装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

903 エンチャントダンジョンコアとやら

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 すだれ男の頭部をぶち抜いた後、ローブの男が固まっている間に前に出る。
 お供はキングさん。

「——プルァァァアアアア!!」

 いや、俺がお供だった。
 ボッと土煙の中から飛び出したキングさんが、そのまま二人を圧し潰す。
 約5メートルの体は、曲線部分の誤差を考えても4トンくらいある。
 さらに、その水ボディの中に凝縮された水分を考慮するととんでもない質量だ。

 大きさ、重さ、イコールパワー。
 そんな物体が音速に近い速さで動くもんだから、俺は弾き飛ばされて転がっていた。

「……お供にすらなれてなかった」

「アォン」

 衝撃の余波で飛散した瓦礫で埋まっていた下半身をポチに掘り起こしてもらう。
 とりあえず剣と盾を構えて立ち上がり、キングさんに目を向けた。

「——プルァ……」

 目を疑う。
 一気に蹴りをつけたかと思いきや、睨み合いだった。

 確実に押しつぶしたはずのローブの男は堂々と杖を構えており。
 頭部をぶち抜いたはずのすだれ男が五体満足で立ち上がる。

 さらに、さらにだ。
 5メートルほどあったキングさんの体駆が、腕で抱えられるほどになっている。

 あれは、凝縮モード?
 いや、なんだか違う気がする。

 そもそも凝縮したキングさんならば、睨み合いなんてしていない。
 全てを破壊するパワーで、崖の残骸をさらに粉微塵にしてしまうだろうし。
 なんだこの違和感……。

「キングさん!」

「プルァ……」

 ズバッと水弾にて地面が濡らされ文字が浮かび上がる。

《我の王冠を……屈辱》

「お、王冠?」

 そう思って再びキングさんに目を向けると、なかった。
 目を擦ってもう一度よく見てみると、あるはずのものがなかった。

 キングさんの上に乗っていて、激しい動きをしても落ちない。
 不動の存在。
 キングさんがキングさんであること証明である——王冠が!

「ど、どどどどどう言うこと!?」

「アォォォォン!」

 落ち着け、とポチも焦る。
 お前も落ち着け。

 あたふたしていると、再び水弾が飛んできた。
 俺の足元に。
 転がりながら水弾で書かれた文字を読む。

《落ち着け、我に使われたのは強制的な退化である》

「退化……?」

 つまり、一つクラスダウンしたということだろうか。
 確かに魔物は成長する上で別の魔物に進化することがある。
 強制的に退化させられたともなれば、スライムになるのもわかる。

 だけど、サモンモンスターは最初から最後まで単一種族のはず。
 レベルっていう概念はなく、単純にレア度の違いしかない。

「おかしいだろ……」

「くぅん……」

 隣からすごく愛くるしく母性をくすぐるような鳴き声がした。
 まさかと思って目を向けると、子犬姿になったポチがいる。
 サイズもさらに二回りくらい小さくなって、めっちゃ可愛い。

「あらかわいい……って、ポチー!」

 なんてこったと抱きかかえると、次第にポチが子犬のまま大きくなってバランスを崩して尻餅をついてしまった。
 何がどうなってんだ、と思ったら……俺まで幼稚園児並みに小さくなっている。

「うおー!?」

 これか。
 これが井守衆を小さくさせてしまった呪いの正体。
 だが、霧散の秘薬で俺には一切こう言う系の攻撃が通用しないはずなんだけど……。

「なんだこれは……マジで」

「貴方に異常状態が一切通用しないことなんて知っていますよ、トウジ・アキノ」

 唖然としていると、ローブの男が顔を隠していたフードを取りながら言った。

「そして、ダンジョンコアが持つ特有の効果ならば通用することも」

「……なるほど」

 ボスクラスが持つ回復阻害系のバッドステータスってやつか。
 確かにそれが前例がある。

「だけど、こんな効果は初めてだよ」

「そうですか。情報不足ですね、トウジ・アキノ。敵対していると言うのに、まったくもっておざなりです」

「そんなこと言われても……」

 やっぱりビシャス関係だったか……。
 つーか、さっきから俺のことを知った風な口ぶりだけどさ。

「俺のことどこまで知ってんの? 好きな食べ物は?」

「従魔に作らせた牛丼」

「……正解」

 悔しいことに、ポチの作った牛丼が好きなんです。
 いやなんでも美味しいんだけど、やっぱりソウルフードなんだ。
 ふとした時に食べたくなる、前の世界でもこの世界でも思い出の味。

「ちなみにダンジョンコアの効果って言ったけど、あんたはダンジョンコアなの?」

「不正解。情報不足です」

「……」

 うっぜ。
 お前らの情報なんか知りたくもないんだがな、俺は。

「これはまさに私たちが発明した奇跡、簡易式エンチャント・ダンジョンコアの力です」

「エンチャント・ダンジョンコア?」

 男は「ええ」と得意げな表情で懐から怪しく輝く丸い玉を取り出した。

「私の持つコアは、全てのリソースを消費して構築した空間にいる全ての時を25年分と装備レベルを25戻し、魔物であれば強制的に退化させます。貴方の脅威は伝説クラスの装備とレベル、そして従魔ですから、これ以上にない最高の策略でしょう? これも情報収集力の賜物です」

 話を聞いている限りだと、とんでもない効果だった。

「全てのって、聞く限りだとそっちもかかってないとおかしいけど」

「ええ、私はこれでようやく最盛期の力を取り戻すことができるので、計算済みです」

「そっちの死に損ないは?」

 ローブ男が若返ったのは納得できるが、すだれ男の方はさっきと変わらない。
 簡易式エンチャント・ダンジョンコア……ブラフの可能性もある。
 なんらかの効果が働いていることは確かだが、ガチでそんなダンジョンコアがあるとしたらヤバイ。

 八大迷宮クラスになったらどうなる?
 ダンジョンに入った瞬間、生まれる前に戻されるんじゃないか?
 つまりは消滅。

「あぁー? 話が長過ぎてきいてなかったけどよーぉぉ? 俺は3歳からずっとこの身長だぜーぇぇ?」

 えっ。






=====
1月は1~2巻無料キャンペーンでした。
2月は個人的に毎日更新キャンペーンをしたい所存。

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おらに力をわけてくれ。

達成できなかったら3月のどこかで1日24回更新をします。
つまり、1時間毎更新です。

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