3 / 111
運命の再会3
しおりを挟む
おばちゃんの姿が見えなくなると、彼は再び私の前に腰を下ろした。
ダメだ。
まともに顔が見れない。
沈黙を破り、先に口を開いたのは羽立くんだった。
「久しぶりですね、奏音さん」
「ひっ、久しぶり」
うわ、声がひっくり返った。
恥ずかしいっ。
「奏音さんが高校卒業して以来…だから10年ぶり?」
「…うん」
「お元気でした?」
「お、お陰様で」
別に羽立くんのお陰でもなんでもないのに。
嫌な緊張感から訳の分からない返事をしてしまった。
「さっき…俺の顔見て固まってましたけど、もしかして、今日のお見合いの相手、俺だって知らずに来たんですか?」
そのとおりデス、とはとても言える空気じゃない。
だんまりを通す私に、痺れを切らしたのか、羽立くんの声がスッと冷たくなった。
「で、どうして急に連絡くれなくなったんですか?」
いきなり核心を突かれ、何も言えない。
「俺、奏音さんはずっと俺の一番の理解者でいてくれると思ってたのに」
『一番の理解者』
その関係性が何より辛かった、と、はっきり言えたらなぁ。
ううん、ダメ。
羽立くんに、そんなこと言ったら傷つけてしまう。
「ごめん。大学生活になかなか馴染めなくて」
本音を飲み込み、当たり障りのない言葉で切り抜ける。
「そういう相談、俺にして欲しかった」
「…ほんとごめん。私、本当にいっぱいいっぱいで。それに、羽立くんも受験生だったじゃない?え、遠慮してたらどんどん連絡取り辛くなっちゃって…」
「ふーん…奏音さんが、いっぱいいっぱい…ね。へー」
うっ…。
濃くはないけど、上下ともにかなり長さのあるまつ毛に縁どられた、綺麗な二重の目が、冷ややかなビームを容赦なく放つ。
「まぁ…今日来てくれたから、許してあげます」
パッと花が咲いたみたいな、昔と変わらない屈託のない笑顔に、今度は罪悪感がチクリと胸を刺した。
でも、それはほんの一瞬。
羽立くんの次の言葉で消し飛んだ。
「ただし、奏音さんが俺と結婚してくれたら、ですけどね」
「ん?」
ちゃんと聞こえた。
だけど、理解できなくて、首をかしげつつ、また水を一口含む。
「…な、何の冗談?」
「冗談なんかじゃないですよ。これ、歴としたお見合いですし。奏音さんこそ、真面目に考えてください」
ダメだ。
まともに顔が見れない。
沈黙を破り、先に口を開いたのは羽立くんだった。
「久しぶりですね、奏音さん」
「ひっ、久しぶり」
うわ、声がひっくり返った。
恥ずかしいっ。
「奏音さんが高校卒業して以来…だから10年ぶり?」
「…うん」
「お元気でした?」
「お、お陰様で」
別に羽立くんのお陰でもなんでもないのに。
嫌な緊張感から訳の分からない返事をしてしまった。
「さっき…俺の顔見て固まってましたけど、もしかして、今日のお見合いの相手、俺だって知らずに来たんですか?」
そのとおりデス、とはとても言える空気じゃない。
だんまりを通す私に、痺れを切らしたのか、羽立くんの声がスッと冷たくなった。
「で、どうして急に連絡くれなくなったんですか?」
いきなり核心を突かれ、何も言えない。
「俺、奏音さんはずっと俺の一番の理解者でいてくれると思ってたのに」
『一番の理解者』
その関係性が何より辛かった、と、はっきり言えたらなぁ。
ううん、ダメ。
羽立くんに、そんなこと言ったら傷つけてしまう。
「ごめん。大学生活になかなか馴染めなくて」
本音を飲み込み、当たり障りのない言葉で切り抜ける。
「そういう相談、俺にして欲しかった」
「…ほんとごめん。私、本当にいっぱいいっぱいで。それに、羽立くんも受験生だったじゃない?え、遠慮してたらどんどん連絡取り辛くなっちゃって…」
「ふーん…奏音さんが、いっぱいいっぱい…ね。へー」
うっ…。
濃くはないけど、上下ともにかなり長さのあるまつ毛に縁どられた、綺麗な二重の目が、冷ややかなビームを容赦なく放つ。
「まぁ…今日来てくれたから、許してあげます」
パッと花が咲いたみたいな、昔と変わらない屈託のない笑顔に、今度は罪悪感がチクリと胸を刺した。
でも、それはほんの一瞬。
羽立くんの次の言葉で消し飛んだ。
「ただし、奏音さんが俺と結婚してくれたら、ですけどね」
「ん?」
ちゃんと聞こえた。
だけど、理解できなくて、首をかしげつつ、また水を一口含む。
「…な、何の冗談?」
「冗談なんかじゃないですよ。これ、歴としたお見合いですし。奏音さんこそ、真面目に考えてください」
1
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる