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第23話 奇跡
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「じゃあ、垂らすぞ」
「……うん」
背中を露にしたシエルが小さく頷いた。
その白くて滑らかな肌には痛々しい痣が刻まれている。
2匹の蛇が絡んだような醜悪なデザインで、これが奴隷の証。
「本物なんだろうな……」
そして天使の涙というアイテムだけがこの呪いを消すことが出来る唯一のもの。
サクヤから購入したものだが果たして本物なのだろうか……。
俺は瓶の栓を抜くと、1滴だけシエルの背中に垂らす。
しゅわっと炭酸が抜けるような音がした。
「……っ」
滲みるのか唇を噛むシエル。
「ごめん、大丈夫か? 」
「平気です。一気に塗ってください」
「でもそんなことしたら……」
「私は我慢できますから」
気丈にも笑顔を浮かべるシエル。
俺は分かった、と答えると瓶の中の液体を全て振り掛けた。
シュワシュワという音と共に目映い光が溢れる。
そしてまるで光に溶けるように奴隷の証が消えていく。
「シエル……!! 消えてく!! 」
「本当ですか!? 」
驚きを隠せないのかシエルが声を弾ませる。
ただかなり滲みるのか、時々うっと小さく呻いていた。
「ほら、見てみろ」
俺は鏡を向かい合わせにすると、シエルに自分の背中を確認させる。
恐る恐るそれを見ていたシエルだったが、本当になくなっていることを確認するとわあ! と声をあげて跳び跳ねた。
「凄い! 凄いです! 本当にありません!」
「やったなシエル。これで……」
お前はもう奴隷じゃないよ、と言おうとしたとき、シエルがぎゅっと俺に抱き着いてきた。
「ありがとうございます。ありがとうございます……!! 」
「ああ」
俺はその小さな体を抱き締め返す。
子どもの体温ってのは温かいな。俺には熱いぐらいだ。
「私、絶対にヨリを守ります! だから、見てて下さいね」
俺を見上げて満面の笑みを浮かべるシエル。釣られて、思わず俺も口角をあげた。
しかしそのとき、サクヤから聞いた竜族の目覚めのことを思い出した。
世界の破壊者として覚醒するとは一体どういうことだ……?
そしてその破壊者という言葉が不良をボコボコにしたシエルの姿といやに合っていた。
シエルを破壊者になんてしたくない。
「あ、そのことなんだが……別に守って貰わなくても大丈夫だ」
「え……」
シエルは青冷めて俺の瞳のなかを覗き込んだ。
「私は……いらないということですか? 」
「ち、違う違う。そういうことじゃなくて……えーっとなんて言えば良いんだこれ」
そもそもシエルは竜族の生態を知っているのだろうか?
しかし見るからにしゅんとしてしまったシエルを見ると余計なことは言えない。
「その、何だ。ただ俺と一緒に暮らしてくれれば良いってことだ」
「一緒に……? 」
な、テンパりすぎて何だこれまるでプロポーズみたいなことを言ってしまったぞ。
俺はロリコンではないんだ。現にシエルは不思議そうにキョトンとした目で俺を見ている。
「あー、あー、そうだ。俺がピンチになったときは手助けしてくれ」
「なるほど、分かりました」
「ピンチになったときだけだぞ、ここ重要だ」
「はい」
本当に分かってるのかな……。まあ良いや。
「俺はシエルには普通の女の子として過ごして欲しいんだ。戦わなくなって良い。誰かを守らなくて良いから」
「普通の女の子……ですか」
あまりピンと来てないようなシエルが首をかしげる。
「普通に毎日一緒にご飯を食べて、お風呂に入って、たまには買い物をして、ベッドで寝る。それだけで良いんだ」
俺は彼女の艶やかな髪を撫でる。
「うん、何となく分かりました」
そう言って笑うシエルはごく普通の子どものように見えた。
「……うん」
背中を露にしたシエルが小さく頷いた。
その白くて滑らかな肌には痛々しい痣が刻まれている。
2匹の蛇が絡んだような醜悪なデザインで、これが奴隷の証。
「本物なんだろうな……」
そして天使の涙というアイテムだけがこの呪いを消すことが出来る唯一のもの。
サクヤから購入したものだが果たして本物なのだろうか……。
俺は瓶の栓を抜くと、1滴だけシエルの背中に垂らす。
しゅわっと炭酸が抜けるような音がした。
「……っ」
滲みるのか唇を噛むシエル。
「ごめん、大丈夫か? 」
「平気です。一気に塗ってください」
「でもそんなことしたら……」
「私は我慢できますから」
気丈にも笑顔を浮かべるシエル。
俺は分かった、と答えると瓶の中の液体を全て振り掛けた。
シュワシュワという音と共に目映い光が溢れる。
そしてまるで光に溶けるように奴隷の証が消えていく。
「シエル……!! 消えてく!! 」
「本当ですか!? 」
驚きを隠せないのかシエルが声を弾ませる。
ただかなり滲みるのか、時々うっと小さく呻いていた。
「ほら、見てみろ」
俺は鏡を向かい合わせにすると、シエルに自分の背中を確認させる。
恐る恐るそれを見ていたシエルだったが、本当になくなっていることを確認するとわあ! と声をあげて跳び跳ねた。
「凄い! 凄いです! 本当にありません!」
「やったなシエル。これで……」
お前はもう奴隷じゃないよ、と言おうとしたとき、シエルがぎゅっと俺に抱き着いてきた。
「ありがとうございます。ありがとうございます……!! 」
「ああ」
俺はその小さな体を抱き締め返す。
子どもの体温ってのは温かいな。俺には熱いぐらいだ。
「私、絶対にヨリを守ります! だから、見てて下さいね」
俺を見上げて満面の笑みを浮かべるシエル。釣られて、思わず俺も口角をあげた。
しかしそのとき、サクヤから聞いた竜族の目覚めのことを思い出した。
世界の破壊者として覚醒するとは一体どういうことだ……?
そしてその破壊者という言葉が不良をボコボコにしたシエルの姿といやに合っていた。
シエルを破壊者になんてしたくない。
「あ、そのことなんだが……別に守って貰わなくても大丈夫だ」
「え……」
シエルは青冷めて俺の瞳のなかを覗き込んだ。
「私は……いらないということですか? 」
「ち、違う違う。そういうことじゃなくて……えーっとなんて言えば良いんだこれ」
そもそもシエルは竜族の生態を知っているのだろうか?
しかし見るからにしゅんとしてしまったシエルを見ると余計なことは言えない。
「その、何だ。ただ俺と一緒に暮らしてくれれば良いってことだ」
「一緒に……? 」
な、テンパりすぎて何だこれまるでプロポーズみたいなことを言ってしまったぞ。
俺はロリコンではないんだ。現にシエルは不思議そうにキョトンとした目で俺を見ている。
「あー、あー、そうだ。俺がピンチになったときは手助けしてくれ」
「なるほど、分かりました」
「ピンチになったときだけだぞ、ここ重要だ」
「はい」
本当に分かってるのかな……。まあ良いや。
「俺はシエルには普通の女の子として過ごして欲しいんだ。戦わなくなって良い。誰かを守らなくて良いから」
「普通の女の子……ですか」
あまりピンと来てないようなシエルが首をかしげる。
「普通に毎日一緒にご飯を食べて、お風呂に入って、たまには買い物をして、ベッドで寝る。それだけで良いんだ」
俺は彼女の艶やかな髪を撫でる。
「うん、何となく分かりました」
そう言って笑うシエルはごく普通の子どものように見えた。
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