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悪ノリ
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心臓がドクドクと脈打つ。
ほんの少し手の平に汗を湿らせ、精一杯笑顔を作る。
どうしてこんなにも緊張しているのかと言えば、今日、本日、この日、私の好きな人が家に泊まりに来てるから。
と言っても、ふたりきりではない。
初めてのお泊まりで、ふたりきりは 緊張して ろくに喋れなくなる。
だからあえて友達も誘い、あわよくば隣に寝られたらいいなあ、なんて 思ってる。
「照、お前 ふざけんな!」
庄司が叫ぶ。
2つしかないコントローラーを4人で回しながらゲームをしている。
私は初めてのマリ○カートで見事に逆走や落下ばかりを繰り返し、半泣きだった。
当然最下位で「やっぱりゲームはむいてない……」なんて落ち込んでいたら、途中で照が代わってくれた。
そして 照は楽しそうに笑いながら、スイスイとコンピューターを追い抜かし、1位だった庄司に甲羅を当て、庄司を追い抜かした後に 追い討ちをかけるように爆弾を後ろに投げつけた。
庄司の順位がガクンと下がる。
「すごい!」
拍手をして、照を見る。
相変わらずニコニコしている照が、かっこよくて 可愛くて、私も口許を緩めてしまう。
「私たち、低レベルすぎて2人についてけないよね」
聡子がコップを両手で包み込みながら苦笑いする。
彼女の眼鏡が少し、曇っている。
「だね」
「それにしても……お主、相も変わらず さわりたくなる体してるのお」
聡子はコップをテーブルに置いて、私に寄りかかりながらお腹をむにゅむにゅつまみ始める。
「やめっ……くすぐったい!」
後ろから脇の下に腕を通され、動けなくなる。
次第にお腹から胸へ手が移動する。
「聡子~!」
「うへへ、うへへへへへ」なんて、聡子はふざけながら 胸を揉みしだいた。
誰かがゴールしたときに鳴る音楽が聞こえる。
「眼福、眼福」
照が立ち上がり、飲み物を手に取る。
「照、助けて~!」
「くっそー、俺だけ置いてけぼりにするなー!」
庄司はこちらをチラチラ見ながら、ゴールを目指していた。
「なんだよー、千花。高校のときはよく さわらせてくれてたじゃんかー」
照に見られているのが恥ずかしくて、若干本気で聡子から離れようとしていたら、彼女はふてくされたように言った。
「それは……そうだけど!」
「そうなんだ」
照は優しく笑って、隣に座る。
胸がきゅっと締め付けられる。
「そうだよー、おっぱいタッチが挨拶みたいなもんでさ」
聡子は自慢気にそう言って、すかさず胸に手を当てた。
「聡子~!!」
「何楽しそうなことしてんだよー!」
庄司がゴールして、四つん這いでこちらに向かってくる。
滑り込みながら、正座していた私の膝に頭を乗せた。
「俺も揉みたい!」
「ふぇ!?」
ばか正直な庄司に心底驚く。
「おー!揉め揉めー!」
聡子が調子に乗る。
「何言ってんの!」
本気で怒るも、庄司が上目遣いに「ダメ?」と聞いてくるから 少し気持ちが揺らぐ。
いくら女の子同士とは言え、庄司の見た目は男の子っぽいし すごく気が引ける。
それに、何より、照がいる。
誰にでもこんな風にしてると思われたら、嫌だ。
「ちょっとだけ!ね?」
庄司は両手を胸に近づける。
「減るもんじゃないし、いいじゃーん」
変態おやじみたいなことを言う聡子は、背後に座りながら私の胸を揺らす。
断りそびれて、庄司も聡子と一緒になって揺らし始めた。
「カオスだな」
照はコーラを飲みながらこちらを見て笑っていた。
恥ずかしくて顔が熱くなる。
「うっひょー、やわらけー!」
庄司はアホ面になりながら叫ぶ。
聡子も庄司も、さっきまでお酒を飲んでいたから、少し酔っているのかもしれない……と、広い心で接することにした。
「照もさわらせてもらえばいいのに!」
庄司が言うと、照はコーラを喉につまらせ 咳をする。
私は、ゴクリと唾を飲んで、照を見た。
「巨乳をさわらせてもらえる機会なんて、なかなかないぞ!」
「そうだぞ!」
聡子は高校のときからさわり続けてるのに、何を言ってるのか……。
「照はね、最高でCカップしか揉んだことないんだぜ」
庄司が言うと、照は慌てて「何言ってんだよ!」と怒った。
おそらく、照がさわってきたのは過去の彼女たち……。
Gカップの私はそれを聞いて、少し優越感に浸る。
「てか、ダメでしょ」
照は頭をポリポリ掻きながら、眉を下げて こちらを見た。
「仮にも私たちはビアンなわけだし……ノンケならまだしも」
庄司は「うっ」と唸り、項垂れた。
「ごめん」
素直なところが庄司の悪いところであり、良いところでもある。
「いいのか?」
突然、耳元で聡子が囁く。
「大好きな照にさわってもらえる絶好の機会だよ?」
ドキッとする。
「逃していいのか?この機会を」
まるで悪魔の囁きだ。
横で、起き上がった庄司が 私の胸の柔らかさについて熱弁していた。
照は優しく笑いながら、話を聞いている。
頭の中がグルグルする。
照に押し倒されるところを想像しただけで、下腹部がきゅっと締まる。
「Youの魅惑のボディで、虜にさせちゃいなよ」
肩から顔を覗かせる聡子と目が合う。
ニヤリと笑い「ほれ、ほれ」と背中を押される。
一人暮らしのこの部屋で、何度想像したことか。
照にエッチなことをされるとこ……。
まさかこんな形からとは思わなかったけど、確かに絶好の機会にも思えた。
唾を飲み込む。
「照、千花がさわって欲しいって!」
私の表情を見て察した聡子が楽しそうに言う。
「はあ!?」
「え?」
「さわって欲しい」なんて言い方をするとは思わなくて、ギョッとする。
照も驚いている。
「本人がさわって欲しいって言ってるんだから、ここはノリでいいんじゃない?」
聡子が悪い顔をしている。
私は恥ずかしさで手にじわじわと汗をかき、顔から火が出そうだ。
「さわっていいの?」
照が苦笑いする一方で、庄司は弾けたような笑顔になった。
「さわったほうがいいよ!」
庄司が後押しする。
私が意を決して頷くと、照は恐る恐る近づいてきた。
「じゃあ……」
両手をぎこちなく前にやり、一瞬ためらってから、そっと胸にふれた。
ゆっくりと、優しく揉まれ 指の先まで神経がピリピリする。
締め付けられる下腹部を軽減させようと、両足に力が入る。
荒くなる息を必死に抑えながら、歯を食いしばった。
少し緊張が解けたのか、照の揉むスピードが速くなる。
そのさわり方が手慣れている感じがして、気持ちよくなってしまいそうになるのを堪えるのが大変だ。
「ほんとだ、やわらかい」
照の優しい笑顔は、反則だ。
なんでも許したくなる。
「だろー!」
庄司が楽しそうに笑う。
照のあたたかい手が離れると、異様に胸元が寒く感じた。
照も緊張していたのかもしれない。
少し汗が染みている気がした。
「気持ちよかった?」
また耳元で聡子が囁く。
眉間にシワを寄せ、唇をつきだして睨むと、聡子はいたずら小僧みたいに笑った。
「よかったね」と、頭を撫でられ 聡子が私のためを思ってくれていたと知る。
照はたぶん、私のことを恋愛対象としては見ていない。
他に好きな人がいるみたいで、それを知った日に 私は大泣きした。
そのとき聡子が一晩中付き合ってくれて、散々慰めてもらった。
感謝してもしきれない。
1:00過ぎ、電気を消して川の字で眠る。
希望通り 照の隣に寝ることができた私は、目が冴えて 眠れそうになかった。
1時間程経って、スースーと 全員の寝息が聞こえ始めた。
私は少しだけ照に近寄って、彼女の匂いを嗅ぐ。
「いい匂い……」
お風呂上がりで、シャンプーやらボディソープやらの匂いが混じっているけど、それとは別に 照の匂いもちゃんとあるのがわかる。
この匂いに包まれたら、どれだけ幸せなんだろう?と、想像する。
「こんなことしちゃダメ」と思いながらも、右手を自分のショーツの中に忍ばせた。
膨れた蕾に刺激を与える。
声が出ないように、下唇を噛んだ。
左手を胸に当て、照にふれられたときのことを思いだす。
優しく揉まれた感覚を思い出す。
ハアと吐息が漏れ、音をたてないように 円を描きながら 両手を動かした。
右手の中指と薬指の腹で何度も円を描く。
少しずつスピードを速めていくと、じんわりと汗が滲んだ。
もし誰かが起きていたら、きっと気づかれてしまう。
そんな緊張感を持ちながら、何度も何度も 気持ちいいところに刺激を与える。
ドロッと密が溢れ、指にまとわりつく。
滑りが良くなって、余計に刺激される。
ただひたすら求める快感に向けて指を動かす。
「イクッ……」と思ったと同時に、全身に力が入り 下腹部がきゅうっと締まった。
「暑い……」
布団が足りなくて まだ暑さの残る初秋に、毛布をかけていた。
それでただでさえ、最初から少し暑かったのに、自慰で余計に暑くなった。
汗が吹き出てくる。
毛布を剥いで、パタパタと手で扇ぐ。
しばらくして、横で寝ていたはずの照がむくっと起き上がった。
まさか起きていたわけではないと頭では理解しつつも、ドキッとしてしまう。
トイレに立った照に、起きてることがバレないように、慌てて目を閉じた。
戻ってくると、私が何もかけていないことに気づいたのか、肩まで毛布をかけてくれた。
「暑い……」そう思いながら、照の優しさに癒される。
目を閉じていると、照の手に包まれた胸の感触が思い出される。
「またさわって欲しい」なんて、図々しいかな。
体を横にして、薄く目を開く。
「あ、起こしちゃった?ごめん」
目が合って、思わず見開いてしまった。
「ううん、大丈夫」
鼓動がうるさいくらいに鳴っている。
照は微笑んで、仰向けになる。
「さっきは、なんか、変なノリだったね」
ヒソヒソ話をするように、小さな声で言われた。
それが妙に色気を感じる。
「そうだね……まあ、聡子は酔っぱらうといつもあんな感じだけど」
「へえ。聡子って、パッと見 真面目な感じがするから、ギャップがすごいよね」
「たしかに。中身は完全に変態おやじだよ」
ふたりで笑う。
きっと、この部屋にふたりきりだったら、こんなに自然と話すことなんてできなかった。
「私がさわったとき、嫌な気持ちにならなかった?痛かったりとか……」
「全然!……全然、痛くなかったよ」
照の優しい気遣いに心が痛む。
きっと、照の彼女になれたらすごく幸せなんだろうなって……彼女になれる人が羨ましい。
「それならよかった」
「ねえ、照」
お酒と眠気と緊張が混ざって、変なテンションになってるのが自分でもわかる。
「ん?」
脈打つ心臓の存在感を確めながら、ぎゅっと手を握る。
「どうだった?私の……胸」
「えっ……」
短いようで、長い 間があく。
「すごい、やわらかかったよ」
「今までさわった中でどのくらい?」
「ん?んー……一番、かな。……千花、どうした?急にそんなこと」
照が気まずそうに笑う。
「な、なんか……私も、照にさわられて、一番気持ちよかったなって、思ったから」
「え、そう?」
口から心臓が飛び出てくるんじゃないかと錯覚するくらい、ドキドキしてる。
「なんでこんなこと言ってるんだろう?」なんて思いながら「もう一回さわってほしい」と願ってる。
「うん、気持ちよかった」
ショーツの中が湿っている。
さっきの自慰のせいもあるけど、きっと それ以外にも理由はある。
手が震える。
「それは、よかった」
照の緊張も伝わってくる。
私は深呼吸して、まっすぐ照を見た。
「もう一回、さわらない?」
自分の荒い呼吸がうるさい。
照は顔をこちらに向けて、唇を舐めた。
「いいの?」
「うん」
照は少し体を近づけて、私の毛布のなかに手を入れた。
腰の辺りから、探るように上へ移動する。
全身が敏感になっていて、さすられる感覚だけで気持ちよくなる。
重力に負けて、床の方に寄る胸を、照の手が そっとふれて上げる。
「照は、大きいのが好き?それとも 小さいのが好き?」
「んー、どっちも好きだよ。大事なのは、やわらかさかな」
「じゃあ、私のは 合格……かな」
「合格ってなんだ」
照は恥ずかしそうに笑った。
私の敏感なところがジンジンと主張し始める。
さっきまで自分でさわっていた蕾が「またさわって」と暴れる。
ぎゅっと足を閉じて、太ももに力をいれる。
額から汗が伝う。
「照」
「なに?」
「服の上からじゃなくて、いいよ」
照は何度もまばたきをして、何かを考えるように上を見る。
「千花……誘ってる?」
「ダメ?」
「ダメじゃ、ないけど」
「けど?」
「付き合ってないのに、いいのかなって」
「照は、さわりたくない?」
ここまで来たら、もう引き下がれない。
照は何も言わないけど「そういうわけじゃない」と思ってるのはわかる。
私は照に覆い被さるように上半身だけ起き上がらせて、服の裾をまくりあげた。
照は目を見開いて、音が聞こえるほどに唾をゴクリと飲み込んだ。
谷間を照の口元に近づけると、照がぎゅっと抱きしめてくれた。
照の息が胸にかかって、くすぐったい。
落ち着く気配のない鼓動が、さらに激しく動きだす。
照は、左手を胸にそえて、器用に片手でブラのホックを外した。
「んっ」
突起を舌でチロチロと舐められて、思わず声が出る。
下腹部がきゅうきゅうに締め付けられて、トロトロと液が溢れる。
「照」
いつの間にか仰向けになっていた照の膝が、私の下半身に当たる。
押し付けられた膝の上で、腰を揺らす。
乳首を口内に含ませ、舌で転がされる。
私は気持ちよさのあまり、力が抜けて 照の上に倒れこんだ。
照は私を仰向けにさせ、パジャマの上から下半身にふれた。
ピクッと腰が上がり「早くさわって」と大きく主張する。
照がピンポイントで気持ちいいところにふれた途端「んぁっ」と声が漏れた。
照の顔が近づき「シーッ」と注意される。
私は下唇を噛み、涙目になりながら頷いた。
左右に激しく指を動かされ、ものの数秒で 私は果てた。
腰も足もガクガクする。
「照……挿れて」
照は私の要求に応えるように、ショーツのなかに手をいれ、指を挿入した。
求めていたモノが入ってきて、子宮が締まるのがわかる。
クチュクチュと小さく音を鳴らしながら、小刻みに指が動く。
必死に声を出さないようにしながら、照の首に腕を回す。
「照だけだよ」
耳元で囁く。
「こんなこと、照だけ」
照は無反応に、ただひたすらに指を動かした。
なんのひねりもなく、ただ、何度も何度も出し入れを繰り返す。
「好き」
そう言ったときにはイク寸前で、力をいれすぎて、照の顔が私の首筋に埋まっていた。
全身をビリビリと電流が流れ、同時に目からは涙が流れ落ちた。
翌朝、私たちは何事もなかったかのように振る舞った。
昼過ぎにはみんな帰って、私はひとり取り残された気持ちになって、寂しく感じた。
嫌われたかな?
話してくれなくなっちゃったら嫌だな。
遊んでくれなくなっちゃったら嫌だな。
ネガティブがドッと押し寄せてくる。
照の好きな人は、どんな人なんだろう?
もし照がその人と付き合ったとして、私とのアレを、思い出すときはあるんだろうか。
少しでいいからあってほしい。
一瞬でいいから思い出して「あの時は良かったな」なんて、思ってもらえたら 嬉しい。
ほんの少し手の平に汗を湿らせ、精一杯笑顔を作る。
どうしてこんなにも緊張しているのかと言えば、今日、本日、この日、私の好きな人が家に泊まりに来てるから。
と言っても、ふたりきりではない。
初めてのお泊まりで、ふたりきりは 緊張して ろくに喋れなくなる。
だからあえて友達も誘い、あわよくば隣に寝られたらいいなあ、なんて 思ってる。
「照、お前 ふざけんな!」
庄司が叫ぶ。
2つしかないコントローラーを4人で回しながらゲームをしている。
私は初めてのマリ○カートで見事に逆走や落下ばかりを繰り返し、半泣きだった。
当然最下位で「やっぱりゲームはむいてない……」なんて落ち込んでいたら、途中で照が代わってくれた。
そして 照は楽しそうに笑いながら、スイスイとコンピューターを追い抜かし、1位だった庄司に甲羅を当て、庄司を追い抜かした後に 追い討ちをかけるように爆弾を後ろに投げつけた。
庄司の順位がガクンと下がる。
「すごい!」
拍手をして、照を見る。
相変わらずニコニコしている照が、かっこよくて 可愛くて、私も口許を緩めてしまう。
「私たち、低レベルすぎて2人についてけないよね」
聡子がコップを両手で包み込みながら苦笑いする。
彼女の眼鏡が少し、曇っている。
「だね」
「それにしても……お主、相も変わらず さわりたくなる体してるのお」
聡子はコップをテーブルに置いて、私に寄りかかりながらお腹をむにゅむにゅつまみ始める。
「やめっ……くすぐったい!」
後ろから脇の下に腕を通され、動けなくなる。
次第にお腹から胸へ手が移動する。
「聡子~!」
「うへへ、うへへへへへ」なんて、聡子はふざけながら 胸を揉みしだいた。
誰かがゴールしたときに鳴る音楽が聞こえる。
「眼福、眼福」
照が立ち上がり、飲み物を手に取る。
「照、助けて~!」
「くっそー、俺だけ置いてけぼりにするなー!」
庄司はこちらをチラチラ見ながら、ゴールを目指していた。
「なんだよー、千花。高校のときはよく さわらせてくれてたじゃんかー」
照に見られているのが恥ずかしくて、若干本気で聡子から離れようとしていたら、彼女はふてくされたように言った。
「それは……そうだけど!」
「そうなんだ」
照は優しく笑って、隣に座る。
胸がきゅっと締め付けられる。
「そうだよー、おっぱいタッチが挨拶みたいなもんでさ」
聡子は自慢気にそう言って、すかさず胸に手を当てた。
「聡子~!!」
「何楽しそうなことしてんだよー!」
庄司がゴールして、四つん這いでこちらに向かってくる。
滑り込みながら、正座していた私の膝に頭を乗せた。
「俺も揉みたい!」
「ふぇ!?」
ばか正直な庄司に心底驚く。
「おー!揉め揉めー!」
聡子が調子に乗る。
「何言ってんの!」
本気で怒るも、庄司が上目遣いに「ダメ?」と聞いてくるから 少し気持ちが揺らぐ。
いくら女の子同士とは言え、庄司の見た目は男の子っぽいし すごく気が引ける。
それに、何より、照がいる。
誰にでもこんな風にしてると思われたら、嫌だ。
「ちょっとだけ!ね?」
庄司は両手を胸に近づける。
「減るもんじゃないし、いいじゃーん」
変態おやじみたいなことを言う聡子は、背後に座りながら私の胸を揺らす。
断りそびれて、庄司も聡子と一緒になって揺らし始めた。
「カオスだな」
照はコーラを飲みながらこちらを見て笑っていた。
恥ずかしくて顔が熱くなる。
「うっひょー、やわらけー!」
庄司はアホ面になりながら叫ぶ。
聡子も庄司も、さっきまでお酒を飲んでいたから、少し酔っているのかもしれない……と、広い心で接することにした。
「照もさわらせてもらえばいいのに!」
庄司が言うと、照はコーラを喉につまらせ 咳をする。
私は、ゴクリと唾を飲んで、照を見た。
「巨乳をさわらせてもらえる機会なんて、なかなかないぞ!」
「そうだぞ!」
聡子は高校のときからさわり続けてるのに、何を言ってるのか……。
「照はね、最高でCカップしか揉んだことないんだぜ」
庄司が言うと、照は慌てて「何言ってんだよ!」と怒った。
おそらく、照がさわってきたのは過去の彼女たち……。
Gカップの私はそれを聞いて、少し優越感に浸る。
「てか、ダメでしょ」
照は頭をポリポリ掻きながら、眉を下げて こちらを見た。
「仮にも私たちはビアンなわけだし……ノンケならまだしも」
庄司は「うっ」と唸り、項垂れた。
「ごめん」
素直なところが庄司の悪いところであり、良いところでもある。
「いいのか?」
突然、耳元で聡子が囁く。
「大好きな照にさわってもらえる絶好の機会だよ?」
ドキッとする。
「逃していいのか?この機会を」
まるで悪魔の囁きだ。
横で、起き上がった庄司が 私の胸の柔らかさについて熱弁していた。
照は優しく笑いながら、話を聞いている。
頭の中がグルグルする。
照に押し倒されるところを想像しただけで、下腹部がきゅっと締まる。
「Youの魅惑のボディで、虜にさせちゃいなよ」
肩から顔を覗かせる聡子と目が合う。
ニヤリと笑い「ほれ、ほれ」と背中を押される。
一人暮らしのこの部屋で、何度想像したことか。
照にエッチなことをされるとこ……。
まさかこんな形からとは思わなかったけど、確かに絶好の機会にも思えた。
唾を飲み込む。
「照、千花がさわって欲しいって!」
私の表情を見て察した聡子が楽しそうに言う。
「はあ!?」
「え?」
「さわって欲しい」なんて言い方をするとは思わなくて、ギョッとする。
照も驚いている。
「本人がさわって欲しいって言ってるんだから、ここはノリでいいんじゃない?」
聡子が悪い顔をしている。
私は恥ずかしさで手にじわじわと汗をかき、顔から火が出そうだ。
「さわっていいの?」
照が苦笑いする一方で、庄司は弾けたような笑顔になった。
「さわったほうがいいよ!」
庄司が後押しする。
私が意を決して頷くと、照は恐る恐る近づいてきた。
「じゃあ……」
両手をぎこちなく前にやり、一瞬ためらってから、そっと胸にふれた。
ゆっくりと、優しく揉まれ 指の先まで神経がピリピリする。
締め付けられる下腹部を軽減させようと、両足に力が入る。
荒くなる息を必死に抑えながら、歯を食いしばった。
少し緊張が解けたのか、照の揉むスピードが速くなる。
そのさわり方が手慣れている感じがして、気持ちよくなってしまいそうになるのを堪えるのが大変だ。
「ほんとだ、やわらかい」
照の優しい笑顔は、反則だ。
なんでも許したくなる。
「だろー!」
庄司が楽しそうに笑う。
照のあたたかい手が離れると、異様に胸元が寒く感じた。
照も緊張していたのかもしれない。
少し汗が染みている気がした。
「気持ちよかった?」
また耳元で聡子が囁く。
眉間にシワを寄せ、唇をつきだして睨むと、聡子はいたずら小僧みたいに笑った。
「よかったね」と、頭を撫でられ 聡子が私のためを思ってくれていたと知る。
照はたぶん、私のことを恋愛対象としては見ていない。
他に好きな人がいるみたいで、それを知った日に 私は大泣きした。
そのとき聡子が一晩中付き合ってくれて、散々慰めてもらった。
感謝してもしきれない。
1:00過ぎ、電気を消して川の字で眠る。
希望通り 照の隣に寝ることができた私は、目が冴えて 眠れそうになかった。
1時間程経って、スースーと 全員の寝息が聞こえ始めた。
私は少しだけ照に近寄って、彼女の匂いを嗅ぐ。
「いい匂い……」
お風呂上がりで、シャンプーやらボディソープやらの匂いが混じっているけど、それとは別に 照の匂いもちゃんとあるのがわかる。
この匂いに包まれたら、どれだけ幸せなんだろう?と、想像する。
「こんなことしちゃダメ」と思いながらも、右手を自分のショーツの中に忍ばせた。
膨れた蕾に刺激を与える。
声が出ないように、下唇を噛んだ。
左手を胸に当て、照にふれられたときのことを思いだす。
優しく揉まれた感覚を思い出す。
ハアと吐息が漏れ、音をたてないように 円を描きながら 両手を動かした。
右手の中指と薬指の腹で何度も円を描く。
少しずつスピードを速めていくと、じんわりと汗が滲んだ。
もし誰かが起きていたら、きっと気づかれてしまう。
そんな緊張感を持ちながら、何度も何度も 気持ちいいところに刺激を与える。
ドロッと密が溢れ、指にまとわりつく。
滑りが良くなって、余計に刺激される。
ただひたすら求める快感に向けて指を動かす。
「イクッ……」と思ったと同時に、全身に力が入り 下腹部がきゅうっと締まった。
「暑い……」
布団が足りなくて まだ暑さの残る初秋に、毛布をかけていた。
それでただでさえ、最初から少し暑かったのに、自慰で余計に暑くなった。
汗が吹き出てくる。
毛布を剥いで、パタパタと手で扇ぐ。
しばらくして、横で寝ていたはずの照がむくっと起き上がった。
まさか起きていたわけではないと頭では理解しつつも、ドキッとしてしまう。
トイレに立った照に、起きてることがバレないように、慌てて目を閉じた。
戻ってくると、私が何もかけていないことに気づいたのか、肩まで毛布をかけてくれた。
「暑い……」そう思いながら、照の優しさに癒される。
目を閉じていると、照の手に包まれた胸の感触が思い出される。
「またさわって欲しい」なんて、図々しいかな。
体を横にして、薄く目を開く。
「あ、起こしちゃった?ごめん」
目が合って、思わず見開いてしまった。
「ううん、大丈夫」
鼓動がうるさいくらいに鳴っている。
照は微笑んで、仰向けになる。
「さっきは、なんか、変なノリだったね」
ヒソヒソ話をするように、小さな声で言われた。
それが妙に色気を感じる。
「そうだね……まあ、聡子は酔っぱらうといつもあんな感じだけど」
「へえ。聡子って、パッと見 真面目な感じがするから、ギャップがすごいよね」
「たしかに。中身は完全に変態おやじだよ」
ふたりで笑う。
きっと、この部屋にふたりきりだったら、こんなに自然と話すことなんてできなかった。
「私がさわったとき、嫌な気持ちにならなかった?痛かったりとか……」
「全然!……全然、痛くなかったよ」
照の優しい気遣いに心が痛む。
きっと、照の彼女になれたらすごく幸せなんだろうなって……彼女になれる人が羨ましい。
「それならよかった」
「ねえ、照」
お酒と眠気と緊張が混ざって、変なテンションになってるのが自分でもわかる。
「ん?」
脈打つ心臓の存在感を確めながら、ぎゅっと手を握る。
「どうだった?私の……胸」
「えっ……」
短いようで、長い 間があく。
「すごい、やわらかかったよ」
「今までさわった中でどのくらい?」
「ん?んー……一番、かな。……千花、どうした?急にそんなこと」
照が気まずそうに笑う。
「な、なんか……私も、照にさわられて、一番気持ちよかったなって、思ったから」
「え、そう?」
口から心臓が飛び出てくるんじゃないかと錯覚するくらい、ドキドキしてる。
「なんでこんなこと言ってるんだろう?」なんて思いながら「もう一回さわってほしい」と願ってる。
「うん、気持ちよかった」
ショーツの中が湿っている。
さっきの自慰のせいもあるけど、きっと それ以外にも理由はある。
手が震える。
「それは、よかった」
照の緊張も伝わってくる。
私は深呼吸して、まっすぐ照を見た。
「もう一回、さわらない?」
自分の荒い呼吸がうるさい。
照は顔をこちらに向けて、唇を舐めた。
「いいの?」
「うん」
照は少し体を近づけて、私の毛布のなかに手を入れた。
腰の辺りから、探るように上へ移動する。
全身が敏感になっていて、さすられる感覚だけで気持ちよくなる。
重力に負けて、床の方に寄る胸を、照の手が そっとふれて上げる。
「照は、大きいのが好き?それとも 小さいのが好き?」
「んー、どっちも好きだよ。大事なのは、やわらかさかな」
「じゃあ、私のは 合格……かな」
「合格ってなんだ」
照は恥ずかしそうに笑った。
私の敏感なところがジンジンと主張し始める。
さっきまで自分でさわっていた蕾が「またさわって」と暴れる。
ぎゅっと足を閉じて、太ももに力をいれる。
額から汗が伝う。
「照」
「なに?」
「服の上からじゃなくて、いいよ」
照は何度もまばたきをして、何かを考えるように上を見る。
「千花……誘ってる?」
「ダメ?」
「ダメじゃ、ないけど」
「けど?」
「付き合ってないのに、いいのかなって」
「照は、さわりたくない?」
ここまで来たら、もう引き下がれない。
照は何も言わないけど「そういうわけじゃない」と思ってるのはわかる。
私は照に覆い被さるように上半身だけ起き上がらせて、服の裾をまくりあげた。
照は目を見開いて、音が聞こえるほどに唾をゴクリと飲み込んだ。
谷間を照の口元に近づけると、照がぎゅっと抱きしめてくれた。
照の息が胸にかかって、くすぐったい。
落ち着く気配のない鼓動が、さらに激しく動きだす。
照は、左手を胸にそえて、器用に片手でブラのホックを外した。
「んっ」
突起を舌でチロチロと舐められて、思わず声が出る。
下腹部がきゅうきゅうに締め付けられて、トロトロと液が溢れる。
「照」
いつの間にか仰向けになっていた照の膝が、私の下半身に当たる。
押し付けられた膝の上で、腰を揺らす。
乳首を口内に含ませ、舌で転がされる。
私は気持ちよさのあまり、力が抜けて 照の上に倒れこんだ。
照は私を仰向けにさせ、パジャマの上から下半身にふれた。
ピクッと腰が上がり「早くさわって」と大きく主張する。
照がピンポイントで気持ちいいところにふれた途端「んぁっ」と声が漏れた。
照の顔が近づき「シーッ」と注意される。
私は下唇を噛み、涙目になりながら頷いた。
左右に激しく指を動かされ、ものの数秒で 私は果てた。
腰も足もガクガクする。
「照……挿れて」
照は私の要求に応えるように、ショーツのなかに手をいれ、指を挿入した。
求めていたモノが入ってきて、子宮が締まるのがわかる。
クチュクチュと小さく音を鳴らしながら、小刻みに指が動く。
必死に声を出さないようにしながら、照の首に腕を回す。
「照だけだよ」
耳元で囁く。
「こんなこと、照だけ」
照は無反応に、ただひたすらに指を動かした。
なんのひねりもなく、ただ、何度も何度も出し入れを繰り返す。
「好き」
そう言ったときにはイク寸前で、力をいれすぎて、照の顔が私の首筋に埋まっていた。
全身をビリビリと電流が流れ、同時に目からは涙が流れ落ちた。
翌朝、私たちは何事もなかったかのように振る舞った。
昼過ぎにはみんな帰って、私はひとり取り残された気持ちになって、寂しく感じた。
嫌われたかな?
話してくれなくなっちゃったら嫌だな。
遊んでくれなくなっちゃったら嫌だな。
ネガティブがドッと押し寄せてくる。
照の好きな人は、どんな人なんだろう?
もし照がその人と付き合ったとして、私とのアレを、思い出すときはあるんだろうか。
少しでいいからあってほしい。
一瞬でいいから思い出して「あの時は良かったな」なんて、思ってもらえたら 嬉しい。
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