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第五章
※新章6:ランギの街で
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眩しさに目が眩む中、パチパチと瞬きを繰り返していると、ようやく人影がはっきりと浮かび上がる。
額に手をかざしながらに目を凝らしよく見てみると、そこに現れたのは……。
「えっ……どうして……」
ポロリと零れ落ちた言葉は音となり、水に落ちた波紋のように広がっていく。
息をするのも忘れるほどに呆然と立ち尽くしていると、彼の手が私の頬へ触れ、熱が高まった。
優しそうな精悍な顔立ちに、吸い込まれそうなエメラルドの澄んだ瞳。
絹のように美しいプラチナの髪に目が奪われると、私は無意識に手を伸ばしていた。
「エ……エヴァン……」
彼の名を口にすると……足元でくすぶっていた光がスッと消え、彼の姿がはっきりと映し出される。
伸ばした指先が彼の頬へ触れると……なぜか表情が歪んでいった。
そんな彼をじっと見つめ続ける中、彼は今にも泣きだしそうな表情を浮かべたかと思うと……私の腕を取り、そのまま強く引き寄せる。
熱い胸板から伝わってくる熱は、夢とは思えないほどにリアルで……。
私はそのまま彼の胸の中へ閉じ込められると、私の体は苦しいほどに強く強く抱き留められていた。
「はぁ……やっと見つけました……」
「えっ、しゃべった……!?それに……あれ……温かい……。でもこれは夢のはず……なんで……」
あまりにリアルな感覚に狼狽する中、彼の吐息と……震える唇が耳にかかる。
くすぐったさに思わず腕の中で身をよじらせると、逃がさないと言わんばかりに抱き締める腕が強くなっていった。
「っっ……エヴァン……?」
「どうして……どうしてあれから一度も黒蝶を飛ばしてこないのですか?どうして居場所を言わないのですか?この数週間……私がどれだけ心配したとおもっているのですか!!!」
絞り出すようなその声に戸惑う中、私はエヴァンの震える体を抱きしめ返してみると、懐かしい彼の匂いが鼻を擽った。
えっ、ちょっ、この夢リアルすぎない……!?
「ごめんなさい……エヴァン。いやいや……これって……夢じゃないの……?でもこのリアルな……本当にエヴァンなの……?」
そうボソボソと呟いていると、抱き留める腕の力が徐々に緩んでいく。
その様子に私は胸板からそっと離れると、恐々に顔を上げた。
そこには見慣れた美しいエメラルド瞳の奥に、私の姿がはっきりと映し出されている。
「本物ですよ、私はあなたに会う為に来たのですから」
「会う為……えっ、ちょっと待って……どうやって……?あれ、ここは夢の中でしょう……?」
状況についていけない中、そう問いかけてみると、エヴァンは私の腰を抱き寄せ、楽しそうな笑みを浮かべて見せる。
「そうです、ここはあなたの夢の中だ。……私があなたの夢の中に入り込んだのですよ。居場所は、あなたの魔力を頼りにはっきりと突き止めることが出来ました。……あなたの魔力なら私が誰よりも知っています。今回はリングのような対となる物がありませんでしたからね……。あなたを探すのにかなり苦労しましたよ。ですが、し……いえ、東の国で、あなたが西の国にいるとの噂を耳にしました。西の国最西端にあるランギ、広い土地ですが……あなたの居場所を特定して、召喚魔法で連れ戻そうと思ったのです。ですが……それは出来ませんでした。あの壁が邪魔をして、魔力が上手く伝わりません。だから仕方なく、あなたの夢の中へ入ってみたんですよ。夢の世界に、あの邪魔な壁はありませんからね」
「夢に入る……ってそんな事も出来るの!?」
「えぇ、ですがこれには相当な魔力と代償が必要ですよ。私も簡単には使えない。それでも……どうしてもあなたが生きている事を、この目で早く確認したかった。本当にあなたはこの世界へ戻って来ているその事実を……。もうあんな想いはしたくないのです」
エヴァンは首筋へ顔を埋めながらにギュッと私を抱きしめると、私もそれに応えるように、彼の体へと手を回す。
「心配をかけてしまってごめんなさい。私はちゃんとこの世界へ戻ってきたわ……エヴァンのおかげよ!本当にありがとう……。私は必ず北の国へ帰る。それで帰ったらあの約束を果たすわ……だからもう少し待っていて欲しいのエヴァン」
そう言葉を口にすると、エヴァンは熱い眼差しで私をじっと見下ろしていた。
それはまるで愛おしい人を想うかのような視線に、胸が小さく音を立てる。
何とも言えない甘ったるい空気が流れる中、頬に熱が集まるのを感じると、私は思わず視線を反らせた。
「とっ、ところで、みんなは元気?そっちでは私の存在はどうなっているの?」
居た堪れない甘い雰囲気を壊す様に話しかけてみると、エヴァンは少しムッとした様子を見せながらに、エメラルドの瞳が私を射抜く。
彼は徐に私の顎に手を添えたかとおもうと、なぜかゆっくりと顔が近づいてくる。
アップで映し出される彼の姿に思わず見惚れていると……そのまま唇が重なり、彼の舌が私の唇をこじ開けていった。
「えっ、あぁん、んんんっ、うぅぅん、ふぅっ、んんっ、ふふふぅっ」
唾液が絡み、熱く甘い彼の舌に翻弄される中、次第に脚の力が抜けていく。
痺れるような刺激が背筋を駆け抜け、立っていられなくなると、私はエヴァンへ必死に縋りついていた。
長く続く口づけに、頭がぼうっとしてくる中、良く知る彼の魔力が私の中へと流れ込んでくる。
もうだめ……。
苦しいほどの熱い口づけに頭がクラクラしてくると、私はエヴァンにされるがまま翻弄されていった。
額に手をかざしながらに目を凝らしよく見てみると、そこに現れたのは……。
「えっ……どうして……」
ポロリと零れ落ちた言葉は音となり、水に落ちた波紋のように広がっていく。
息をするのも忘れるほどに呆然と立ち尽くしていると、彼の手が私の頬へ触れ、熱が高まった。
優しそうな精悍な顔立ちに、吸い込まれそうなエメラルドの澄んだ瞳。
絹のように美しいプラチナの髪に目が奪われると、私は無意識に手を伸ばしていた。
「エ……エヴァン……」
彼の名を口にすると……足元でくすぶっていた光がスッと消え、彼の姿がはっきりと映し出される。
伸ばした指先が彼の頬へ触れると……なぜか表情が歪んでいった。
そんな彼をじっと見つめ続ける中、彼は今にも泣きだしそうな表情を浮かべたかと思うと……私の腕を取り、そのまま強く引き寄せる。
熱い胸板から伝わってくる熱は、夢とは思えないほどにリアルで……。
私はそのまま彼の胸の中へ閉じ込められると、私の体は苦しいほどに強く強く抱き留められていた。
「はぁ……やっと見つけました……」
「えっ、しゃべった……!?それに……あれ……温かい……。でもこれは夢のはず……なんで……」
あまりにリアルな感覚に狼狽する中、彼の吐息と……震える唇が耳にかかる。
くすぐったさに思わず腕の中で身をよじらせると、逃がさないと言わんばかりに抱き締める腕が強くなっていった。
「っっ……エヴァン……?」
「どうして……どうしてあれから一度も黒蝶を飛ばしてこないのですか?どうして居場所を言わないのですか?この数週間……私がどれだけ心配したとおもっているのですか!!!」
絞り出すようなその声に戸惑う中、私はエヴァンの震える体を抱きしめ返してみると、懐かしい彼の匂いが鼻を擽った。
えっ、ちょっ、この夢リアルすぎない……!?
「ごめんなさい……エヴァン。いやいや……これって……夢じゃないの……?でもこのリアルな……本当にエヴァンなの……?」
そうボソボソと呟いていると、抱き留める腕の力が徐々に緩んでいく。
その様子に私は胸板からそっと離れると、恐々に顔を上げた。
そこには見慣れた美しいエメラルド瞳の奥に、私の姿がはっきりと映し出されている。
「本物ですよ、私はあなたに会う為に来たのですから」
「会う為……えっ、ちょっと待って……どうやって……?あれ、ここは夢の中でしょう……?」
状況についていけない中、そう問いかけてみると、エヴァンは私の腰を抱き寄せ、楽しそうな笑みを浮かべて見せる。
「そうです、ここはあなたの夢の中だ。……私があなたの夢の中に入り込んだのですよ。居場所は、あなたの魔力を頼りにはっきりと突き止めることが出来ました。……あなたの魔力なら私が誰よりも知っています。今回はリングのような対となる物がありませんでしたからね……。あなたを探すのにかなり苦労しましたよ。ですが、し……いえ、東の国で、あなたが西の国にいるとの噂を耳にしました。西の国最西端にあるランギ、広い土地ですが……あなたの居場所を特定して、召喚魔法で連れ戻そうと思ったのです。ですが……それは出来ませんでした。あの壁が邪魔をして、魔力が上手く伝わりません。だから仕方なく、あなたの夢の中へ入ってみたんですよ。夢の世界に、あの邪魔な壁はありませんからね」
「夢に入る……ってそんな事も出来るの!?」
「えぇ、ですがこれには相当な魔力と代償が必要ですよ。私も簡単には使えない。それでも……どうしてもあなたが生きている事を、この目で早く確認したかった。本当にあなたはこの世界へ戻って来ているその事実を……。もうあんな想いはしたくないのです」
エヴァンは首筋へ顔を埋めながらにギュッと私を抱きしめると、私もそれに応えるように、彼の体へと手を回す。
「心配をかけてしまってごめんなさい。私はちゃんとこの世界へ戻ってきたわ……エヴァンのおかげよ!本当にありがとう……。私は必ず北の国へ帰る。それで帰ったらあの約束を果たすわ……だからもう少し待っていて欲しいのエヴァン」
そう言葉を口にすると、エヴァンは熱い眼差しで私をじっと見下ろしていた。
それはまるで愛おしい人を想うかのような視線に、胸が小さく音を立てる。
何とも言えない甘ったるい空気が流れる中、頬に熱が集まるのを感じると、私は思わず視線を反らせた。
「とっ、ところで、みんなは元気?そっちでは私の存在はどうなっているの?」
居た堪れない甘い雰囲気を壊す様に話しかけてみると、エヴァンは少しムッとした様子を見せながらに、エメラルドの瞳が私を射抜く。
彼は徐に私の顎に手を添えたかとおもうと、なぜかゆっくりと顔が近づいてくる。
アップで映し出される彼の姿に思わず見惚れていると……そのまま唇が重なり、彼の舌が私の唇をこじ開けていった。
「えっ、あぁん、んんんっ、うぅぅん、ふぅっ、んんっ、ふふふぅっ」
唾液が絡み、熱く甘い彼の舌に翻弄される中、次第に脚の力が抜けていく。
痺れるような刺激が背筋を駆け抜け、立っていられなくなると、私はエヴァンへ必死に縋りついていた。
長く続く口づけに、頭がぼうっとしてくる中、良く知る彼の魔力が私の中へと流れ込んでくる。
もうだめ……。
苦しいほどの熱い口づけに頭がクラクラしてくると、私はエヴァンにされるがまま翻弄されていった。
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