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第二話 ローリント伯爵家の面々②
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(うわ美味しい! めっちゃ美味しい!)
私は長大なテーブルに並ぶ朝食を次から次へと頬張っていく。
ふんわりとしたロールパン。
焼き加減が絶妙な目玉焼き。
ジューシーなベーコンとソーセージ。
瑞々しいサラダに、彩り豊かなフルーツの盛り合わせ。
他にもシリアルやコーンスープ、マッシュルームソテーなど、朝食とは思えない品数だ。
(貴族サイコ~! 転生してよかった~!!)
食パン一枚を胃に押し込んで出社していた前世とは大違いである。私が多幸感に包まれながらスープを啜っていると、こほんと空咳が響いた。
そちらに目をやれば、テーブルの向かいに立派な髭をたくわえたおじさんがいる。『王立学園の聖女』にもチョイ役で出ていたので知っている。シエザの父――つまりは私の父親である、ボイド・ローリント伯爵である。
ボイドは私の健啖ぶりを見て、目を細めて笑う。
「いつも少食なのに、今朝は見違えるようだな。いや、けっこうけっこう」
へぇ。シエザってあんまり食べない子だったのか。まあ、かなり細身だしな。
……どうしよう。これから太る予感しかしない。
そんなことを考えていると、ボイドの斜向いに座る、気品のある女性が口を開いた。こちらはシエザの母親に当たる、マーレー・ローリント伯爵夫人だ。
「シエザも今日からドミタニア王立学園の生徒ですもの。成長期なんだし、これくらい食べて当然よ。それにしても、制服よく似合ってるわ」
そう言われて、私は自身の制服に目を落とした。
乙女ゲームの世界ということもあって、王立学園の制服は、プリンセスドレスのようなワンピース。まるでアイドルのステージ衣装を大人しくしたような雰囲気だ。
正直、前世の実年齢が二十ウン歳の私としては気後れしてしまうような服装だが、制服である以上、着ないわけにはいかない。
私はむず痒いような感覚に捕らわれながらも、こうして何不自由ない学園生活へと入れるのは目の前の両親のおかげだと、姿勢を正して二人に告げる。
「お父様、お母様。私が王立学園に入学できるのも、今日まで立派に育てて下さったお父様とお母様のおかげです。
学園でもローリント家の名を汚さぬよう、精一杯頑張ってきます」
その瞬間、なぜだか部屋の空気がピシリと凍りついた。
長テーブルの周囲には、私の側に控えるアルエの他にも、幾人かのメイド、そして料理人と思しき人たちが給仕のためにいるのだが、全員が目を剝いて私のことをまじまじと見詰める。
私は長大なテーブルに並ぶ朝食を次から次へと頬張っていく。
ふんわりとしたロールパン。
焼き加減が絶妙な目玉焼き。
ジューシーなベーコンとソーセージ。
瑞々しいサラダに、彩り豊かなフルーツの盛り合わせ。
他にもシリアルやコーンスープ、マッシュルームソテーなど、朝食とは思えない品数だ。
(貴族サイコ~! 転生してよかった~!!)
食パン一枚を胃に押し込んで出社していた前世とは大違いである。私が多幸感に包まれながらスープを啜っていると、こほんと空咳が響いた。
そちらに目をやれば、テーブルの向かいに立派な髭をたくわえたおじさんがいる。『王立学園の聖女』にもチョイ役で出ていたので知っている。シエザの父――つまりは私の父親である、ボイド・ローリント伯爵である。
ボイドは私の健啖ぶりを見て、目を細めて笑う。
「いつも少食なのに、今朝は見違えるようだな。いや、けっこうけっこう」
へぇ。シエザってあんまり食べない子だったのか。まあ、かなり細身だしな。
……どうしよう。これから太る予感しかしない。
そんなことを考えていると、ボイドの斜向いに座る、気品のある女性が口を開いた。こちらはシエザの母親に当たる、マーレー・ローリント伯爵夫人だ。
「シエザも今日からドミタニア王立学園の生徒ですもの。成長期なんだし、これくらい食べて当然よ。それにしても、制服よく似合ってるわ」
そう言われて、私は自身の制服に目を落とした。
乙女ゲームの世界ということもあって、王立学園の制服は、プリンセスドレスのようなワンピース。まるでアイドルのステージ衣装を大人しくしたような雰囲気だ。
正直、前世の実年齢が二十ウン歳の私としては気後れしてしまうような服装だが、制服である以上、着ないわけにはいかない。
私はむず痒いような感覚に捕らわれながらも、こうして何不自由ない学園生活へと入れるのは目の前の両親のおかげだと、姿勢を正して二人に告げる。
「お父様、お母様。私が王立学園に入学できるのも、今日まで立派に育てて下さったお父様とお母様のおかげです。
学園でもローリント家の名を汚さぬよう、精一杯頑張ってきます」
その瞬間、なぜだか部屋の空気がピシリと凍りついた。
長テーブルの周囲には、私の側に控えるアルエの他にも、幾人かのメイド、そして料理人と思しき人たちが給仕のためにいるのだが、全員が目を剝いて私のことをまじまじと見詰める。
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