88 / 140
解かせない心
解かせない心②
しおりを挟む
飯田の冗談にまんまと本気になって信じた千晃を笑っている二人に呆れるが、そんなことよりも今最大の悩みに直面しているだけに一緒になって笑う余裕はなかった。
「ねぇ、俺って重い?」
ストローに口をつけては咥えたまま気だるげに二人に訊く。
「重いね」
「重いな」
すると、飯田と辻本はお互いに一瞬だけ目を合わせると息のあった双子のように口を揃えて言ってきた。何となくそう返してくると予想はしていたがいざ、言葉に出されるとグサリと刺さるものがある·····。
「二人して容赦ないっ」
「千晃が聞いてきたんだろ。それに、担任に呼び出されたくらいで桜田を取り返しに行くなんて振られた後になかなか行かないよなぁ?辻本」
「まー。俺も相手がモモたんで振られたなら遠くから優しく見守るよ」
遠い目をして突然アイドルと結びつけて話す辻本。そうだ、こいつは根っからのドルヲタだから男同士でどうたらなんてならない性だった。
「モモたんと優は違うだろ。てかあの時は飯田がっ!?」
「さて?俺は行くとは言ったけど中に入るとはいってないし?突撃するとも言ってないけど?」
「まぁ、そうだけど·····。足早に戻らなくていいじゃん」
とぼけたようにしらを切る飯田に千晃は深くため息をついては考え込んだ。確かにあの時放ったのは自分の言葉で間違いないし、準備室に行ったのもきっかけは飯田であったが本心では優作のことが気になってたから行ったまでだ。
扉を開けたら急に飛び出してきた優と水澤。それと中から聴こえた何が倒れるような音。
詳しいことは分からないがただ事ではないのは一瞬で理解出来た。
血相を青くしていた優作に対して顔色一つ変えずに自分を見てくる水澤。
もし優作と水澤が双方合意の中であろうとも野生の勘で優作をアイツに近づかせたいとは思えなかった。。それくらい嫌悪感を感じた。
優作の照れでも火照りでもない首元の赤み。
優作を傷つけるのは許せなかったから水澤を思い切り睨んだ。友達として、これ以上の感情を表に出すことを抑えなきゃと分かっていても好きな人のピンチには救いの手を差し伸べたい。
そう思っていても優作が壁を壊してくれないことには前に進めないし、強く突き放されると引くしかない。
「ねぇ、俺って重い?」
ストローに口をつけては咥えたまま気だるげに二人に訊く。
「重いね」
「重いな」
すると、飯田と辻本はお互いに一瞬だけ目を合わせると息のあった双子のように口を揃えて言ってきた。何となくそう返してくると予想はしていたがいざ、言葉に出されるとグサリと刺さるものがある·····。
「二人して容赦ないっ」
「千晃が聞いてきたんだろ。それに、担任に呼び出されたくらいで桜田を取り返しに行くなんて振られた後になかなか行かないよなぁ?辻本」
「まー。俺も相手がモモたんで振られたなら遠くから優しく見守るよ」
遠い目をして突然アイドルと結びつけて話す辻本。そうだ、こいつは根っからのドルヲタだから男同士でどうたらなんてならない性だった。
「モモたんと優は違うだろ。てかあの時は飯田がっ!?」
「さて?俺は行くとは言ったけど中に入るとはいってないし?突撃するとも言ってないけど?」
「まぁ、そうだけど·····。足早に戻らなくていいじゃん」
とぼけたようにしらを切る飯田に千晃は深くため息をついては考え込んだ。確かにあの時放ったのは自分の言葉で間違いないし、準備室に行ったのもきっかけは飯田であったが本心では優作のことが気になってたから行ったまでだ。
扉を開けたら急に飛び出してきた優と水澤。それと中から聴こえた何が倒れるような音。
詳しいことは分からないがただ事ではないのは一瞬で理解出来た。
血相を青くしていた優作に対して顔色一つ変えずに自分を見てくる水澤。
もし優作と水澤が双方合意の中であろうとも野生の勘で優作をアイツに近づかせたいとは思えなかった。。それくらい嫌悪感を感じた。
優作の照れでも火照りでもない首元の赤み。
優作を傷つけるのは許せなかったから水澤を思い切り睨んだ。友達として、これ以上の感情を表に出すことを抑えなきゃと分かっていても好きな人のピンチには救いの手を差し伸べたい。
そう思っていても優作が壁を壊してくれないことには前に進めないし、強く突き放されると引くしかない。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件
水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて──
※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。
※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。
※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる