様の恩恵を受けているか。
「アリア様は慈善活動を活発になさっていらしらな」
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野生の動物とは異なり、サーカスで買われているゾウは首輪をして逆らえないように従順になるように仕組んでいる。
ただアリア様を飼い殺しにする事を私達許さなかった。
「私達でできる事は少ない…だが万一の時は」
「私達でお守りします」
大奥様に逆らえないエルセバート様は二択に迫られた時どうでるか。
根が優しいから厳し事は言えないが、優先するのはアリア様でなくてはならない。
もし時は…
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