プライベート・スペクタル

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第三話 第二章

第八節

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名乗ると同時に踏み込むエイプリル。杖を構え接近戦を仕掛ける。
フッドもそれに応じた。
交差する杖とクロスボウ。武器の性質上、接近戦を仕掛けて来たフッドに初戦は驚いたエイプリルだったが、今は違う…これがフッドの戦闘スタイルである。
(見える。対応できます!)
互いに打ち合うエイプリルとフッド。
三笠との訓練。それにより向上した身体能力と基礎体術により以前では対応出来なかったフッドの動きに付いて行くことが出来る。
故に死角から放たれた毒矢も弾き飛ばすことが出来た。
「ッ!?」
「やあッ!」
蹴りを撃ち込んだエイプリル。防がれはしたがフッドを吹き飛ばした。
「マシになった……と上からで言っていたが撤回してやる。お前本当に10日前に這い蹲っていた奴か!?見違えたぜ!!」
「うぃ。全ては貴方を斃し超える為です!」
「良いね…狩り甲斐があるッ!!」
短剣を取り出したフッド。クロスボウとの二刀流で一気にエイプリルに距離を詰める。
そこで何かを察したエイプリル。足元に影達を展開させた。
「?」
『……将軍ッ、7時方向に半歩後退!そのまま左方向!』
「うぃ!」
狗の言葉通りに動くエイプリル。少々大仰と言えるほどの動作でフッドの攻撃を躱す。
更に躱しざまに影での反撃を与えた。
「!?」
『次ッ、屈みつつ数歩後退!』
また言葉通りに動くエイプリル。フッドの毒矢を後ろに跳ねる形で躱しつつ、反動の様に頭突きを見舞った。
『次ッ、その場から動かず軸だけずらしつつ反撃!きっとコイツは…』
「うぃ!クロスボウによる牽制ですね!」
「……っ!ああ……」
体軸をずらす形で矢を躱すエイプリル。
「そうか、成程な…」
そこで何かを察したフッドの言葉。エイプリルは用心し距離を取る。
「どうやって感じ取っていたのか?と少々首を捻ったが、ネタが分かればそれ程驚くことでは無いな…」
「……………」
「影を使って検知していたんだな。炭鉱のカナリアの様に…」
「うぃ、その通りです。貴方の見えない刃。無色無臭の毒ガスに対応する為には…」
「へぇ、気付いたか…」
それが不可解ともいえる挙動にて回避行動をとっていたエイプリルの理由であった。
先の白兵戦の折、密かに毒ガスをばら撒いていたフッド。
矢や短剣に塗られていたモノと同じく、少しでも人体に侵入させれば、行動不能になる神経毒。大和に使用した煙幕とは異なり見る事も嗅ぐことも出来ないそれを知らずの内に吸引させる事で斃す。
文字通りの初見殺しの一手である。
「先の戦いでの経験。そして数日前にお婆様と師匠の襲撃によりようやく理解出来た貴方の攻撃。理解は出来ましたがどうやって対応するかには苦労しましたが……狗さん達との協議により編み出させていただきました」
『そうさ!』
それが先のエイプリルの影の展開。能力によるセンサーである。
周囲に影を出し先行させることにより、どのあたりにガスが存在しているのかを認識。狗が伝える事により毒の危険領域を避けつつの戦闘を可能にしたのである。
『俺達は将軍の忠実な駒を自称しているが、言ってみればただの一能力。将軍が能力を解けば引っ込み回復する。身体を張っての見えない地雷に突っ込んでいく役としてこれ以上いねぇわな!!』
「うぃ、皆様をそのように使うのには少々気が引けますが……皆様がそのように仰っていただけたんです。でしたら皆様の心意気ありがたく使わせていただきます!」
『しかし、コイツでお前のとっておきは封じたぜ。前みたいに体術でゴリ押せない。肝心の毒はこの有様だ……さあ、どうする?』
そう問いかけた狗。フッドは一瞬目を見開いたかと思うと「ふぅ…」と長い息を吐いた。
「成る程…丁度お前とは能力的な相性はお前が天敵だったか……」
「そうかそうか…」と聞こえない声量で呟いたフッド。
そこで拳を挙げた。
「ッ!?」
「いや、単なる説明だよ。お前に言いたいことが幾つかあってな…」
指を一つ上げる。
「まず一つ、俺が毒ガス内でガスマスクも無しに自由に動けるのは…抗体や解毒剤がある訳でなく。この毒自体俺の体内で作りだしたものだからだ…能力的と言ったのは、それだ…」
「では貴方は毒を生み出す能力を持つ【星】というわけですか?」
「それほど全般で万能じゃあない。この神経毒のみの限定的なモノだ……この神経毒のみを生み出せる能力。だが、色や臭気等様々なバリエーションとそして動きを操作することが出来る事。それが二つ目」
二つ目の指を立てたフッド。
そして三つ目もすぐさまに立てた。

「そして三つ目。こんなお粗末な毒ガスモノが俺のとっておきなわけないだろ?」

「ッツ!!?」
増した殺意を感じ警戒をさらに高めたエイプリル。フッドの言葉と同時に大気が動いたのも感じた。
よく見るとフッドの周囲に何かが集まってきているのが見える。
アレが周囲に撒かれた毒ガスなのであろう。無色故に感知が難しかったが集まった密度により視認が可能になったのか蒸気のようなモヤとなっている。
「魅せてやる。俺の本当のとっておきを」
そしてうねり始めたモヤ。徐々に何かを形作っていく。
「最後に四つ目。能力的な相性は天敵だが……能力の方向性は似通っているらしい」

【演目】『樹海狩人 獣の猟群』

【演目】の開演と共に現れたのは幾つもの獣達であった。
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