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51.我が家の敵
しおりを挟むアンジェリカ嬢の話を全て聞かされて頭が痛い。
どう見ても我が家ウィンディア家にとってステンシル侯爵家の行動は許されるものではない。
我が家は騎士の家系。
弱きを助ける事は当たり前で、不正を許さない。
特に父上は騎士道を優先する方で、親が子を虐げる等許さないのだ。
「天地がひっくり返っても、ローズマリー嬢と縁を結ぶなんてありえないだろう?第一彼女は頭が緩すぎる」
「アイリス義姉上の前で申し上げにくいのですが、我が家は騎士の家柄です。僕は騎士ではなくとも騎士道を守っておりますし」
騎士道を破る行為等、先祖を侮辱する行為だ。
特に母上が許さないだろうし、万一ローズマリーが我が家に嫁いだとしたら。
「三日で逃げ出すと思うんだがな」
「ええ、あの方には無理ですわ」
「私も…」
辺境貴族という立場を何だと思っているのか。
カディシュも爵位を与えられたら、辺境地に赴く事もあるだろうし。
「侯爵家以上に辺境伯爵家が重要視されているのは国を守る立場にあるからだ。いざ他国との戦争が始まれば辺境伯爵家は戦場に立つだろうと言う事を忘れている」
「本家が矢面に立てば、火の粉を被ると言うのに」
何処までも俺達を馬鹿にしているようだな。
騎士を見下し、辺境貴族の誇りを踏みつけるとは論外だ。
「ですが、既に公で婚約者である私がいるのに不義を働いた事は多くの者が目にしてますわ」
「黙っていても自滅するかと。こちらが手を下す必要もないでしょうが…」
社交界では既にステンシル侯爵家の権威は失墜して、落ちる所まで落ちているのだ。
醜態を晒し続けた長女に、未だに現実を理解できず愚かな振る舞いを続けている三女は夢にも思っていないだろう。
「領地経営も上手くいってないようですわ」
「浪費癖の妻と娘がいるからな」
既にステンシル侯爵家は圧迫されている。
贅沢三昧する二人の生贄になっていたアイリスがいない状況で領地経営が上手くいかず、今年は不作が続いている。
悪い事が重なっているが、こうなったのも自業自得だ。
あの時、俺とアイリスの婚約を継続していればまだマシだっただろう。
少なくとも大国の皇族と縁を繋いだ事で、貿易もできたかもしれない。
今から言っても後の祭りだろうが。
「同盟の暁に行われる舞踏会に、彼等も参加するでしょう。きっと狼藉を働くのは目に見えています」
「用心してくださいませ」
大丈夫だとは思うが警戒を怠らないようにしなくてはならないな。
「当日はルカ兄上も参加しますが…」
「イライザ嬢も黙ってなさそう気がする」
むしろ兄上に絡まないか心配になるな。
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