いたずらはため息と共に

常森 楽

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5.時間

301.好きのその先

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穂が掃除を終えてあたしの横に座った。
鞄からノートを取って、彼女に差し出す。
ノートを出すとき、さっきしまった手錠が見えて、また下腹部が疼いた。
あたしがスマホを見始めると、永那は穂の横で寝息を立てながら寝始めた。
穂は勉強をして、その横顔が、心なしか楽しそうだった。
やっぱり…穂の趣味って勉強だよね?
スマホを見ているよりも、彼女の横顔を見ているほうがよっぽど心が満たされた。
彼女があたしのノートを書き写し終える直前、話しかけた。

手錠を見せると、穂の顔が真っ赤になる。
「どこにあったの?」と聞かれたから、あたしは鞄の横の辺りを指差した。
穂が後ろに倒れて寝転ぶから、あたしはそのチャンスを見逃さない。
ネクタイと第三ボタンを外して、ブラが見えるようにする。
彼女を見下ろすと、やっぱり彼女の視線はあたしの胸に釘付けになる。
「ホント、変態」
好き。
彼女に覆いかぶさるように体を移動させて、彼女の顔に胸を押し付ける。
あたしのこと、もっと好きになって。
永那とのエッチで、あたしのこと、忘れないで。

連想ゲームのように、手錠の存在を思い出す。
あたしは手錠を取って、彼女の手につけた。
穂がこういうのが好きなら、あたしもやってみたい。
どうすればいいのかなんて、全然わかんないけど…。
彼女に口付けする。
舌を絡ませるキス。
彼女が初めてあたしのなかに入ってきたときは驚いたけど、もう慣れたし、なんなら好き。
「さわりたい?」と、さわってほしくて聞くと、彼女が応えてくれる。
嬉しくて、彼女の手錠を掴んで、胸に触れさせた。
手錠をつけているからか、彼女の手の動きがいつもよりぎこちない。
あたしはキスしたくなって、彼女の唇に触れた。
その間にも、彼女が胸に触れてくれる。

「おい」
その声に、全身が脈打つような緊張感が走った。
まさか永那が起きるなんて思わなかった。
でもすぐに、期待する。
修学旅行で、3人でキスしたこと。

「そんなにさわってほしいなら、私が代わりにさわってやるよ」
あたしが穂の腰の辺りに座っていると、永那が目の前で膝立ちになった。
穂の顔が見えなくなる。
永那はニヤリと笑って、獲物を捕らえた肉食動物みたいな目をする。
彼女の手があたしに伸びてくる。
「や、やめ…っ」
シャツの上からなのに、ブラのホックを外されて、ゾワゾワと鳥肌が立つ。
「やめたほうがいい?」
ジッと見つめられる。
「…やめ、なくて…いい」
「ん」
永那の手が直にあたしの肌に触れる。
ギュッと目を瞑った。
…やばい。やばいって。
心臓がバクバクと音を鳴らして、必死に全身に血液を送る。
当然、優里や他の女子が触る感じとは全く違う。
穂のとも、また違う。
穂はいつも優しくて、思いやりがある感じがする。

永那のは…エロい。
すごく優しいんだけど、纏わり付いてくるみたいな…。
乳房を揉まれてるだけなのに、気持ちいい。
マッサージされてるみたいに、解されていく感覚に近い。
「これが穂が好きなおっぱい、ね。…でかいし、やわらかいし、良いね。なんで今までさわんなかったんだろ?」
永那の声がそばで聞こえて、奥歯を強く噛んだ。
全身が熱い。
「永那ちゃん!」
穂が大きな声を出して、永那は動きを止める。
…ああ、もっと…もっと、さわってほしい。

薄く目を開けると、永那が立ち上がった。
「穂、妬いた?…さわってほしい?」
永那のトーンの低い中性的な声が、子宮をジクジクと熱くさせる。
あたしに言われてるわけじゃないのに…。
穂が小さく頷いて、「後でね」と笑う永那も魅惑的で、エロくて、穂が羨ましい。
後で…どんなことするんだろう。
羨ましい。
モヤモヤしてたら、永那があたしの背後に回った。

「穂、見ててね?」
その一言で、子宮がキュゥキュゥ締まる。
永那のあったかい手が、あたしの乳房を包む。
…穂に、見られてる。
それが、安心感にも繋がる。
やばい、やばい…気持ちいい…。
突起を撫でられて、腰が少し動く。
「ぁぁっ」
「千陽、こっち見て」
思わず素直に従って、永那を見た。
彼女の薄い唇が、あたしのに重なる。
ああ…。
蕩けそう…。
穂のも気持ちいいけど、永那のは、ただ任せていれば気持ちよくさせてくれる感じがして…。
彼女の唾液が口内に溢れる。
それをゴクリと飲むと、彼女が離れてしまう。

永那にブラをつけられて、シャツのボタンまで留めてもらった。
その指先が優しくて、エロくて、ずっと見ていた。
永那が私の頭をわしゃわしゃ撫でる。
昔の撫で方とは全然違う。
前は、本当に適当で、“仕方なく”という感じが強かった。
なのに、修学旅行から帰った日も、今日も、すごく優しくて、あたしを本当に大事にしてくれようとしてるのが伝わってきた。

2人がキスをする。
穂は、永那からそうされるのが自然なことみたいに振る舞って…そりゃあ、当然なんだけど、その光景が綺麗で、妬いた。
あたしも…あんなふうになりたい。
やっぱり、あたしはいつか2人以外の人を見つけたい。
2人みたいな関係を築ける相手を、見つけたい。
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