金髪紅眼の後輩が彼女になりました!(ただし、彼女の正体は地上最強の人妖とする)

チョーカ-

文字の大きさ
上 下
18 / 35

 暗闇の海

しおりを挟む
 翔は目を覚ます。

「……負けたのか、俺は?」

「あっ! 起きましたか、翔先輩?」

「あかり、アイツは? 仮面をつけた化け物は、お前が倒してくれたのか?」

「はい? なんです? その化け物って?」

「えっと……だな? 俺は、温泉の中で白い仮面の死神と戦っていて……」

「温泉の中? 白い仮面? 死神? 先輩、疲れてませんか?」

「あれ? いや、あれ? (夢……だったのか? 本物の化け物がいたなら、あかりが反応しないわけない……よな?)」

「しっかりしてくださいよ、先輩。翔先輩は湯舟に浸かり、のぼせて失神していたのですよ」

「のぼせて失神って、そんな漫画みたいな……」

「翔先輩は、私に感謝してくださいよ。
 
 たまたま私が先輩の部屋に行って、たまたま、お風呂の方にいかなければ、溺れ死んでいたかもしれないのですからね!」

「それはありがとう。おかげで助かった……いや待て。たまたま、お風呂の方に入って来た?」

「……さて、そろそろ晩ご飯の時間らしいですね」

「誤魔化すな。お前、俺の入浴を覗こうとしたな」

「ぎ、ギクッ! い、良いじゃないですか! それで先輩の命が助かったと思えば、裸の1つ、2つくらい!」

「むっ……そう言われると強く言えないが……」

「そうですよ。私の活躍を先輩にも見せたかったくらいです!」

「うん、助かったよありがとう」

「沈みゆく先輩を見つけて、湯舟に飛び込んだ私は、先輩の体を肩に担いで――――」

「ハリウッドのアクションスターかな?」

 そんな話をしている最中だった。

「失礼します。お食事をお持ちいたしました」

 従業員らしき着物を着た人物が颯爽と現れ、慣れた手つきで食事を並べて行った。

「あかり、あかり」

「どうしましたか先輩、そんなに声のボリュームを殺して。大丈夫です、私わかってますよ? 今度、2人きりの時は和服でご奉仕をご希望ですね!」

「いや、全然違う。お前の『大丈夫』と『わかった』は要注意だな」

「ぶー それじゃなんですか?」

「ここの従業員さん……配膳係って言うか? 彼女たちは人間じゃなくて式神ってやつで良いんだよね?」

「はい、そうですね。見る人が見れば、人間ではないとわかると思います」

「へぇ~ 凄いなぁ。俺には、全然区別がつかないよ……そう言えば、けあきって何をしてるの?」

 その言葉に反応したのは、彼女の式神だった。

「ご主人さまは、外へ。浜の様子を見ているそうです」

「あっ、そうなんですね。ありがとうございます(返事があるとは思ってなかった。本当に人間と区別がつかないなぁ)」

「先輩、畏まって反応が面白いです」

「お前は、誰に対しても怖気ないなぁ。……でも、浜? なんでこんな時間帯に海辺なんかに?」

「先輩は女心がわかりませんね」

「お前はわかると言うのか?」

「当り前です。休日に友人を誘った海……しかし、その友人は彼ピッピとイチャラブ。夜の海を眺めて、侘びしさと寂しさを……これは何? 涙?」

「随分と解像度が高いなぁ、おい!」

「まぁ、食事を取ったら、探しに行ってみるか? (あの死神……本当に夢だったのか? そもそも、俺たちをここに呼んだ理由、けあきに聞いていなかった)」

「えぇ?」

「露骨に嫌そうな顔をするなよ。ほら、料理が運ばれて……あれ? 洋食?」

「う~ん ここがレストランなら、文句のないほどのコース料理なんですが、和テイストの旅館なので違和感が半端ないですね!」

「申し訳ありません。主人の天王けあきは、洋食を好まれておいでなので、私たちも和食は嗜む程度……お客様にお出しするのは難しく」

 そんな式神を話しを聞いた2人は

「なるほど……(釣りか!)」

「そうですね!(明日は釣りをしましょう!)」
 
・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

「ふぅ~ 食べ過ぎて眠くなりました。血糖値を下げるために夜の散歩も悪くはないですね」

「流石に、量が凄かったからなぁ。あれって絶対に、けあきの分を入れて3人分だったよな?」 

「まぁ、当人がいないのですから出された物は全部食べないと……私はそういう主義なのですよ」

「そうか……それにしても暗いな。月明りだけで、周囲に建物もないから、雲が出たら真っ暗になる。せめて、懐中電灯を用意して貰えばよかったかもしれないな」

「そうですね。まぁ、私は夜でも目が効くので平気ですが」

「じゃ、真っ暗になったらナビゲートを頼むよ」

「はい! 暗闇のドサクサに紛れて、あんな事や、こんな事を……セクハラ、やり放題で楽しみです!」

「お前、思った事を口にしないためのブレーキを作った方がいいよ?」

「え? でも、先輩は『素直で正直な君が好きだ』って言ってくれたじゃありませんか?」

「そう言えば――――いや、言ってない。(言ってないよな? たぶん)」

「ほら、こんな話をしていたら、月が雲に隠れて……ふっ、やはり勝利の女神は私に祝福を与えてくれる」

「お前――――いや、待て! あそこ! ……いや、そこじゃない。セクハラするな! あそこを、あそこを見ろ! なんか、戦っていないか!?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

温度

さいこ
恋愛
 ごく普通の会社員として生きるアラサー女・柏木 慶は恋愛に疲れていた 年々男性に対する期待も薄くなり恋愛することを諦めかけている一方で、 このまま女としての幸せを掴めずに20代を終えてしまうのでは、というリアルな焦りもある    そんな中、流れで顔見知りの年下男子に手を出してしまった 色々な気まずさから彼を避けるようになったはずだが…  恋愛をこじらせ素直に受け取れない大人の女性と、それをぶち壊したい年下男子の攻防戦 彼女と彼は、果たして幸せを手に入れることが出来るのか

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...