18 / 64
第17話 買い物をしよう
しおりを挟む
シエルは甘いパンケーキをいたく気に入ったらしい。また作って下さいね! と何度も言われた。
「気が向いたらな」
と答えると、シエルは「はい!! 」と元気に返事をした。
そしてそんなご機嫌なシエルを連れて少女向けの服を買いに再び城下町へと向かったのだった。
流石は大都市、色々な店がある。
「俺にはよく分からないからシエルの好きなものを選んでくれ」
「は、はい」
ウインドウに飾られた女の子向けの洋服を見ながらシエルは楽しそうにしている。
流石に奴隷時代から着ているボロボロの服のままでは可哀想だ。1シーズン10着ぐらいは買っておいた方が良いだろう。
と言っても女の子の服なんてよく分からないので俺には金を出すことしか出来ないが。
シエルのある店の前でぴたりと足を止めた。
そこはフリルやリボンがたくさん付いた可愛らしいデザインの洋服屋で、俺には眩しすぎた。
「これが良いのか? 」
「いらっしゃいませ、あら可愛らしいお嬢さんですね」
しっかりめなメイクをした女店員が顔を出した。
「ここで買うか」
シエルは「で、でも」と何故だか遠慮している様子だったが俺が半ば強引に店内へと押し込んだ。
「お人形さんのように可愛らしいお嬢さんですね、何でも似合うと思いますよ。どれから試着致しますか? 」
「え、えっとー」
シエルがちらりと俺を見る。
「どれでも好きなものを着ろ」
「……じゃああれをお願いします」
そう言うとシエルは、1着のワンピースを指差した。
桜色を基調として、大きなリボンが付いたシンプルながら可愛らしいワンピースだ。
ファッションに疎い俺から見ても可愛らしい洋服だと思う。
「こちらがお好みですか? それでは試着していきましょう」
女店員は楽しそうにシエルを試着室へと引き込んだ。
「俺はここで待ってるから」
シエルは一瞬不安そうに顔を曇らせたが、洋服の魅力には勝てなかったのだろう、直ぐに店員に着いていった。
噂には聞いていたが女の人って大変なんだな。洋服を選ぶのにもかなり時間がかかるのか。
そんなことを思いながら店内を見渡す俺。うーん、確かに可愛いな。
ファッションのことはよく分からないけど、この服を着ている子に告白されたら勢いでオッケーしてしまうかもしれない。
……なんて悲しい童貞の妄想だ。
「キャアアアアアアア!!! 」
甲高い女性の悲鳴。
「どうした!? 」
慌てて俺は声のした方に向かった。
そしてそこにいたのは、申し訳なさそうに頭を下げるシエルと、青ざめて震えている店員。
「ヨリ、出よう」
シエルは俺を見つけるなりそっと服を掴むと、退店を促した。
「え、あ、ど、どうしたんだ? 何があったんだ? 」
状況が飲み込めない俺は何度も聞き返す。
しかしシエルはふるふると首を横に振るばかりで、何も答えない。
すると店員が震えた声でこう言った。
「ど、奴隷……」
「え? 」
「奴隷に服は売れません。帰って、帰ってください!! 」
物凄い剣幕だ。そうか、彼女はシエルの背中にあるアザを見たのか。
「は? どうしてですか」
納得のいかない俺は食って掛かる。
「奴隷に触れることは……穢れを受け入れるのと同じことです。魂が穢れてしまいます……」
俺は思わずはぁ!? と声をあげた。
何を言ってるんだこの人は。
魂が穢れる? 何を言っているのかさっぱり分からない。
「行こうシエル、別のところで買おう」
「……うん」
シエルはちょこんと頷くと、俺の手を握ってきた。
俺はその手を、強く握り返した。
「気が向いたらな」
と答えると、シエルは「はい!! 」と元気に返事をした。
そしてそんなご機嫌なシエルを連れて少女向けの服を買いに再び城下町へと向かったのだった。
流石は大都市、色々な店がある。
「俺にはよく分からないからシエルの好きなものを選んでくれ」
「は、はい」
ウインドウに飾られた女の子向けの洋服を見ながらシエルは楽しそうにしている。
流石に奴隷時代から着ているボロボロの服のままでは可哀想だ。1シーズン10着ぐらいは買っておいた方が良いだろう。
と言っても女の子の服なんてよく分からないので俺には金を出すことしか出来ないが。
シエルのある店の前でぴたりと足を止めた。
そこはフリルやリボンがたくさん付いた可愛らしいデザインの洋服屋で、俺には眩しすぎた。
「これが良いのか? 」
「いらっしゃいませ、あら可愛らしいお嬢さんですね」
しっかりめなメイクをした女店員が顔を出した。
「ここで買うか」
シエルは「で、でも」と何故だか遠慮している様子だったが俺が半ば強引に店内へと押し込んだ。
「お人形さんのように可愛らしいお嬢さんですね、何でも似合うと思いますよ。どれから試着致しますか? 」
「え、えっとー」
シエルがちらりと俺を見る。
「どれでも好きなものを着ろ」
「……じゃああれをお願いします」
そう言うとシエルは、1着のワンピースを指差した。
桜色を基調として、大きなリボンが付いたシンプルながら可愛らしいワンピースだ。
ファッションに疎い俺から見ても可愛らしい洋服だと思う。
「こちらがお好みですか? それでは試着していきましょう」
女店員は楽しそうにシエルを試着室へと引き込んだ。
「俺はここで待ってるから」
シエルは一瞬不安そうに顔を曇らせたが、洋服の魅力には勝てなかったのだろう、直ぐに店員に着いていった。
噂には聞いていたが女の人って大変なんだな。洋服を選ぶのにもかなり時間がかかるのか。
そんなことを思いながら店内を見渡す俺。うーん、確かに可愛いな。
ファッションのことはよく分からないけど、この服を着ている子に告白されたら勢いでオッケーしてしまうかもしれない。
……なんて悲しい童貞の妄想だ。
「キャアアアアアアア!!! 」
甲高い女性の悲鳴。
「どうした!? 」
慌てて俺は声のした方に向かった。
そしてそこにいたのは、申し訳なさそうに頭を下げるシエルと、青ざめて震えている店員。
「ヨリ、出よう」
シエルは俺を見つけるなりそっと服を掴むと、退店を促した。
「え、あ、ど、どうしたんだ? 何があったんだ? 」
状況が飲み込めない俺は何度も聞き返す。
しかしシエルはふるふると首を横に振るばかりで、何も答えない。
すると店員が震えた声でこう言った。
「ど、奴隷……」
「え? 」
「奴隷に服は売れません。帰って、帰ってください!! 」
物凄い剣幕だ。そうか、彼女はシエルの背中にあるアザを見たのか。
「は? どうしてですか」
納得のいかない俺は食って掛かる。
「奴隷に触れることは……穢れを受け入れるのと同じことです。魂が穢れてしまいます……」
俺は思わずはぁ!? と声をあげた。
何を言ってるんだこの人は。
魂が穢れる? 何を言っているのかさっぱり分からない。
「行こうシエル、別のところで買おう」
「……うん」
シエルはちょこんと頷くと、俺の手を握ってきた。
俺はその手を、強く握り返した。
6
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる