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第八話 やっぱ縦ロールでしょ③
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思いがけぬ迫力に私はたじろいだ。はい単なる気まぐれです、なんてことを言おうものなら刺されかねない雰囲気だ。
(うーん、破滅フラグは気になるけど、まあ髪型変えるくらい大丈夫か。『王立学園の聖女』では普通に縦ロールで登場してるし。
それにやっぱ、キュロットがドリル頭じゃないと違和感あるしな)
そこまで考えた私は、よしと意を決した。
「髪は女の命。もちろん、この場の思い付きなんかで言ってるわけじゃないわ。私はキュロットの縦ロール見てみたい。絶対、超絶に似合って可愛いから」
そう断言して笑いかけると、キュロットの顔が野イチゴのように赤くなった。握りしめられた手から、彼女の体温の上昇がはっきりと伝わってくる。
キュロットは先程までの勢いはどこへやら、急に俯くと、蚊の鳴くような声で応える。
「は、はい。シエザの望み通りに……」
うーん。何だろうこの反応。
可愛いって言ったから照れてんのかな?
そんな推測をしていると、キュロットが登校してきた際と同様に、廊下の方で黄色い歓声が上がった。
何だろうと思いそちらを見やると、女子生徒に囲まれるようにして、ブラドとルフォートが教室に姿を見せる。
その光景は『王立学園の聖女』でも度々目にしたものだ。まあ、ゲームでは群がる女子たちに愛想を振りまくのはブラドの方であり、ルフォートは女子が苦手そうにしていたから、今とは立場が真逆だが。
「あの二人も同じクラスなんだ。もしかしてヒーシス王子も?」
「いえ。殿下は別棟にある特別クラスですわ。王立学園の慣例で、王家と血縁のある方々のみが机を並べることができるのです」
「ふぅん」
私は気のない返事を漏らすが、すぐさまこれはチャンスだと思い至った。
せっかくキュロットがその気になっているのだ。ヒーシスが横槍を入れる前に、さっさとキュロットを縦ロールのお嬢様へと変身させてしまおう。
善は急げとばかりに、私はルフォートを手招きする。
「ルフォート、ちょっとちょっと」
ルフォートは最初こそきょとんとした表情を見せたが、すぐさま昨日医務室で喋った相手だと気付いたらしい。
ゲームでは人見知りするキャラでも、今のルフォートはフットワークが軽い。大した面識もないというのに、何の抵抗もなく私の元へとやって来る。
「誰かと思えば、昨日の仔猫ちゃんじゃないか。病み上がりで心細いのなら、隣で手を握っててあげようか?」
「そんなつもりで呼んだんじゃないけど、手は貸してくれない?
ルフォートって手先が器用で、お姉さんたちのカットもよくやってるんでしょう? キュロットのイメチェン、手伝って欲しいのよ」
「女性が美を追求する一助となるなら喜んで。でも、どうしてオレが姉上たちのカットをしていることを知ってるんだ?」
「え? だってそれ自分で話して……」
そこまで口にしたところで、私ははたと気付いた。
ルフォートのそういったプチ情報は、ゲームの中で出てきたものだ。昨日会ったばかりの私があまりプライベートなことに詳しいと、変に勘繰られてしまうかもしれない。
私は誤魔化すためすぐさま続けた。
「ええと、小耳に挟んだのよ。ほら、貴族社会って狭いから。噂話くらいなら色々と耳に入ってくるでしょ?」
(うーん、破滅フラグは気になるけど、まあ髪型変えるくらい大丈夫か。『王立学園の聖女』では普通に縦ロールで登場してるし。
それにやっぱ、キュロットがドリル頭じゃないと違和感あるしな)
そこまで考えた私は、よしと意を決した。
「髪は女の命。もちろん、この場の思い付きなんかで言ってるわけじゃないわ。私はキュロットの縦ロール見てみたい。絶対、超絶に似合って可愛いから」
そう断言して笑いかけると、キュロットの顔が野イチゴのように赤くなった。握りしめられた手から、彼女の体温の上昇がはっきりと伝わってくる。
キュロットは先程までの勢いはどこへやら、急に俯くと、蚊の鳴くような声で応える。
「は、はい。シエザの望み通りに……」
うーん。何だろうこの反応。
可愛いって言ったから照れてんのかな?
そんな推測をしていると、キュロットが登校してきた際と同様に、廊下の方で黄色い歓声が上がった。
何だろうと思いそちらを見やると、女子生徒に囲まれるようにして、ブラドとルフォートが教室に姿を見せる。
その光景は『王立学園の聖女』でも度々目にしたものだ。まあ、ゲームでは群がる女子たちに愛想を振りまくのはブラドの方であり、ルフォートは女子が苦手そうにしていたから、今とは立場が真逆だが。
「あの二人も同じクラスなんだ。もしかしてヒーシス王子も?」
「いえ。殿下は別棟にある特別クラスですわ。王立学園の慣例で、王家と血縁のある方々のみが机を並べることができるのです」
「ふぅん」
私は気のない返事を漏らすが、すぐさまこれはチャンスだと思い至った。
せっかくキュロットがその気になっているのだ。ヒーシスが横槍を入れる前に、さっさとキュロットを縦ロールのお嬢様へと変身させてしまおう。
善は急げとばかりに、私はルフォートを手招きする。
「ルフォート、ちょっとちょっと」
ルフォートは最初こそきょとんとした表情を見せたが、すぐさま昨日医務室で喋った相手だと気付いたらしい。
ゲームでは人見知りするキャラでも、今のルフォートはフットワークが軽い。大した面識もないというのに、何の抵抗もなく私の元へとやって来る。
「誰かと思えば、昨日の仔猫ちゃんじゃないか。病み上がりで心細いのなら、隣で手を握っててあげようか?」
「そんなつもりで呼んだんじゃないけど、手は貸してくれない?
ルフォートって手先が器用で、お姉さんたちのカットもよくやってるんでしょう? キュロットのイメチェン、手伝って欲しいのよ」
「女性が美を追求する一助となるなら喜んで。でも、どうしてオレが姉上たちのカットをしていることを知ってるんだ?」
「え? だってそれ自分で話して……」
そこまで口にしたところで、私ははたと気付いた。
ルフォートのそういったプチ情報は、ゲームの中で出てきたものだ。昨日会ったばかりの私があまりプライベートなことに詳しいと、変に勘繰られてしまうかもしれない。
私は誤魔化すためすぐさま続けた。
「ええと、小耳に挟んだのよ。ほら、貴族社会って狭いから。噂話くらいなら色々と耳に入ってくるでしょ?」
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