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最後の四天王とついでに魔王

そこまでだった

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-side アラン-



「それにしても、あと倒すべきは、魔王1人か。」

「そうだワン。思い返せば、学園に来てもう3ヶ月になるワン。感慨深いワン。」

「確かにな。」


 ん…?3ヶ月?
 そう言われると、そういえばそれくらいしか時は経っていなかったか。
 浅い感慨深さだな。
 いや、何いってんだ俺。


「お、ウィース。アラン。」

「おお、エンジェル君のいうとおりだったね。」

 そんな話をしていると、前からウィリアムとエンジェルが来た。



「おう、お前ら。やっぱりお前らも飛ばされてきたのか。無事でよかった。」

「あはは。アランに鍛えられたからね。お陰で今では戦闘が楽しくて仕方がないよ。」


 そう言って、ウィリアムは満面の笑顔で返り血がついた服を見せる。
 あー…。これは。
 色々聞かないでおこう。
 世の中知らない方がいいこともあるしな。
 少しだけウィリアムをこちら側の世界に引き込んだことを後悔した。



「それはそれとして、俺が来るところを待っていたのか?」

「ウィース。俺は天使だから、デビルマウンテンのことはなんでも知ってるしな。」

「え…?つまり、どういうこと?」



「つまりは、お前がさっき四天王を倒していたのも知っているし、魔王がどこにいるかも知っている。」

 おお…。やはり持つべきものは友達だな。
 今まで、なんでこの転校生がきたんだろうとか散々疑問に思っていて申し訳ない。
 まさか、最後の最後で結構役に立ちそうなキャラだったとは。



「じゃあ…。案内してくれるか?」

「ああ。つっても。あそこの扉通ったらすぐに魔王がいるぞ。」


「……。」




  ♢  ♢  ♢  ♢  ♢




 言われたとおり、進んでみると本当に魔王がいた。


「フハハハハ…!!
 よくここまで辿り着いたな!!
 俺様は、魔王メタファー。
 邪神様の都合により現れた!!」」

 とてもオーラがすごい。
 こいつは…倒しがいがありそうだ。
 少なくとも今までとは何かが違う。
 何かはわからないが。



「…!!やはりお前が…!しかし、都合というのはどういうことだ?」

「端的にいうとだな!
 私を倒さなければ、このストーリーが終わらなくて、永遠に続けなければいけなくなるらしいのだ。
 そこで、関係者の切実な願いから作られたキャラ!それが私である。」

「「「」」」


 この場にいた全員が何もいえなくなった。
 しかし…なんか、色々納得がいったというかなんというか。


「薄々気づいてた。
 このゲーム。ヌルゲーか。」

 何かが、違うのを言葉にできないということは、それは単純にこいつが強くないのにオーラだけはあるからだろう。
 まあ…乙女ゲームにそこまでのゲーム性を求めるのは違ったか。



「フ、フ…フハハハハ!!そんな余裕ぶっこいていて、いいのか?
 ほら、ここにお前のヒロインがいるぜ。」

「きゃ、きゃーアラン様助けてー!!」

 
 はいはい。動揺も隠せていないし、どうせ偽物だろう。


 そう思って見た先には悪役令嬢がいた。



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次回最終回です。
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