ラスボス廃棄少女は幸せになりたい

まにゅまにゅ

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第3章 運命に抗え!

第22話 囚われたテア

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 私が治癒院で働くようになってはや7ヶ月が過ぎようとしていた。治癒院はなかなか給料が良く、月に金貨20枚もらっている。これは平民の倍以上の収入らしい。なお、税金も同じくらいで税金無しなら金貨40枚の収入らしいんだけどね。そこはまぁ仕方がないでしょ。

 戦い方の練習もばっちりで悪魔の手2つに力を注ぎ、巨大化させることで猛烈なパワーも発揮できるようになった。オークなんてワンパンです。見えないっていうアドバンテージはやっぱり強力だね。

 それと私の能力も言葉は必要なく、念じるだけで済むことが判明。魔力を練るという行程が無いから連発も可能だ。私自身がひ弱という点を除けば戦闘力はかなり高いと思う。だから人攫いが現れても私がさらわれるようなことはないと、そう思っていた。

 私が奴隷になるようなことはない。テアの運命は既に変わっていると思いこんでいたのだ。




「テアちゃん、こっちもおねがーい」
「はーい」

 先輩に呼ばれ、私は次の患者さんの処置に向かった。今度の患者はコカトリスとやらの石化爪に左腕を引っ掻かれたらしい。そのため左腕に大きな傷を残したまま石になってしまっていた。どんな仕組みなのやら。

 石化の解除の魔法は高位の治癒魔法に位置するらしく、使えるのはこの治癒院でも2人しかいない。が、1人は今日はお休みでもうひとりは既に魔力切れで回復待ちだ。つまり石化を治せるのは今は私だけなのだ。

 患者さんの左腕に神の手を添え、石化が治るよう念じる。それだけで左腕は元の色を取り戻し、現れた傷口から血が流れ出す。

「うおっ、いってぇぇぇっっ!」

 石化が解けたものだから左腕の感覚が戻ったのだろう。そのせいで傷が痛みだしたのだ。すぐさま傷口の消毒を念じ、そして治癒を行う。するとみるみるうちに傷が塞がり血も止まっていった。

「すげぇっ! もう全然痛くねぇぞ」

 痛みが取れたのが嬉しいのだろう、患者さんの顔がほころぶ。うみゅ、なかなかいい笑顔するじゃない。

「さすがテアちゃんね。もうすっかりうちの看板治癒士だねぇ」
「いえいえ、まだまだ先輩方には及びもしないです」

 謙遜半分に私は答える。現代知識のおかげで多少は医療知識もあるが、現場なれするのに多少かかったからね。まだまだ教えてもらわないとわからないこともあるのだ。

「あの、すいません」

 とそこへまた来客があった。それは受け付け担当の人が対応してくれているようだが、そのお客さんの様子が少しおかしい。

「テアちゃんごめん、緊急で治癒士の派遣要請があったの。私もついて行くから一緒に来てくれる?」
「ええ、いいですけど」

 緊急か。別に珍しいことでもない。冒険者とかだとここまで連れて来るより呼びに行った方が早い場合もあるそうだ。特に出血が酷い場合は止血が必要だが、そうなると下手に動かせなかったりする場合もある。あるいは一方が担ぎ、一方が助けを呼びに行くという場合だってあるのだ。

「すみませんね、どうしても高位の治癒士でないと対応できそうもなくて」

 呼びに来た一葉冒険者っぽい格好をしていた。どうやらお仲間が危険なようだ。となると私が行った方が良さそうだね。

「とにかく案内をお願いします」
「そこのお嬢さんが行くなら俺がおぶって行こう。小さい子を走らせるのは忍びない」
「平気です」

 私は神の手を召喚し自らに念じる。「浮かせろ」と。これにより空中で浮遊することが可能になった。ただこれだと浮くだけで動けないので腰を持たせて移動するのだ。楽ちんだし大人の駆け足にだって余裕で追いつく。

「う、浮いてる!?」
「魔法みたいなものです。さ、案内してください」
「あ、ああ。わかった」

 その冒険者は小走りに先導を始めた。そして街の外へ出て森の方に向かう。かれこれ10分くらいは走っている。治癒士は割と体力仕事なので先輩もまた結構な体力があるようだ。遅れることなくちゃんと冒険者の後ろについて行っていた。

 そして森に入り、やがて道を外れて草むらの奥へと進んでいく。確かこの辺りはまだ魔物の少ない地域のはずだ。油断でもしたのたろうか?

 しばらく行くと一人が倒れており、そのすぐそばに付き添いの仲間がいた。その仲間はフードを被っていて顔はよく見えない。

「連れて来たぞ! じゃあお願いします」

 冒険者の人に促され、私と受付のお姉さんは倒れている人の方へと向かう。気を利かせたのかフードを被ったお仲間も場所を空けて私達の後ろへ移動する。

「えーっと、特に怪我はないように見えますが……」
「そうですね。おーい、意識はありますかぁっ?」

 2人で倒れている男性の容態を確認する。少し揺らしてみるも応答無し。声をかけても返事もなしだ。もしかして意識不明?

 と、不意に目の前が真っ暗になった。

「な、なに?」
「うわわわっ!?」

 思わず驚いて声をあげる。なにこれ?
 どうやら顔に何か袋を被せられたようだ。そして中には何か粉が入っていた。慌てふためいた私はその粉をまともに吸い込んでしまう。そして襲ってくる眠気。

「うっ……」

 やばい、凄く眠い。もしかしてこれ、即効性の眠り薬ってやつ?

 だめ、もう無理……。

 私は眠気に抗えず、そのまま深い眠りについしまった。
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