118 / 286
ファンであること
18-1
しおりを挟む
「昨日の最終回、柑奈さん見ました?律、カッコ良くなかったですかー?」
「そうだね」
午後21時の少し前、暇そうにしている女子高校生アルバイトの武内仁香さんと花井さんがレジで喋っていた。俺は裏の個室で休憩をしていたが、レジで話している声は丸聞こえ。
聴こえる声は殆どが武内さんで、武内さんが一方的に話してるのを花井さんが偶に相打ちを打っているような印象だった。
「あのことはショックだったんですけどーやっぱり律は格好良いですよねー」
彼女が話しているあのこととは、律の週刊誌のことだろうと直ぐに勘づかせる。
渉太は『律』『最終回』の言葉だけでも既に背筋に緊張が走っていた。
欠かさず見ていた律の番宣もドラマも、録画はしてあるものの真面に観れていない。だから、ドラマの結末も分からないまま。
飾ってあった律の雑誌も背表紙を向けては、あまり意識を向けないようにしていた。
律を見ると律仁さんと過ごした日のことを思い出しては胸が締め付けられるからだった。
好きなのに好きになってはいけない人。
21時になり、休憩時間が終わる。
律の話が一向に終わらない武内さんに花井さんが「もう21時だよ」と帰るように促すと入れ違いで渉太は表に出てきた。
客は当然誰もいなくて、手が空いているので
渉太は店内をモップ掛けをする。お弁当の品出ししていた花井さんの後ろを通ると「お疲れ様」と声をかけられては、渉太は立ち止まっては「お疲れ」と返す。
休憩から上がったばかりなのにと不思議に思っていたが、花井さんが俺と話すためのワンクッション替わりに挨拶をしてきたのだと悟った。
「ビックリしたよね、あの記事。渉太くんショックだったんじゃないかなーって思って」
「別に俺はあの記事のこと、信じてないので。律はそんな人じゃないし」
冷静になって読み返した律と大樹先輩の彼女との天体デートの記事の内容はとても読めたもんじゃなかった。
「律に遊ばれて捨てられた」「毎晩多数の女性と関係をもっていて……」だとか、書き手が律を天から地へと陥れるための悪意に塗れた文章が誌面に並べられていた。
「そうだね」
午後21時の少し前、暇そうにしている女子高校生アルバイトの武内仁香さんと花井さんがレジで喋っていた。俺は裏の個室で休憩をしていたが、レジで話している声は丸聞こえ。
聴こえる声は殆どが武内さんで、武内さんが一方的に話してるのを花井さんが偶に相打ちを打っているような印象だった。
「あのことはショックだったんですけどーやっぱり律は格好良いですよねー」
彼女が話しているあのこととは、律の週刊誌のことだろうと直ぐに勘づかせる。
渉太は『律』『最終回』の言葉だけでも既に背筋に緊張が走っていた。
欠かさず見ていた律の番宣もドラマも、録画はしてあるものの真面に観れていない。だから、ドラマの結末も分からないまま。
飾ってあった律の雑誌も背表紙を向けては、あまり意識を向けないようにしていた。
律を見ると律仁さんと過ごした日のことを思い出しては胸が締め付けられるからだった。
好きなのに好きになってはいけない人。
21時になり、休憩時間が終わる。
律の話が一向に終わらない武内さんに花井さんが「もう21時だよ」と帰るように促すと入れ違いで渉太は表に出てきた。
客は当然誰もいなくて、手が空いているので
渉太は店内をモップ掛けをする。お弁当の品出ししていた花井さんの後ろを通ると「お疲れ様」と声をかけられては、渉太は立ち止まっては「お疲れ」と返す。
休憩から上がったばかりなのにと不思議に思っていたが、花井さんが俺と話すためのワンクッション替わりに挨拶をしてきたのだと悟った。
「ビックリしたよね、あの記事。渉太くんショックだったんじゃないかなーって思って」
「別に俺はあの記事のこと、信じてないので。律はそんな人じゃないし」
冷静になって読み返した律と大樹先輩の彼女との天体デートの記事の内容はとても読めたもんじゃなかった。
「律に遊ばれて捨てられた」「毎晩多数の女性と関係をもっていて……」だとか、書き手が律を天から地へと陥れるための悪意に塗れた文章が誌面に並べられていた。
14
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
国民的アイドルの元ライバルが、俺の底辺配信をなぜか認知している
逢 舞夏
BL
「高校に行っても、お前には負けないからな!」
「……もう、俺を追いかけるな」
中三の卒業式。幼馴染であり、唯一無二のライバルだった蓮田深月(はすだ みつき)にそう突き放されたあの日から、俺の時間は止まったままだ。
あれから15年。深月は国民的アイドルグループのセンターとして芸能界の頂点に立ち、俺、梅本陸(うめもと りく)は、アパートでコンビニのサラミを齧る、しがない30歳の社畜になった。
誰にも祝われない30歳の誕生日。孤独と酒に酔った勢いで、俺は『おでん』という名の猫耳アバターを被り、VTuberとして配信を始めた。
どうせ誰も来ない。チラ裏の愚痴配信だ。
そう思っていた俺の画面を、見たことのない金額の赤スパ(投げ銭)が埋め尽くした。
『K:¥50,000 誕生日おめでとう。いい声だ、もっと話して』
『K』と名乗る謎の太客。
【執着強めの国民的アイドル】×【酒飲みツンデレおじさんV】
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる