運命の落とし穴

恩田璃星

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運命の再会3

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 おばちゃんの姿が見えなくなると、彼は再び私の前に腰を下ろした。

 ダメだ。

 まともに顔が見れない。

 沈黙を破り、先に口を開いたのは羽立くんだった。

 「久しぶりですね、奏音さん」

 「ひっ、久しぶり」

 うわ、声がひっくり返った。

 恥ずかしいっ。

 「奏音さんが高校卒業して以来…だから10年ぶり?」

 「…うん」

 「お元気でした?」

 「お、お陰様で」

 別に羽立くんのお陰でもなんでもないのに。

 嫌な緊張感から訳の分からない返事をしてしまった。

   「さっき…俺の顔見て固まってましたけど、もしかして、今日のお見合いの相手、俺だって知らずに来たんですか?」

   そのとおりデス、とはとても言える空気じゃない。

 だんまりを通す私に、痺れを切らしたのか、羽立くんの声がスッと冷たくなった。

「で、どうして急に連絡くれなくなったんですか?」

いきなり核心を突かれ、何も言えない。

「俺、奏音さんはずっと俺の一番の理解者でいてくれると思ってたのに」

 『一番の理解者』

 その関係性が何より辛かった、と、はっきり言えたらなぁ。

 ううん、ダメ。

 羽立くんに、そんなこと言ったら傷つけてしまう。

 「ごめん。大学生活になかなか馴染めなくて」

 本音を飲み込み、当たり障りのない言葉で切り抜ける。

 「そういう相談、俺にして欲しかった」

 「…ほんとごめん。私、本当にいっぱいいっぱいで。それに、羽立くんも受験生だったじゃない?え、遠慮してたらどんどん連絡取り辛くなっちゃって…」

 「ふーん…奏音さんが、いっぱいいっぱい…ね。へー」

   うっ…。

   濃くはないけど、上下ともにかなり長さのあるまつ毛に縁どられた、綺麗な二重の目が、冷ややかなビームを容赦なく放つ。

   「まぁ…今日来てくれたから、許してあげます」

 パッと花が咲いたみたいな、昔と変わらない屈託のない笑顔に、今度は罪悪感がチクリと胸を刺した。

 でも、それはほんの一瞬。

 羽立くんの次の言葉で消し飛んだ。

 「ただし、奏音さんが俺と結婚してくれたら、ですけどね」

 「ん?」

 ちゃんと聞こえた。

 だけど、理解できなくて、首をかしげつつ、また水を一口含む。

 「…な、何の冗談?」

 「冗談なんかじゃないですよ。これ、れっきとしたお見合いですし。奏音さんこそ、真面目に考えてください」
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