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第二十五話 圧倒的小者感①
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マズイ。非常にマズイ。
こんな状況下で授業に身が入るわけもなく、私は教室の前列の席に座るミリシアを、恨めしげに盗み見る。
(よりによってあんな子がミリシアに転生するなんて。もう少し『王立学園の聖女』に対する敬意というか、キャラに愛着持っててもいいでしょうに)
そう思う反面、納得できる部分もある。
セレーヌは転生先について、亡くなる直前までプレイしていたゲームの登場人物に限られると言っていた。
となるとミリシアに転生した女性は、死ぬ直前に偶然『王立学園の聖女』をプレイしていただけかもしれないのだ。私がキュロットたちに抱く愛着といったものが全く無くても不思議ではない。
(本人もこの世界で権力握るのが目的みたいなこと言ってたし。これもうキュロットの破滅フラグ立ってるようなものじゃない)
ひとり思い悩んでいると、さすがに様子がおかしいこに気付いたのだろう。授業が終わったタイミングで、すぐさまキュロットが話しかけてきた。
「どうかしまして? 授業中にずっとミリシアさんを眺めていましたけれど、彼女と何かございましたの?」
「え? いや、その。少し話をして価値観の違いを感じたというか何というか……」
「まあ、それは悲しいことですわ! もっとよくコミュニケーションを取れば、わかり合えるところも出てくるに違いありません。
善は急げと申しますし、さっそくお話してみましょう。ほら、行きますわよ」
「へ? ちょっ、キュロット!?」
キュロットは私の手を取ると、強引にミリシアの席へと引っ張っていく。
私は虚をつかれながらも、これがキュロットの良さの一つだよなぁと、感慨深くなった。何事に対しても物怖じせず、自分の信じる道をまっすぐに進む。その生き様は社畜OLだった私とかけ離れていて、強い憧れを抱いたものだ。
もしかしたら、と思う。
もしかしたら、キュロットと触れ合うことで、ミリシアの考えも変わっていくかもしれない。キュロットを破滅させるわけにはいかないと、協力してくれるかもしれない。
(そうよ。キュロットには独特な魅力があるから、きっと……)
私はそんな淡い期待を抱きつつ、キュロットに促されるままミリシアの席へと向かった。
ミリシアの周りにはクラスメイトの輪ができている。転入生というだけで気になるというのに、彼女は聖女と噂される人物だ。皆の興味は尽きないのだろう。
クラスメイトの輪にはブラドとルフォートの姿もあった。こちらは野次馬というより、道場や鐘室での出会いが小首をかしげるようなものだったので、何か事情があるなら知りたいといった気持ちが強いのだろうと思えた。
キュロットは人垣の傍まで行くと、特技を披露するような、自信に満ちた表情で口を開く。
「オーッホッホッホッ! 皆さん、ちょっと失礼」
キュロットの高笑いにクラスメイトがはっとなり、慌てて道を開けた。それはさながら、モーゼが海を割る場面のようだ。
(うわ、感激! 『王立学園の聖女』で何度も見たキュロットの登場シーンそのものじゃない!)
うぅ、よくここまで成長したなぁ……。
私が母親のような気分に浸っている中、キュロットはミリシアに話しかける。
こんな状況下で授業に身が入るわけもなく、私は教室の前列の席に座るミリシアを、恨めしげに盗み見る。
(よりによってあんな子がミリシアに転生するなんて。もう少し『王立学園の聖女』に対する敬意というか、キャラに愛着持っててもいいでしょうに)
そう思う反面、納得できる部分もある。
セレーヌは転生先について、亡くなる直前までプレイしていたゲームの登場人物に限られると言っていた。
となるとミリシアに転生した女性は、死ぬ直前に偶然『王立学園の聖女』をプレイしていただけかもしれないのだ。私がキュロットたちに抱く愛着といったものが全く無くても不思議ではない。
(本人もこの世界で権力握るのが目的みたいなこと言ってたし。これもうキュロットの破滅フラグ立ってるようなものじゃない)
ひとり思い悩んでいると、さすがに様子がおかしいこに気付いたのだろう。授業が終わったタイミングで、すぐさまキュロットが話しかけてきた。
「どうかしまして? 授業中にずっとミリシアさんを眺めていましたけれど、彼女と何かございましたの?」
「え? いや、その。少し話をして価値観の違いを感じたというか何というか……」
「まあ、それは悲しいことですわ! もっとよくコミュニケーションを取れば、わかり合えるところも出てくるに違いありません。
善は急げと申しますし、さっそくお話してみましょう。ほら、行きますわよ」
「へ? ちょっ、キュロット!?」
キュロットは私の手を取ると、強引にミリシアの席へと引っ張っていく。
私は虚をつかれながらも、これがキュロットの良さの一つだよなぁと、感慨深くなった。何事に対しても物怖じせず、自分の信じる道をまっすぐに進む。その生き様は社畜OLだった私とかけ離れていて、強い憧れを抱いたものだ。
もしかしたら、と思う。
もしかしたら、キュロットと触れ合うことで、ミリシアの考えも変わっていくかもしれない。キュロットを破滅させるわけにはいかないと、協力してくれるかもしれない。
(そうよ。キュロットには独特な魅力があるから、きっと……)
私はそんな淡い期待を抱きつつ、キュロットに促されるままミリシアの席へと向かった。
ミリシアの周りにはクラスメイトの輪ができている。転入生というだけで気になるというのに、彼女は聖女と噂される人物だ。皆の興味は尽きないのだろう。
クラスメイトの輪にはブラドとルフォートの姿もあった。こちらは野次馬というより、道場や鐘室での出会いが小首をかしげるようなものだったので、何か事情があるなら知りたいといった気持ちが強いのだろうと思えた。
キュロットは人垣の傍まで行くと、特技を披露するような、自信に満ちた表情で口を開く。
「オーッホッホッホッ! 皆さん、ちょっと失礼」
キュロットの高笑いにクラスメイトがはっとなり、慌てて道を開けた。それはさながら、モーゼが海を割る場面のようだ。
(うわ、感激! 『王立学園の聖女』で何度も見たキュロットの登場シーンそのものじゃない!)
うぅ、よくここまで成長したなぁ……。
私が母親のような気分に浸っている中、キュロットはミリシアに話しかける。
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