【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)

文字の大きさ
76 / 189

076 タルタルソース

しおりを挟む
 バウムガルテンの王都の屋敷。その応接間でオレとベンノは会談していた。

「やあベンノ、久しいな」
「お久しぶりです、バウムガルテン子爵様。この度は子爵位への陞爵《しょうしゃく》おめでとうございます! これは大したものではありませんが、ご笑納ください」

 ベンノが貢物のリストを書いた目録をくれた。

 ざっと目を通すと、どうやら布が多いな。布は使ってよし、気に入らなければ売ってよしだから助かる。

 他にも目立つのは、アクセサリーの類だ。コルネリアやリリー用の他にもオレ用の物まである。子爵になったからな。相応の格好をしなさいよっていうベンノのメッセージかもしれないな。

「感謝しよう、ベンノ。気を遣わせたようだな」
「いえいえ」

 ベンノがまるで眩しいものを見るような目でオレを見ていた。

「そうでした。こちらもご覧ください。こちらが今月のマヨネーズの利益の一割になります」

 ベンノがよこした羊皮紙には、かなりの大金が書かれていた。利益の一割と言ったはずだが、一割でもものすごい金額だな。ベンノはこの九倍儲けているのかと思うと、ベンノのニコニコ顔も納得だ。

「荒稼ぎしたな」
「独占販売ですから。マヨネーズが欲しければ、我が商会で買う以外に手に入れる方法はありません。宮廷からもお褒めの言葉を賜り、宮廷からも注文がくるほどです。こうなると子爵様が王都で店を構えるべきというのは慧眼でしたな。今では王室御用達品として飛ぶように売れています。材料である卵が足りないほどですよ。今は養鶏場の建設を計画しているところです」

 ベンノは一気にまくし立てるように言った。だいぶ興奮しているらしい。まぁ、言い方は悪いが、ただの地方の冴えない商人だったベンノが、商人の憧れの地である王都に店を出して大成功を収めたのだ。

 今では王都の店を本店にしてベンノが管理し、アルノーは修行のために地方に飛ばされたらしい。哀れアルノー。憧れの王都生活に目をキラキラさせていたのに。

「製法は盗まれていないか?」
「子爵様が教育なされた使用人は口が堅く、漏れた形跡はありません。優秀ですね。礼儀正しく、よく教育されています。店を大きくすることを考えているのですが、もう十人ほど雇うことは叶いますか?」
「ふむ。領地に居る爺に伝えておこう。優先的に割り当てよう」
「ありがとうございます」

 当初は下級役人の使用人を想定していたが、意外にも商人にも需要があるようだな。子どもが生まれた家庭には祝い金を贈るなどして、子どもを産みやすい環境を整えるようにするか。

「噂を撒いてもらったことも感謝している。それで、邪神の呪いに侵された子どもは見つかったか?」
「申し訳ありません。見つかりませんでした。どうやら邪神の呪いの子どもは隠されて育てられている場合が多いようで、なかなか姿を現しません」
「そうか……」

 ここでもやはりギフトが貰えないことがネックになっているのだろう。人でなしと差別されることを避けるために隠れていて当然か。

「しかし、いくつかタレコミがありましたので、今後はそちらを調査してみます」
「よろしく頼む」
「その際ですが、畏れ多いことですが、子爵様に同行をお願いする場合が……」
「かまわん。オレも予定を空けておこう」

 急がねば死んでしまう場合があるからな。さすがにオレも死者の蘇生はできない。

 オレがここまで邪神の呪いにこだわるのは、邪神の呪いを解呪した子どもたちが目覚ましいギフトを貰っているからだ。必ずしもそうではない場合もあるのだろう。だが、この世界で強力なギフトを持つ人材を集めるのは、かなり大きな意味を持つ。

 他の貴族に取られないためにまた妹や弟が増えるかもしれないな。

「そうだった。今日、ベンノを呼んだのは他でもない。実はマヨネーズについてだが……」

 ベンノの顔が一瞬鋭いものに変わる。マヨネーズはベンノの商会にとっての命綱だからな。反応がシビアになるのもわかる。

「そんな心配そうな顔をするな。ベンノにとってはいい話だ」
「いい話でございますか?」
「実はベンノに作ってほしいものがある。これだ」

 オレがテーブルの上のベルを鳴らすと、皿を持ったメイドが二人現れた。

 そして、オレとベンノの前に皿を置くと、メイドたちは楚々とした態度で部屋を出ていった。

「まずは食べてみてくれ。気に入ったらベンノの店で作ればいい」
「はい。失礼します……。もふッ!? パンに卵とマヨネーズ!? そして、このピリリとした辛みは胡椒ですな! それがちょうどいい塩味が包み込んで……」
「驚いたか?」
「はい……。まさかマヨネーズに更に卵を加えるとは……!?」
「こっちも食べてみろ。フライにソースを付けて食べるんだ」
「かしこまりました……。こちらにもマヨネーズに卵を加えたのですな。これはッ!? ピクルス!? 酸味がマヨネーズのまったりとした味にアクセントが!」

 ベンノが目を見開いて大袈裟なくらい驚いてみせる。

「気に入ったのなら作り方を教えよう。マヨネーズと同じで、こちらへのバックは利益の一割でいい」
「ぜひともお願いします! まさかマヨネーズを使って新たな調味料をお創りになられるとは……。このベンノ、脱帽です」
「大したことはない」
「いえいえ。本心でございます。そうなりますと、養鶏場の建設を急がせた方がよさそうですな。あとはピクルスと胡椒も必要。ピクルスは増産できますが、胡椒は渡来品のため増産は難しい……。高価なものになるので、お売りする方を限定せねば……」

 ベンノが上を向いて今後の商売の舵取りを考えてるのを見ながら、オレはフライにタルタルソースをたっぷり付けて味わう。うまいな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい~前世はSランク冒険者だったのでこっそり無双します~

都鳥
ファンタジー
~前世の記憶を持つ少女は、再び魔王討伐を目指す~  私には前世の記憶がある。  Sランクの冒険者だった前世の私は、あるダンジョンでうっかり死んでしまい、狼の耳と尾をもつ獣人として転生した。  生まれ変わっても前世のスキルをそのまま受け継いでいた私は、幼い頃からこっそり体を鍛えてきた。  15歳になった私は、前世で暮らしていたこの町で、再び冒険者となる。  そして今度こそ、前世で果たせなかった夢を叶えよう。 ====================  再び冒険者となったリリアンは、前世の知識と縁で手に入れた強さを隠しながら、新しい仲間たちと共にさらに上を目指す。そして前世の仲間との再会し、仲間たちのその後を知る。 リリアンの成長と共に、次第に明らかになっていく彼女の前世と世界の謎。。 その前世ではいったい何があったのか。そして彼女は何を成し遂げようとしているのか……  ケモ耳っ娘リリアンの新しい人生を辿りながら、並行して綴られる前世の物語。そして彼女と仲間たちの成長や少しずつ解かれる世界の真実を追う。そんな物語です。  -------------------  ※若干の残酷描写や性的な事を連想させる表現があります。  ※この作品は「小説家になろう」「ノベルアップ+」「カクヨム」にも掲載しております。 『HJ小説大賞2020後期』一次通過 『HJ小説大賞2021後期』一次通過 『第2回 一二三書房WEB小説大賞』一次通過 『ドリコムメディア大賞』中間予選通過 『マンガBANG×エイベックス・ピクチャーズ 第一回WEB小説大賞』一次通過 『第7回キネティックノベル大賞』一次通過

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

処理中です...