【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)

文字の大きさ
51 / 124

051 切り裂く闇②

しおりを挟む
「ここがレベル7ダンジョンですか。どんな豪華な所かと思っていましたが、チンケな洞窟ですわね」

 冒険者パーティ『切り裂く闇』のリーダー、ブランディーヌは、目の前にぽっかりと開いた洞穴を見てがっかりしたように言った。

「ここで間違いは無いようだよ。ダンジョン石もある。どれどれ……」

 パーティの中でひときわ小柄な魔法使いクロードが、赤いローブから手を伸ばし、白い台座の上に安置された水晶へと手を伸ばした。

「ここがレベル7ダンジョン『女王アリの先兵』で間違いないね。挑戦している冒険者パーティの数は0。僕たちで独占できるよ」
「良き哉」

 クロードの言葉に、低く落ち着いた声が返ってくる。グラシアン。筋肉で盛り上がり、パツパツになった修道服を着た大男だ。その腰にはナックルダスターが吊られており、彼が神官の中でも数少ない戦士の素養を持つ者だということが分かる。

「それではどうしましょう? 今すぐ潜りますか?」

 縦にも横にも大きい白銀の全身鎧を纏った巨漢が、ブランディーヌの方を向いてくぐもった声を上げた。セドリック。『切り裂く闇』のタンクを担うパーティの守りの要である男だ。

「まだ朝も早い時間ですからね。少し潜って準備体操といきましょう」

 背中に吊った大きな漆黒の大剣の柄に手を当て、ブランディーヌが強気な発言をする。もしここにアベルが居れば、十分に休憩と食事を取るように言われ、止められていたことだろう。

 しかし、今はブランディーヌの言葉に異を唱える邪魔者は居ない。そのことにブランディーヌは暗い笑みを見せる。彼女にとって、今日がまさに己が真のリーダーになる記念すべき日だ。

「キヒッ! 準備体操たぁイカす表現だなぁ!」

 短剣使いのジョルジュが、甲高い奇声のような笑い声を上げた。黒いタイトな装備に身を包んだ線の細い男だ。彼はこのパーティの目であり、耳でもあるシーフ。その細い体は、無駄な筋肉をそぎ落とし、研ぎ澄ました結果だ。

「皆、傾注!」

 ブランディーヌの言葉に全員の視線が集まる。ブランディーヌはそのことに確かな満足感を覚え、しかし、その顔は不快に歪んでいた。

「わたくしたちは、冒険者ギルドに不当に扱われている。レベル6ダンジョンを攻略したわたくしたち『切り裂く闇』に入りたい奴が居ないなんてのは絶対にありえません! わたくしたちの冒険者レベルもそうです。レベル6ダンジョンを攻略したわたくしたちにはレベル6が相応しい。だというのに、わたくしたちのレベルはどうです? 一番高いわたくしでもレベル4だぞ? こんなのおかしいだろ!!!」

 不満が爆発したかのようにブランディーヌが絶叫する。その目には憎しみと表現するのも生ぬるい強い恨みの色があった。

 そんなブランディーヌの様子にあてられたのか、他のメンバーも不機嫌に顔を顰めている。

「それもこれも、みんなアベルのせいですわ! わたくしたちが苦労してレベル6ダンジョンを攻略した時どうでした? 冒険者ギルドはアベルだけ褒めて、わたくしたちはレベルアップなし。アベルが、俺たちの功績まで奪ったのです! 荷物持ちしかできない役立たずの分際で!!!」

 ブランディーヌは口から泡を飛ばし、尚もヒートアップしていく。

「冒険者ギルドはアベルばかり持ち上げて、わたくしたちを正当に評価しない。周りの冒険者もです! 誰も彼もアベルばかり褒めるばかり! あんな荷物持ちしかできねぇ人の何がすごいのでしょう? 攻略の最前線で命張ってるのはわたくしたちですわ? きっとアベルが口から出まかせで自分の功績を大きくしているに違いありません! 今回のメンバー募集もそうです! アベルが冒険者ギルドに手を回して妨害したに違いありませんわ!!!」

 ブランディーヌのアベルへの憎悪は尽きない。彼女は、本気で冒険者ギルドや周りの冒険者が、アベルの手のひらで踊らされていると信じている。彼女の仲間も同じ意見なのか、ブランディーヌの自分勝手とも聞こえる言葉を聞いても反論はなかった。

 実際はアベルにそんな意思は無いし、冒険者ギルドや周りの冒険者は正当な評価をしているだけだ。しかし、ブランディーヌたちには、自分たちがアベルに劣るという事実など受け入れがたいのだ。彼女たちは自分の見たい夢だけを見ているに過ぎない。

「ですが、それも今回でおしまいです」

 ブランディーヌが歪な笑みを浮かべて言った。

「今回、わたくしたちはレベル7ダンジョンに挑戦いたします。攻略できれば、冒険者ギルドの無能どもと、バカな冒険者たちも気が付くでしょう。わたくしたちの本当の実力に! アベルなんて必要無いという真実に!!! 彼らの曇った目を晴らしてやりましょう。そして、アベルなんて害虫に侵された冒険者ギルドを立て直すのです! 冒険者が正当に評価される未来を創るのです!!!」

 ブランディーヌの表情が蕩ける。その視線は定まらず、だらしない笑みを浮かべていた。おそらく、自分が冒険者ギルドを救った英雄と称えられる未来を夢見ているのだろう。彼女の中では、アベルは徹頭徹尾悪人であり、冒険者ギルドも、周りの冒険者たちも、アベルに踊らされるような哀れな存在に過ぎない。

 他のメンバーの顔もそれぞれ愉悦に歪んでいた。アベルの活躍ばかりが持て囃され、ブランディーヌを含めた彼女らは、栄光というものを感じたことが無い。彼らの自己承認欲求は、極限まで膨張していた。

 そこに、自分たちがヒーローに成れるチャンスが転がってきたのだ。彼女たちには、どんなご馳走より美味しそうに見えたことだろう。現実離れした夢が正常に見えるくらいには。

 彼女たちは現実よりも夢を見たいのだ。

 ブランディーヌは夢見心地のまま宣言する。自分たちの栄光のために、美辞麗句で飾った夢を。

「やってやりましょう! わたくしたちが冒険者ギルドを! そして冒険者たちを救うのです!!!」
「「「「おう!!!」」」」
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...