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それは突然に…
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「この律さーかっこよくない?この新米刑事姿」
大学のお昼のラウンジ。隣のテーブルから週間テレビ雑誌を広げては聞こえてくる3人組の女の子達の声。
渉太はひっそり隣に聞き耳を立てながらも、スマホのテレビでその渦中の人物がバラエティ番組にドラマの宣伝として出ているのを見ていた。
「うんうん、似合ってるよねー」
「でも、あの大物俳優の部下役でしょ?相当プレッシャーじゃない?」
「確か、厳しいって噂だよね」
「大丈夫かなー私たちで頑張って応援しよっ」
律の活動が著しい。
秋からのドラマが決まり、放送もこれから始まる。
番宣でバラエティ番組に出ずっぱり、雑誌での露出も増えて、本人のインタビューや撮影の模様なんかが掲載されてたりヲタクにとって推しが表に出てくるは最高の目の肥やしだった。
準主役だが、大物俳優の和田功の相棒役なだけにわりと重要な位置にいる。
渉太も雑誌を買っては律の活躍を追って応援していた。
それにそのドラマの主題歌も律の曲だから楽しみが倍増する。
律が軌道に乗ってると同時に自分の日常も徐々にいい方へと風向きが変わり始めていた。
全ての講義が終わった後にサークルにも度々顔を出すようになった。
最初は輪の中になかなか溶け込めなかったが、講義が同じだった女の子に誘われ、時折大樹先輩の力も借りながらサークルでの自分の居場所を見つけることが出来た。
何より興味があることなので、知らなかった知識交換などができて楽しい。
このことを……自分が今凄く前向きに学校を楽しめていることを律仁さんに話したかったが、律仁さんとは夏の天体観測の時、「今度、渉太ん家教えてね?」なんて自宅付近の大学最寄りで車を降ろしてもらい、別れた時以来会えてはいなかった。
自分が失言をしてしまったからなんて思ったりもしたが、律仁さんは社会人だし、通教制なので来ていないことの方が当たり前。
仕事が忙しいなら尚更来ないのは当然だった。
なのに、昼の時だけはサークルの活動には寄らずにラウンジで昼食をとってはいつものように自分の元に来るのではないかと微かな期待を毎日抱いていてしまう。
話したい事が沢山あるのに、あんなに過去の話も打ち明けて深く関わっていたように見えていても、律仁さんの連絡先は全く知らなかったことに落胆する。
目に写しているのは律なのに、律仁さんのことを考えてしまうのは、やっぱり何処と無く律と律仁さんが似ているような気がするからだろうか……。全く別なのに……。
すると、目の前の椅子が引かれては向かいに誰かが座った気配がした。もしや……と思って顔を上げる。しかし、そこにいたのは大樹先輩だった。
大学のお昼のラウンジ。隣のテーブルから週間テレビ雑誌を広げては聞こえてくる3人組の女の子達の声。
渉太はひっそり隣に聞き耳を立てながらも、スマホのテレビでその渦中の人物がバラエティ番組にドラマの宣伝として出ているのを見ていた。
「うんうん、似合ってるよねー」
「でも、あの大物俳優の部下役でしょ?相当プレッシャーじゃない?」
「確か、厳しいって噂だよね」
「大丈夫かなー私たちで頑張って応援しよっ」
律の活動が著しい。
秋からのドラマが決まり、放送もこれから始まる。
番宣でバラエティ番組に出ずっぱり、雑誌での露出も増えて、本人のインタビューや撮影の模様なんかが掲載されてたりヲタクにとって推しが表に出てくるは最高の目の肥やしだった。
準主役だが、大物俳優の和田功の相棒役なだけにわりと重要な位置にいる。
渉太も雑誌を買っては律の活躍を追って応援していた。
それにそのドラマの主題歌も律の曲だから楽しみが倍増する。
律が軌道に乗ってると同時に自分の日常も徐々にいい方へと風向きが変わり始めていた。
全ての講義が終わった後にサークルにも度々顔を出すようになった。
最初は輪の中になかなか溶け込めなかったが、講義が同じだった女の子に誘われ、時折大樹先輩の力も借りながらサークルでの自分の居場所を見つけることが出来た。
何より興味があることなので、知らなかった知識交換などができて楽しい。
このことを……自分が今凄く前向きに学校を楽しめていることを律仁さんに話したかったが、律仁さんとは夏の天体観測の時、「今度、渉太ん家教えてね?」なんて自宅付近の大学最寄りで車を降ろしてもらい、別れた時以来会えてはいなかった。
自分が失言をしてしまったからなんて思ったりもしたが、律仁さんは社会人だし、通教制なので来ていないことの方が当たり前。
仕事が忙しいなら尚更来ないのは当然だった。
なのに、昼の時だけはサークルの活動には寄らずにラウンジで昼食をとってはいつものように自分の元に来るのではないかと微かな期待を毎日抱いていてしまう。
話したい事が沢山あるのに、あんなに過去の話も打ち明けて深く関わっていたように見えていても、律仁さんの連絡先は全く知らなかったことに落胆する。
目に写しているのは律なのに、律仁さんのことを考えてしまうのは、やっぱり何処と無く律と律仁さんが似ているような気がするからだろうか……。全く別なのに……。
すると、目の前の椅子が引かれては向かいに誰かが座った気配がした。もしや……と思って顔を上げる。しかし、そこにいたのは大樹先輩だった。
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