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第5章 私はだぁれ?
第38話 仮面の魔人3
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あの亀に乗っている魔人は危険だ。もしかしたら私と同じ異能を持っているのではないだろうか。そしてそれは十分にあり得る話と見ていい。
魔神の血によって与えられる異能が神と悪魔の手だけであるなら、私以外に目覚めた実験体がいてもおかしくないはず。これはレオン様に報告するべきだろう。
私は急ぎ持ち場を離れ、レオン様の元に向かう。本当なら命令違反な気もするけど報連相も大事だからね。
「レオン様!」
「どうしたんだいテア。優勢とはいえ持ち場を離れるのは感心しないな」
うあ、やっぱり怒られた。でも報告しないわけにはいかないんだよね。私と同じ能力なら私以外の人では対処が困難だ。
「すいません。それより報告がございます」
「聞こう」
「はい、あの仮面の魔人は恐らく私と同じ能力を持っています」
「なんだって!? つまりあいつの攻撃は目に見えないということになるぞ」
私の報告にレオン様の顔色が変わる。そりゃそうだ。不可視の攻撃なんて厄介なことこの上ない。しかも殺傷力だって高いのだ。
「はい、恐らくは。ですが私なら見えます。ですのであの魔人の対処、私に任せてもらえないでしょうか?」
「勝算は?」
「わかりません。ですが、あの魔人を放っておけば甚大な被害を生むかもしれません」
こればかりはやってみないとわからない。でも本来私はラスボスなわけだから私の方がポテンシャルは高いと思いたいけど。
「やはりダメだ。ランドタートルも同時に相手しないといけなくなるだろ。君と同じ不可視の攻撃だろうが、遠距離からの矢の雨はそう簡単に避けられるものじゃない。こちらから近づかず、接近されたら対処を頼む」
「わかりました」
さすがにダメか。まぁ、情報は伝えたし、どう対処するかは指揮官に従うしかない。私の役目はとにかく犠牲を減らすことなのだから己の役割りを全うしよう。
「だが情報感謝する。死ぬなよ」
「……はい!」
少し落ち込んだ様子を見せたせいか、レオン様が励ましの言葉をくれた。この一言で勇気も元気も100倍です!
私は意気揚々と持ち場に戻る。その頃にはランドタートルも結構近くまで来ていた。やはりあの魔人、年齢的には私と同じくらいのようだ。あの子が私と同じ実験体だったとするなら、彼女の魔神化はかなり進んでいるということになるのか。
ラスボスのテアは一足飛びで魔神化してしまっていたが、設定では段階が存在する。赤い翼が生えているのは第3段階。最終段階の魔神化に最も近い段階だ。それでも最終段階までは人としての心が残っているらしいんだけどね。
「撃て! とにかく近づけさせるな!」
レオン様の号令で再び大量の矢が放たれ、魔法も飛び交う。すると仮面の魔人は予想通り4本の腕を召喚。大きな魔法の盾を生み出し雨のような矢に対抗した。
だったら破壊するまでだ。私は邪魔するべく腕を2本飛ばし、盾の破壊に向かわせた。そして別の2本を地に潜らせ、ランドタートルの足下を目指す。
先行させた腕が魔人に近づくと、魔人も負けじと2本の腕で応戦する。空を飛ぶのに腕を2本使っているから私は6本。それに対し魔人は4本だ。しかし腕のサイズもパワーもほぼ同等らしく、腕同士の殴り合いは互角のようだ。
つまり、私の方が有利なわけだね。
「爆発しろ!」
潜り込ませた腕をランドタートルのお腹辺りに出現させ爆発させる。爆風でランドタートルの身体が浮き上がり、仰向けに。仮面の魔人は爆発に対応できず、一緒に吹き飛んだようだ。
「やったぞ! ランドタートルが吹っ飛んで青天だ」
ランドタートルがひっくり返り、無防備なお腹をさらけ出す。その一方で吹き飛ばされた仮面の魔人の身体が空中で静止した。
「な、なんだ? 空中に浮いているぞ!」
その様子に兵士たちがざわつく。ほとんどのオーガは矢と魔法に対応しきれず倒れ、ランドタートルもひっくり返った。残りはあの魔人だけだ。しかしこの戦いはここからが本番なのかもしれない。
仮面の魔人は私と同じく視えない手で自分を支え空を飛ぶ。その速度はかなりのもので一気に接近してきた。
「みんな逃げて!」
私は声を張り上げ、撤退を促す。しかし1兵士の言葉などに従うわけはなかった。
魔人が兵士に狙いを定め腕を飛ばす。
それをさせまいと私は同じ数の腕で対抗。
「……破滅」
腕が空中を引っ掻く。すると引っ掻いた跡が赤い線となって現れた。
あれは破滅の爪牙!?
まずい、犠牲者が出てしまう!
「ええい!」
私も対抗するべく宙を引っ掻き、破滅の爪牙で対抗する。そして私と魔人の赤い爪跡がぶつかり合った。
キィィィィン!
まるで剣と剣がぶつかりあったような音が鳴り響き、2つの赤い残光は消滅した。相殺できたのは良かった。もしお互い貫通していたら大変なことになるところだ。
「……やはり私と同じ能力。あなたはだぁれ?」
「……?」
聞き覚えのある声だった。そうだ、今朝夢で同じ声を聞いたはずだ。
確認しよう。
いや、確認しなければならない!
「正体を見せなさい!」
驚く魔人に接近し、私は2本の腕を飛ばす。そして直で殴りにいった。予想通り魔人はその腕をガードする。
しかしそんなことはお構いなしに連打連打連打連打!
「うっ……!」
堪えきれずガード越しにふっ飛ばされ、魔人は尻餅をつく。
そしてその衝撃でポロリと仮面が取れる。
「サーラ!」
私は死んだと思って埋めたはずの親友の名を叫んでいた。
魔神の血によって与えられる異能が神と悪魔の手だけであるなら、私以外に目覚めた実験体がいてもおかしくないはず。これはレオン様に報告するべきだろう。
私は急ぎ持ち場を離れ、レオン様の元に向かう。本当なら命令違反な気もするけど報連相も大事だからね。
「レオン様!」
「どうしたんだいテア。優勢とはいえ持ち場を離れるのは感心しないな」
うあ、やっぱり怒られた。でも報告しないわけにはいかないんだよね。私と同じ能力なら私以外の人では対処が困難だ。
「すいません。それより報告がございます」
「聞こう」
「はい、あの仮面の魔人は恐らく私と同じ能力を持っています」
「なんだって!? つまりあいつの攻撃は目に見えないということになるぞ」
私の報告にレオン様の顔色が変わる。そりゃそうだ。不可視の攻撃なんて厄介なことこの上ない。しかも殺傷力だって高いのだ。
「はい、恐らくは。ですが私なら見えます。ですのであの魔人の対処、私に任せてもらえないでしょうか?」
「勝算は?」
「わかりません。ですが、あの魔人を放っておけば甚大な被害を生むかもしれません」
こればかりはやってみないとわからない。でも本来私はラスボスなわけだから私の方がポテンシャルは高いと思いたいけど。
「やはりダメだ。ランドタートルも同時に相手しないといけなくなるだろ。君と同じ不可視の攻撃だろうが、遠距離からの矢の雨はそう簡単に避けられるものじゃない。こちらから近づかず、接近されたら対処を頼む」
「わかりました」
さすがにダメか。まぁ、情報は伝えたし、どう対処するかは指揮官に従うしかない。私の役目はとにかく犠牲を減らすことなのだから己の役割りを全うしよう。
「だが情報感謝する。死ぬなよ」
「……はい!」
少し落ち込んだ様子を見せたせいか、レオン様が励ましの言葉をくれた。この一言で勇気も元気も100倍です!
私は意気揚々と持ち場に戻る。その頃にはランドタートルも結構近くまで来ていた。やはりあの魔人、年齢的には私と同じくらいのようだ。あの子が私と同じ実験体だったとするなら、彼女の魔神化はかなり進んでいるということになるのか。
ラスボスのテアは一足飛びで魔神化してしまっていたが、設定では段階が存在する。赤い翼が生えているのは第3段階。最終段階の魔神化に最も近い段階だ。それでも最終段階までは人としての心が残っているらしいんだけどね。
「撃て! とにかく近づけさせるな!」
レオン様の号令で再び大量の矢が放たれ、魔法も飛び交う。すると仮面の魔人は予想通り4本の腕を召喚。大きな魔法の盾を生み出し雨のような矢に対抗した。
だったら破壊するまでだ。私は邪魔するべく腕を2本飛ばし、盾の破壊に向かわせた。そして別の2本を地に潜らせ、ランドタートルの足下を目指す。
先行させた腕が魔人に近づくと、魔人も負けじと2本の腕で応戦する。空を飛ぶのに腕を2本使っているから私は6本。それに対し魔人は4本だ。しかし腕のサイズもパワーもほぼ同等らしく、腕同士の殴り合いは互角のようだ。
つまり、私の方が有利なわけだね。
「爆発しろ!」
潜り込ませた腕をランドタートルのお腹辺りに出現させ爆発させる。爆風でランドタートルの身体が浮き上がり、仰向けに。仮面の魔人は爆発に対応できず、一緒に吹き飛んだようだ。
「やったぞ! ランドタートルが吹っ飛んで青天だ」
ランドタートルがひっくり返り、無防備なお腹をさらけ出す。その一方で吹き飛ばされた仮面の魔人の身体が空中で静止した。
「な、なんだ? 空中に浮いているぞ!」
その様子に兵士たちがざわつく。ほとんどのオーガは矢と魔法に対応しきれず倒れ、ランドタートルもひっくり返った。残りはあの魔人だけだ。しかしこの戦いはここからが本番なのかもしれない。
仮面の魔人は私と同じく視えない手で自分を支え空を飛ぶ。その速度はかなりのもので一気に接近してきた。
「みんな逃げて!」
私は声を張り上げ、撤退を促す。しかし1兵士の言葉などに従うわけはなかった。
魔人が兵士に狙いを定め腕を飛ばす。
それをさせまいと私は同じ数の腕で対抗。
「……破滅」
腕が空中を引っ掻く。すると引っ掻いた跡が赤い線となって現れた。
あれは破滅の爪牙!?
まずい、犠牲者が出てしまう!
「ええい!」
私も対抗するべく宙を引っ掻き、破滅の爪牙で対抗する。そして私と魔人の赤い爪跡がぶつかり合った。
キィィィィン!
まるで剣と剣がぶつかりあったような音が鳴り響き、2つの赤い残光は消滅した。相殺できたのは良かった。もしお互い貫通していたら大変なことになるところだ。
「……やはり私と同じ能力。あなたはだぁれ?」
「……?」
聞き覚えのある声だった。そうだ、今朝夢で同じ声を聞いたはずだ。
確認しよう。
いや、確認しなければならない!
「正体を見せなさい!」
驚く魔人に接近し、私は2本の腕を飛ばす。そして直で殴りにいった。予想通り魔人はその腕をガードする。
しかしそんなことはお構いなしに連打連打連打連打!
「うっ……!」
堪えきれずガード越しにふっ飛ばされ、魔人は尻餅をつく。
そしてその衝撃でポロリと仮面が取れる。
「サーラ!」
私は死んだと思って埋めたはずの親友の名を叫んでいた。
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