交わらない心

なめめ

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解かせない心

解かせない心②

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飯田の冗談にまんまと本気になって信じた千晃を笑っている二人に呆れるが、そんなことよりも今最大の悩みに直面しているだけに一緒になって笑う余裕はなかった。

「ねぇ、俺って重い?」

ストローに口をつけては咥えたまま気だるげに二人に訊く。

「重いね」
「重いな」

すると、飯田と辻本はお互いに一瞬だけ目を合わせると息のあった双子のように口を揃えて言ってきた。何となくそう返してくると予想はしていたがいざ、言葉に出されるとグサリと刺さるものがある·····。

「二人して容赦ないっ」

「千晃が聞いてきたんだろ。それに、担任に呼び出されたくらいで桜田を取り返しに行くなんて振られた後になかなか行かないよなぁ?辻本」

「まー。俺も相手がモモたんで振られたなら遠くから優しく見守るよ」

遠い目をして突然アイドルと結びつけて話す辻本。そうだ、こいつは根っからのドルヲタだから男同士でどうたらなんてならない性だった。

「モモたんと優は違うだろ。てかあの時は飯田がっ!?」
 
「さて?俺は行くとは言ったけど中に入るとはいってないし?突撃するとも言ってないけど?」

「まぁ、そうだけど·····。足早に戻らなくていいじゃん」

とぼけたようにしらを切る飯田に千晃は深くため息をついては考え込んだ。確かにあの時放ったのは自分の言葉で間違いないし、準備室に行ったのもきっかけは飯田であったが本心では優作のことが気になってたから行ったまでだ。

扉を開けたら急に飛び出してきた優と水澤。それと中から聴こえた何が倒れるような音。
詳しいことは分からないがただ事ではないのは一瞬で理解出来た。

血相を青くしていた優作に対して顔色一つ変えずに自分を見てくる水澤。
もし優作と水澤が双方合意の中であろうとも野生の勘で優作をアイツに近づかせたいとは思えなかった。。それくらい嫌悪感を感じた。

優作の照れでも火照りでもない首元の赤み。

優作を傷つけるのは許せなかったから水澤を思い切り睨んだ。友達として、これ以上の感情を表に出すことを抑えなきゃと分かっていても好きな人のピンチには救いの手を差し伸べたい。

そう思っていても優作が壁を壊してくれないことには前に進めないし、強く突き放されると引くしかない。


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