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第17話 買い物をしよう
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シエルは甘いパンケーキをいたく気に入ったらしい。また作って下さいね! と何度も言われた。
「気が向いたらな」
と答えると、シエルは「はい!! 」と元気に返事をした。
そしてそんなご機嫌なシエルを連れて少女向けの服を買いに再び城下町へと向かったのだった。
流石は大都市、色々な店がある。
「俺にはよく分からないからシエルの好きなものを選んでくれ」
「は、はい」
ウインドウに飾られた女の子向けの洋服を見ながらシエルは楽しそうにしている。
流石に奴隷時代から着ているボロボロの服のままでは可哀想だ。1シーズン10着ぐらいは買っておいた方が良いだろう。
と言っても女の子の服なんてよく分からないので俺には金を出すことしか出来ないが。
シエルのある店の前でぴたりと足を止めた。
そこはフリルやリボンがたくさん付いた可愛らしいデザインの洋服屋で、俺には眩しすぎた。
「これが良いのか? 」
「いらっしゃいませ、あら可愛らしいお嬢さんですね」
しっかりめなメイクをした女店員が顔を出した。
「ここで買うか」
シエルは「で、でも」と何故だか遠慮している様子だったが俺が半ば強引に店内へと押し込んだ。
「お人形さんのように可愛らしいお嬢さんですね、何でも似合うと思いますよ。どれから試着致しますか? 」
「え、えっとー」
シエルがちらりと俺を見る。
「どれでも好きなものを着ろ」
「……じゃああれをお願いします」
そう言うとシエルは、1着のワンピースを指差した。
桜色を基調として、大きなリボンが付いたシンプルながら可愛らしいワンピースだ。
ファッションに疎い俺から見ても可愛らしい洋服だと思う。
「こちらがお好みですか? それでは試着していきましょう」
女店員は楽しそうにシエルを試着室へと引き込んだ。
「俺はここで待ってるから」
シエルは一瞬不安そうに顔を曇らせたが、洋服の魅力には勝てなかったのだろう、直ぐに店員に着いていった。
噂には聞いていたが女の人って大変なんだな。洋服を選ぶのにもかなり時間がかかるのか。
そんなことを思いながら店内を見渡す俺。うーん、確かに可愛いな。
ファッションのことはよく分からないけど、この服を着ている子に告白されたら勢いでオッケーしてしまうかもしれない。
……なんて悲しい童貞の妄想だ。
「キャアアアアアアア!!! 」
甲高い女性の悲鳴。
「どうした!? 」
慌てて俺は声のした方に向かった。
そしてそこにいたのは、申し訳なさそうに頭を下げるシエルと、青ざめて震えている店員。
「ヨリ、出よう」
シエルは俺を見つけるなりそっと服を掴むと、退店を促した。
「え、あ、ど、どうしたんだ? 何があったんだ? 」
状況が飲み込めない俺は何度も聞き返す。
しかしシエルはふるふると首を横に振るばかりで、何も答えない。
すると店員が震えた声でこう言った。
「ど、奴隷……」
「え? 」
「奴隷に服は売れません。帰って、帰ってください!! 」
物凄い剣幕だ。そうか、彼女はシエルの背中にあるアザを見たのか。
「は? どうしてですか」
納得のいかない俺は食って掛かる。
「奴隷に触れることは……穢れを受け入れるのと同じことです。魂が穢れてしまいます……」
俺は思わずはぁ!? と声をあげた。
何を言ってるんだこの人は。
魂が穢れる? 何を言っているのかさっぱり分からない。
「行こうシエル、別のところで買おう」
「……うん」
シエルはちょこんと頷くと、俺の手を握ってきた。
俺はその手を、強く握り返した。
「気が向いたらな」
と答えると、シエルは「はい!! 」と元気に返事をした。
そしてそんなご機嫌なシエルを連れて少女向けの服を買いに再び城下町へと向かったのだった。
流石は大都市、色々な店がある。
「俺にはよく分からないからシエルの好きなものを選んでくれ」
「は、はい」
ウインドウに飾られた女の子向けの洋服を見ながらシエルは楽しそうにしている。
流石に奴隷時代から着ているボロボロの服のままでは可哀想だ。1シーズン10着ぐらいは買っておいた方が良いだろう。
と言っても女の子の服なんてよく分からないので俺には金を出すことしか出来ないが。
シエルのある店の前でぴたりと足を止めた。
そこはフリルやリボンがたくさん付いた可愛らしいデザインの洋服屋で、俺には眩しすぎた。
「これが良いのか? 」
「いらっしゃいませ、あら可愛らしいお嬢さんですね」
しっかりめなメイクをした女店員が顔を出した。
「ここで買うか」
シエルは「で、でも」と何故だか遠慮している様子だったが俺が半ば強引に店内へと押し込んだ。
「お人形さんのように可愛らしいお嬢さんですね、何でも似合うと思いますよ。どれから試着致しますか? 」
「え、えっとー」
シエルがちらりと俺を見る。
「どれでも好きなものを着ろ」
「……じゃああれをお願いします」
そう言うとシエルは、1着のワンピースを指差した。
桜色を基調として、大きなリボンが付いたシンプルながら可愛らしいワンピースだ。
ファッションに疎い俺から見ても可愛らしい洋服だと思う。
「こちらがお好みですか? それでは試着していきましょう」
女店員は楽しそうにシエルを試着室へと引き込んだ。
「俺はここで待ってるから」
シエルは一瞬不安そうに顔を曇らせたが、洋服の魅力には勝てなかったのだろう、直ぐに店員に着いていった。
噂には聞いていたが女の人って大変なんだな。洋服を選ぶのにもかなり時間がかかるのか。
そんなことを思いながら店内を見渡す俺。うーん、確かに可愛いな。
ファッションのことはよく分からないけど、この服を着ている子に告白されたら勢いでオッケーしてしまうかもしれない。
……なんて悲しい童貞の妄想だ。
「キャアアアアアアア!!! 」
甲高い女性の悲鳴。
「どうした!? 」
慌てて俺は声のした方に向かった。
そしてそこにいたのは、申し訳なさそうに頭を下げるシエルと、青ざめて震えている店員。
「ヨリ、出よう」
シエルは俺を見つけるなりそっと服を掴むと、退店を促した。
「え、あ、ど、どうしたんだ? 何があったんだ? 」
状況が飲み込めない俺は何度も聞き返す。
しかしシエルはふるふると首を横に振るばかりで、何も答えない。
すると店員が震えた声でこう言った。
「ど、奴隷……」
「え? 」
「奴隷に服は売れません。帰って、帰ってください!! 」
物凄い剣幕だ。そうか、彼女はシエルの背中にあるアザを見たのか。
「は? どうしてですか」
納得のいかない俺は食って掛かる。
「奴隷に触れることは……穢れを受け入れるのと同じことです。魂が穢れてしまいます……」
俺は思わずはぁ!? と声をあげた。
何を言ってるんだこの人は。
魂が穢れる? 何を言っているのかさっぱり分からない。
「行こうシエル、別のところで買おう」
「……うん」
シエルはちょこんと頷くと、俺の手を握ってきた。
俺はその手を、強く握り返した。
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