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早坂家は大騒ぎ
早坂家は大騒ぎ⑤
しおりを挟む「それに、俺はそんなに弱くないよ?誹謗中傷に慣れてる俺を見縊らないで?渉太の家族にいい印象受けてもらえなくても、努力するから。そうなった時は、俺を信じて一緒に乗り越えていこ?朝倉律仁は超絶優しいイケメンで渉太を一生大切にしますって全力でアピ―ルをし続けてあげるから」
「自分で言いますか?それ」
超絶優しいイケメンを自ら両親に告げるのはどうかと思うが、嬉しい言葉には違いない。
「事実でしょ。俺渉太の為ならなんでもできる自信あるし」
表舞台に出る人なのだから当たり前のことではあるが、相変わらずの自信家なところは自分に持っていない部分なだけに尊敬する。
そして敢えてのその自信に満ちた言葉は渉太を元気づける為の律仁さんなりの励ましであることも知っている。
「確かに律仁さんはたまにダサくて意地悪なところもあるけどカッコいいし、いつもドキドキさせられますけど……」
「ダサいは余計なんだけど」
渉太の一言に怒った律仁さんが両脇腹を指で擽ってくる。
律仁さんの擽りにより、笑いのツボが刺激され、我慢できず身体をくねらせ笑いが止まらなくなった渉太は「や、やめてください。擽ったい」と言うと直ぐに止めてくれた。
「渉太の弱いところ沢山知ってるんだから、余計な発言は慎みなさい」っと軽い叱咤を受け、それが更に面白くて、目尻の涙を人差し指で拭う。
「でも、ありがとうございます。何だか少し両親に話してみる勇気が出たような気がします。帰省したら俺も律仁さんの為に頑張ってみますね」
「無理しなくていいからね?ゆっくりいこう」とこめかみに唇を寄せてくる律仁さんに擽ったさを感じて首を竦める。
律仁さんと恋人になってから毎日が楽しくて、幸せで律仁さんからの愛を沢山貰っていると実感させられている。
「そうだ、渉太。実家の住所教えて?」
「いいですけど、どうしてですか?」
実家の話をしていたとはいえ、この流れで住所を聞いてくる律仁さんの意図が掴めずに問う。
「渉太、お正月はずっと実家なんでしょ?何かあった時の為にも知っておいて損はないでしょ?」
「別に……連絡してくれたら俺、飛んでいきますよ?」
「いいから、もしもの為にね?俺が正月中に事故で倒れたら困るじゃん?大樹にも言伝頼めるしさ?」
「そうですけど。そ、そんな物騒なこと言わないでください」
万が一、律仁さんが何かしらで倒れることがあるなんて考えたら生きた心地がしない。
そんなことはないと信じたいが……。
どうしても実家の住所が知りたいのか、念を送るように詰め寄ってくるので、仕方なく教えることにした。渉太は
テーブルのスマホを手に取り、SNSアプリを介して住所を添付して送ると、暫くして律仁さんがポケットから自身のスマホを取り出し、通知を確認すると「サンキュー」と口元をニヤつかせていた。
いつものように何かを企んでいる感が否めなかったが、彼の言うように教えていて損はないだろうし、律仁さんは実家の住所を知って悪用するような悪い人ではないと信じているのであまり気に留めなかった。
「あー早く渉太と結婚してお嫁さんにもらいたい」
溜息を吐くようにそう呟かれ、お腹に回されていた腕にキュッと力を入れてくると、項に顔を埋められる。
今日は一段と甘えてくる律仁さんに収まっていたはずの鼓動が再び早くなった。
「よ、よ、よ、嫁っ!?」
首筋に当たる髪の毛のこそばゆさとお嫁さん発言に動揺して、思わず律仁さんの方を振り向くと、愛おしさを含めた
瞳でじっと見つめられる。どうやら冗談で言っている訳では無いらしい。
律仁さんの·····アイドルのお嫁さんだなんて想像したことない。今こうしてお付き合いをしているだけでも奇跡に近いのに生涯の伴侶だなんて誰が考えただろう。
「それとも婿がいい?」
「そ、そ、そ、そういう問題じゃないです。お、俺だって律仁さんとずっと一緒にいられたらいいとは思うけど、まだ結婚とかまでは考えられなくて。それにそれでこそ両親に打ち明けて両家に挨拶とか段取り組まなきゃ……」
ぶあっと汗を滲ませながら必死の思いで答えていると律仁さんの笑い声が耳元で響いてくる。
「ははは、渉太焦りすぎ。そんなに真面目に身構えないで、今すぐにって訳じゃないから。でも、それくらい渉太のことを愛しているのは心得ておいてね」
「心得てって言われても……そんなのどうしたらいいか……」
背中から感じる律仁さんの体温と心臓の鼓動。頭がクラクラするほどの甘いひと時にほろ酔い気分でいると、耳たぶを甘噛みされた。
咄嗟のことに身体をビクリと震わせると「まったりタイムは終わりでいい?」と耳元で囁かれ、熱を帯びた瞳で見つめられて、渉太は生唾を吞み込んだ。
今自分は世界一幸せ者であることは自覚している。憧れの人に·····好きな人にこんなにも愛されているんだから·····。
軽く背後から唇に口付けをされるとそのまま腰を持ち上げられて、立ち上がっては律仁さんに背中を抱かれながら寝室は向かう·····のかと思えば浴室の前で立ち止まった。
「り、律仁さん、ここで大丈夫ですっ。俺、先に入ってくるんで寝室で待っててください……」
「やっぱり駄目。渉太と入りたい·····一分でも一秒でも渉太との時間を無駄にしたくないから。ダメ?」
「だ、ダメって言われても·····は、恥ずかしいです·····」
「·····その恥ずかしい姿を俺はみたいなー·····」
渉太の奥底で眠る性欲を掻き立てるように耳元を甘噛みされて、舌で縁を舐められる。
「ひゃっ·····」
「どうする?そのままするか、一緒にお風呂に入るか」
「お互い終わるまで待つって言う選択肢はないんですか?」
「そんな選択はありません。俺、今猛烈に渉太と離れたくない気分だから、このままお風呂でもトイレでもついていく気でいるけど?」
「と、と、トイレって……ひっ‼」
やはり恥ずかしさから律仁さんとシャワーに浴びる行為に抵抗はあるが、良いと返事を聞くまで食い下がる気が毛頭ないのか集中的に耳元を責められる。
これ以上此処に留まっていたら渉太の理性も限界に達しそうだったので、大人しく頷くことにした。
裸を見られる恥ずかしさより、汚れた身体のまま律仁さんに抱かれるのだけは避けたい·····。
「わかりました·····。だけどまだ二回目だから手加減してください」
「もちろん、あんまり無理はさせないから」
律仁さんのくれる愛に自分も応えたい·····。
あの甘く溶けるようなキスをして愛を確かめ合いたい。
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