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第三話 第二章
第七節
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「私が眠っている間にそのような事が…ッ!?」
「そうなのよぉ、婆ちゃん久々の剣呑な雰囲気にちょっと怖かったわぁ」
朝食を食べながら起きて来たエイプリルに今朝の顛末を話した三笠。朗らかそうな口調で決まったことを伝える。
「で、フッドさんだったかな……彼と相対の場を執り行ってきたわ。日時は4日後の日付変更と同時。場所はこの【領域】内ね…」
「日付変更と同時に……」
「計らずとも『創世神』のリベンジ戦。第一試合の先鋒にエイプリルちゃんが相成ったわけね、今回は待った無し……どちらかが斃れるまでの勝負ね」
「いよいよ…」
「心配しなさんな、何とかなるわ……さしあたっては、昨日見えた【演目】その雛形。それを完成させましょう」
「うぃ!」
「良い子」
方針が決まり頷いたエイプリル。
とそこで大和が居ないことについて問いかける。
「ところでお婆様。師匠は……?」
「大和ちゃんもこれまでの仕上げに向かったわ、今は『社』と呼ばれる修行場に籠ったわね」
「『社』ですか?それは一体?」
「ダメダメ今は自身に集中よエイプリルちゃん。ひと段落付いたら教えてあげるから」
「う、うぃ!」
「でも一つ言えるのは、仕上げ中もうエイプリルちゃんは大和ちゃんに会えないということ……『社』での修行はどれほど短くとも5日はかかるわ。つまり次に会えるのはエイプリルちゃんの戦いの後になるって事ね…」
「戦いの後…」
つまりは勝利しないと二度と会えない。その事実に唾をのむエイプリル。
そんなエイプリルに三笠はある事を伝える。
「でもねエイプリルちゃん。大和ちゃんは一切心配していなかったよ。「エイプリルなら大丈夫だ」って私に何度も言っていたし…それに一応書き置きもね」
そう言って一枚の紙をエイプリルに渡す三笠。和紙の様な紙には短くこう書かれていた。
『気楽に征こうぜ』
「……………………」
よく知っている大和の筆跡。文の最後にはサムズアップの絵も描かれていた。
「『社』って命の危険もあるから、遺書を書かせるのが決まりで書かせたけれど…大和ちゃんらしいちゃあらしいわ」
『社』というものがどういうものかはまだ知らない。先の戦いが終わるまで知らなくても良い。死の危険がある事だけは今わかった。
「お婆様」
「なぁに?」
「最後の総仕上げ。こんな未熟な私ですが…ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします」
だが、そんな状況でも自身を信じてくれる。帰る事、帰って来ることが当然と信じて突き放してくれる。
それだけでエイプリルは自分の心を着火させるのに十二分に足る理由であった。
畏まり頭を下げたエイプリルに三笠は「良いわよぉ」と笑った。
「そろそろね」
「…うぃ」
カチリカチリと針を動かす時計を見た三笠の言葉に頷くエイプリル。
4日後、仕上げを終えたエイプリル。あとは戦いの時を待つのみの身となる。
その時間もあと僅かまで迫っていた。
「お婆様。重ね重ねこの度はありがとうございました」
「良いのよぉ、婆ちゃんもどこまでエイプリルちゃんにしてやれたかわからないし……それにこちらもこの日々は楽しかったわぁ」
「うぃ、私もです」
「それにその言葉はもう少し先……戦いを終えてからでしょ」
「あ、そうでしたね」
先走り過ぎたと感じたエイプリル。三笠と共に笑いあった。
そうしているうちに時は約束の時間を指し示す。
「それじゃあ行こうかエイプリルちゃん」
「うぃ!」
元気よく頷いたエイプリル。約束した場所へと向かう。
約束の場。【領域】内で最も開けた広場のような場所。
その場所にはすでにフッドは待っていた。
「よぉ、久しぶりだ…」
「うぃ、お久しぶりです」
自分の身体にクロスボウを預け立っていたフッド。
エイプリルの全身をなぞる様に見る。
「ほぉう…少しはまともになったようだな」
「うぃ、マシになりました。そして今日貴方に勝ちに来ました」
「…全く、こうなるからさっさとトドメを刺さないといけないと言うのに…トワの奴……」
ボヤくフッド。続いて三笠の方を見る。
「おい婆、今回は当然止めに入らないだろうな?」
「ええ勿論よ、今回の貴方は約束を守った。ならこちらも止めに入る事は出来ないし約束もするわ…ここでエイプリルちゃんが無惨に斃れようと私は一切の手助けに入らないと……」
「なら良い」
「でもそんな心配。貴方は無用だと思うわ……今回はエイプリルちゃんが勝つもの」
「言ってろ。年寄りにも妄言ぐらいは言う権利があるからな……」
クロスボウを手に取り臨戦態勢に入るフッド。エイプリルも同じく構える。
場に戦意と緊張感が満ちていく。
「【星団】『創世神』所属。エイプリル…行きます!」
「『魔女の旅団』所属。【銘付き】『魔獣狩人』フッド…来い!」
「うぃ、参ります!」
奇しくも刻限の時間丁度。
双方の名乗りと共に始まった。エイプリルVSフッド。
コレが『創世神』VS『魔女の旅団』。その先鋒戦であった。
「そうなのよぉ、婆ちゃん久々の剣呑な雰囲気にちょっと怖かったわぁ」
朝食を食べながら起きて来たエイプリルに今朝の顛末を話した三笠。朗らかそうな口調で決まったことを伝える。
「で、フッドさんだったかな……彼と相対の場を執り行ってきたわ。日時は4日後の日付変更と同時。場所はこの【領域】内ね…」
「日付変更と同時に……」
「計らずとも『創世神』のリベンジ戦。第一試合の先鋒にエイプリルちゃんが相成ったわけね、今回は待った無し……どちらかが斃れるまでの勝負ね」
「いよいよ…」
「心配しなさんな、何とかなるわ……さしあたっては、昨日見えた【演目】その雛形。それを完成させましょう」
「うぃ!」
「良い子」
方針が決まり頷いたエイプリル。
とそこで大和が居ないことについて問いかける。
「ところでお婆様。師匠は……?」
「大和ちゃんもこれまでの仕上げに向かったわ、今は『社』と呼ばれる修行場に籠ったわね」
「『社』ですか?それは一体?」
「ダメダメ今は自身に集中よエイプリルちゃん。ひと段落付いたら教えてあげるから」
「う、うぃ!」
「でも一つ言えるのは、仕上げ中もうエイプリルちゃんは大和ちゃんに会えないということ……『社』での修行はどれほど短くとも5日はかかるわ。つまり次に会えるのはエイプリルちゃんの戦いの後になるって事ね…」
「戦いの後…」
つまりは勝利しないと二度と会えない。その事実に唾をのむエイプリル。
そんなエイプリルに三笠はある事を伝える。
「でもねエイプリルちゃん。大和ちゃんは一切心配していなかったよ。「エイプリルなら大丈夫だ」って私に何度も言っていたし…それに一応書き置きもね」
そう言って一枚の紙をエイプリルに渡す三笠。和紙の様な紙には短くこう書かれていた。
『気楽に征こうぜ』
「……………………」
よく知っている大和の筆跡。文の最後にはサムズアップの絵も描かれていた。
「『社』って命の危険もあるから、遺書を書かせるのが決まりで書かせたけれど…大和ちゃんらしいちゃあらしいわ」
『社』というものがどういうものかはまだ知らない。先の戦いが終わるまで知らなくても良い。死の危険がある事だけは今わかった。
「お婆様」
「なぁに?」
「最後の総仕上げ。こんな未熟な私ですが…ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします」
だが、そんな状況でも自身を信じてくれる。帰る事、帰って来ることが当然と信じて突き放してくれる。
それだけでエイプリルは自分の心を着火させるのに十二分に足る理由であった。
畏まり頭を下げたエイプリルに三笠は「良いわよぉ」と笑った。
「そろそろね」
「…うぃ」
カチリカチリと針を動かす時計を見た三笠の言葉に頷くエイプリル。
4日後、仕上げを終えたエイプリル。あとは戦いの時を待つのみの身となる。
その時間もあと僅かまで迫っていた。
「お婆様。重ね重ねこの度はありがとうございました」
「良いのよぉ、婆ちゃんもどこまでエイプリルちゃんにしてやれたかわからないし……それにこちらもこの日々は楽しかったわぁ」
「うぃ、私もです」
「それにその言葉はもう少し先……戦いを終えてからでしょ」
「あ、そうでしたね」
先走り過ぎたと感じたエイプリル。三笠と共に笑いあった。
そうしているうちに時は約束の時間を指し示す。
「それじゃあ行こうかエイプリルちゃん」
「うぃ!」
元気よく頷いたエイプリル。約束した場所へと向かう。
約束の場。【領域】内で最も開けた広場のような場所。
その場所にはすでにフッドは待っていた。
「よぉ、久しぶりだ…」
「うぃ、お久しぶりです」
自分の身体にクロスボウを預け立っていたフッド。
エイプリルの全身をなぞる様に見る。
「ほぉう…少しはまともになったようだな」
「うぃ、マシになりました。そして今日貴方に勝ちに来ました」
「…全く、こうなるからさっさとトドメを刺さないといけないと言うのに…トワの奴……」
ボヤくフッド。続いて三笠の方を見る。
「おい婆、今回は当然止めに入らないだろうな?」
「ええ勿論よ、今回の貴方は約束を守った。ならこちらも止めに入る事は出来ないし約束もするわ…ここでエイプリルちゃんが無惨に斃れようと私は一切の手助けに入らないと……」
「なら良い」
「でもそんな心配。貴方は無用だと思うわ……今回はエイプリルちゃんが勝つもの」
「言ってろ。年寄りにも妄言ぐらいは言う権利があるからな……」
クロスボウを手に取り臨戦態勢に入るフッド。エイプリルも同じく構える。
場に戦意と緊張感が満ちていく。
「【星団】『創世神』所属。エイプリル…行きます!」
「『魔女の旅団』所属。【銘付き】『魔獣狩人』フッド…来い!」
「うぃ、参ります!」
奇しくも刻限の時間丁度。
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