義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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6優しい侯爵夫人

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ドレスの一件から私は切り替えをして笑顔でいる事を誓った。
どんな辛い事があっても笑う様にした。


「アリア、メリッサの衣装の準備と、今後は世話をしなさない」

「はい」

「お茶の用意をして。後それから」


「はい喜んで」


笑顔で私は仕事をこなし、夫人会のご友人を招く事があっても私は奥の仕事に精を出した。
言われたことをただするのではなく、言われる前に仕事をこなして。


「アリア?」

「侯爵夫人、ご無沙汰しております」

「何を…」

「申し訳ありません。このような姿で」


竈の掃除をしていると声をかけられ振り返ると、侯爵夫人がいらした。


「アリア、どうして貴女が…もしや先日のお茶も貴女が」

「申し訳ありません。お口に合いませんでしたか」


先日のお茶会でお義母様とメリッサ様にお茶会の準備をするように言われたけど、公の場に出る事は禁じられていた。


「いいえ、とっても美味しかったわ。挙式の披露宴で食べたクッキーがすごく美味しくて…そうではなくて」


侯爵夫人の顔色が悪かった。
今日は寒いから体を冷やされたのかしら?


「アリア、貴女は何時もこのような…何と言うか下働きのような事をしているのかしら?」

「え?」

「気を悪くしたのなら謝るわ。貴女はあれ以来社交場にも出てこないし…」

「まだ私は嫁として半人前ですし」


お義母曰く、カスティージョ家に限らず嫁いですぐはお姑様に指導をされている状態では一人前として認められない。


女主人として振舞う資格はないとのことだ。

百姓貴族の私には何もかも初めて知る事だったが、厳しい家では挙式も直ぐに行われないとか。


「半人前も何も…最初は皆同じよ」


「これも義母の配慮ですわ。慣れない私の代わりにメリッサ様は代わりに社交界に出てくださっているんです」


私は考え方を改めた。
それに、田舎貴族でしかない私は未だに社交界の事をちゃんと解っていない。


「今はまだ無理ですわ」

「アリア…辛くない?」

眉を下げられる侯爵夫人は赤切れだらけの私の手に触れる。


私とは違って綺麗なすべすべの手だったけど温かみを感じる。

「はい!」

何時も笑顔で、どんな時も笑顔でいればきっと明日は素敵な日になる。


「素敵だわ」

「え?」

「アリア、今の貴女…すごく素敵な笑顔ですわ」


綺麗な笑顔を浮かべる侯爵夫人に私はときめいてしまった。
作り笑顔ではない本当の笑顔。

お義母様にもメリッサ様にも笑顔を向けて貰えなかった私は嬉しくなった。


この邸で私に笑顔をみけてくれる人はいない。
お義父様もエルセバート様も私に申し訳ない表情をする。

笑って欲しいのに。

悩む私に侯爵夫人は言ってくださった。


「アリア、良い事を教えてあげますわ」

「はい?」

「私からのアドバイスです」


幸せになる為の武器。
そしてこれから生きていくための一番の武器を教わったのだった。



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