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第三章 翼を持つ者
3-9 ナギサイド
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突然現れた、フェンリムと呼ばれていた、目の前にいる狼型の魔物は、普通の狼よりも十倍以上の大きさだ。それも二匹も。
「気をつけてください! 今ままで、戦った魔物よりも、上位の魔物です!」
「どんな、魔物なのかしら~?」
質問するのはいいんだが、全く、危機感を感じられないんだが。大丈夫なのか?
「フェンリムは体がデカいですが、デッドガルムやマナーガルムよりかは、動きは遅めです。ですけど、フェンリムの体は、物凄く頑丈で、普通の剣とかいったら刃は通らないです。皆さん、デッドガルムやマナーガルムをあっさり倒しましたが、フェンリムは比べものにならないぐらい、生命力があります。はっきり言って手強いです」
うん! あまり、うれしくない、情報ね。
すると、ニ体いる内の一体のフェンリムが、大きく口を開いた。
「皆~、避けて~!」
カチュアはのんびりしているけど大声で叫ぶ。
そのフェンリムの口から光線? 見たいのが出てきた。なんとか、皆んなは、躱わしたが、光線は地面に当たり、大きな穴が開いていた。
あれって、ビーム!? なんでビームが出せるの?
「何なの!? あれ!?」
「光線です。あれに喰らったら、人なんて消し炭になってしまいます」
「狼って、あんなのもを、だせるんだね」
「感心している場合じゃたいですよエドナさん。それに狼型って、いっても魔物だから」
「そーなんだ~」
さっきから、そんなのでいいのかよ!? てか、カチュアは相変わらず、危機感が感じられない、返事の仕方だよな!
「フェンリムは、さっき見たいな光線を放てるんです。デッドウルフが全身燃えているのと同じで基本魔物は体内に魔石があります。魔術が使えるもは当然です」
こんな状況なのに、ルナは平常に答える。
てか、あれ、魔術の一種なの? 兵器でしょ!? てか、生物兵器?
フェンリムを呼び出した方の、フードの男が杖をカチュア達がいる方へ指すと。
「さあ! フェンリン行くがいい!」
フードの男がフェンリムに指示を出だす。これから、攻撃を仕掛けられるだろうと、いうのにも関わらず、カチュアは。
「あなた達は見ない方がいいわ~」
エドナ、ルナ、ユミルに見せないよう、左腕を上げた。
「カチュアさん、こんな時に」
こんな状況なのに、見ないでと言われても、それは困惑するよな。
普通だったら、逃げないとだけど、カチュアのこのセリフ……。もう、フラグが立っているかもしれない。どこから、フラグという言葉が出てきたのかはわからないが。だけど、カチュアのこの行動からして、恐らく……。
「ぎゃああああああ!!!」
男達の悲鳴が聞こえてきた。
やっぱり、ですか……。
フェンリムの方を見ると、二体いるうち一体のフェンリムは、フードの男たちを二人同時に食べてしまった。
「いやーーーーー!!!」
この光景を見た、ユミルが叫んでしまう。いきなり、これを見ちゃったら、平然には、いられないよな。
てか、自分達が呼ぶ寄せた、魔物に食べられるって、手懐けいなかったのね。魔物使い? が魔物に食われて終わるなんて。
「まさか、呼び出した、魔物に食べられるなんて……。飼い犬に噛まれるってこのことですね」
ルナが上手いことを言ったわね。笑いを取りに、いっているわけでなく、真面目に言っていると思うが。
「あれは狼だよ」
おーい、エドナさーん。そう言う、ボケはいらないから。
「いや、そういうことじゃ、なくって」
ルナが困っているよ。
「違うよ~、エドナちゃん、あの人達は食べられたんだよ~」
「そっか!」
カチュアも、そう言うボケはいらないから。こんな時に何をやっているんだ? この能天気コンビは。目の前見ろよ! 魔物がいるから!
フェンリムの一体の口元を見ると。
『呑気にコントしている場合じゃないよ。フェンリムがまた、ビーム放つよ!』
フェンリム方を向くと、フェンリムの口が光り出した。
「はわわ! また、光線が!?」
「ちょっと、カチュアさん?」
いつの間にか、カチュアはビームを放とうとしているフェンリムの真上にいた。
カチュアはフェンリムの、開いた口の上に、踵を落としをかました。その衝撃で、ビームを出そうとする、フェンリムの口が塞がってしまった。
すると。
ドカーーーーーン!!!
ビームを砲発する道が塞がれたため、ビームはフェンリムの口の中で、暴発した。フェンリムはそのまま倒れた。
「やったんですか!?」
エドナが尋ねる。
「……まだよ?」
カチュアが、ぼそっ言ったのが、聞こえた。
あの爆発を受けたにも、関わらず。体がフラフラしては、いるが、フェンリムは立ちあがった。口元を見渡すと焦げた部分が見える。
「まだ生きていわ~」
「魔物は生命力が強く、異常なタフさを持っています。フェンリムは魔物の中でも上級の方です。簡単には倒れません」
「そう~、……でも、倒れて欲しかったわ~、もう一体も相手にしないといけないから~」
そう言えば、もう一体居たんだ。
もう一体のフェンリムの方を見ると、フェンリムの口が光り出し。……って! また、さっきのビームがくる!!
もうじき、放たれる。時間が足りないから、さっきのカチュアが行《おこな》った、口を塞いで、爆発をさせる方法は、できなそうだ。
「カチュアさーん!!」
カチュアは、逃げようとせず、エドナ達の前に立った。
ビームが放たれた。しかし。
カキーーーン!!
ビームはカチュアに当たろうとした。しかし、カチュアさんが縦に回転をしながら蹴りをして、光に当たると、光はフェンリムの方に向かっていった。さっきのユミル様がフードの男の魔術を跳ね返したことと、同じことが起きていた。
ビームはフェンリムの顔に直撃した。
「跳ね返しちゃったんだよ。カチュアさん、何が起きたんですか?」
エドナじゃなくっても、気になるよね。この状況。
「これのこと?」
カチュアは足を上げた。
「カチュアさんの、靴の底を、よく見ると刃物のような物が付いるんだよ。さっきまで付いていなかったのに」
そう、カチュアの靴底には刃物みたいのが付いていた。カチュアが今履いている靴には刃物が仕込まれていて、思いっ切り蹴ると刃物が出る仕組みだ。
「これは武器屋の人に作ってもらったの~」
「ハルトさんに?」
この靴はルナの考案で、武器屋のハルトとかいう、おじさんに作ってもらった特注品。元々、カチュアは、戦闘に蹴りも入れていたので、以前のガイザック戦いを見た、ルナが提案してくれたんだ。ちなみにフェンリムのビームを跳ね返すことが出来たのは、ユミルの刀と同じ、この靴底に仕込まれている刃物には、魔術を跳ね返す金属を使われているからだ。
この魔術を跳ね返す金属はおまけとしてだ。そのおまけが、こんなところで、役に立つなんて。
「気を付けて~、まだよ」
あの凄まじい、ビーム攻撃を受けても、全身焦げた、だけで、まだ生きている。ここまでいくと狼型魔物よりもゴキブリだね。もしかして、魔物の正体はゴキブリだったりして。
こんな、しぶとい奴を倒せるのか?
「では、これならどうですか」
ユミルはさっき放った水の刃よりも、さらに大きいものをフェンリム目掛けて放った。
水の刃は全身焦げたフェンリムの額に当たる。けど、その攻撃でも額に縦の切り傷をつけられていただけだった。
それを見たカチュアは、全身焦げたフェンリムの方へ、向かっていた。
カチュアは剣を切り傷の付いた額に向けて、突き刺した。
グサリ! ブシューーーー!!!
額には大量の血が噴き出した。だけど、倒れない。しぶとすぎでしょ、この狼!
「は~~~~」
カチュアは突き刺した剣をさらに押し付ける。そして、段々とカチュアは傷口からフェンリムの体の中に入っていった。その後、カチュアはフェンリムの首下から出てきた。そう貫通したのだ。さすがに、ゴキブリ並みに、しぶといフェンリムも倒れた。
だけど、終わりじゃない。まだ一体、残っている。
口元が焦げたフェンリムはフラフラしているがこっちに向かってきた。口元が焦げたフェンリムは、口を大きく開けた。また、ビームを放つのか?
あれ? 出てこない。光すらない。もしかして、ビームを放つ元気がないのか? やはり、あの強力なビームを直撃して、死ななかったとしても、体力は削られるのか?
だけど、もう一体相手に出来るのか? 一体倒すのに、精一杯なのに。ユミルの水の刃で傷を負わせることはできた。傷だけでも、付けらるなら、さっきのカチュアがやったように、あのバカ力が通る筈。どうする?
一方、エドナとルナが、何か話しているのが聞こえた。
「エドナさん、さっきの口の中に風の矢を放てますか?」
「はい」
「なら、ルナの火の球を同時にあのフェンリムの口に狙ってください」
「わかりました」
話がついたようで、ルナがカチュアに。
「カチュアさん、すみませんが、最初にフェンリムの、口を塞いだ方法はできます?」
「……わかったわ~。やってみるわ~」
口を塞いだって、あの、ビームの放出させないようにカチュアの踵落としで、口を塞いだ、あれか。その後、口の中で、暴発したんだ。でも、あれをどうするんだ? 奴がビームを放てるのが、前提なのに。
カチュアはフェンリムのところへ向かっていた。一方、エドナは風の矢を作り出し、その矢を弓で弾いて構える。ルナの杖先には火の球が出現した。
「準備できましたか?」
「はい!」
「では、せーのって、いったら放ってください」
「わかりました」
「せーの!」
エドナの風の矢と、ルナの火の球が同時に放った。風の矢と火の球はフェンリムの口の中に入った。同時に、空高く飛んだカチュアは、フェンリムの顎目掛けて、踵を落とした。その衝撃でフェンリムの口は塞がった。
フェンリムの腹は膨らみだした。これって、フェンリムが飲み込んだエドナの風の矢とルナの火の球が組み合わせて、巨大な炎の渦が出来ているのか。飲み込ませるために、カチュアに口を塞がれたのか。
しばらくすると、フェンリムの腹がへこんだ。フェンリムは口から大量の血を吐きながら倒れた。
カチュアはフェンリムに近づく。
「もう、だいじょぶよ~」
「よかったー」
エドナ、ルナ、ユミルは腰を落とした。
「もう、へとへとなんだよ~」
あのゴキブリ並みの生命力を誇る、デカい狼を二体も相手にしていたから、それは疲れるだろうね。
……それにしても、あの交戦の中、気になったことがあった。それは、カチュアはフェンリムの体を突き破った時だ。当然全身に血が付くはずなのに、カチュアの体には血が付いていなかった。
その代わり、なぜかカチュアの足元には白い粉が広がっていた。……何か、白い粉って、言い方が悪いような。それは置いといて、これは……灰なのか? 何故、カチュアの体に灰が付いていたんだ?
戦闘は終わったのに、謎が深まったわ。
「気をつけてください! 今ままで、戦った魔物よりも、上位の魔物です!」
「どんな、魔物なのかしら~?」
質問するのはいいんだが、全く、危機感を感じられないんだが。大丈夫なのか?
「フェンリムは体がデカいですが、デッドガルムやマナーガルムよりかは、動きは遅めです。ですけど、フェンリムの体は、物凄く頑丈で、普通の剣とかいったら刃は通らないです。皆さん、デッドガルムやマナーガルムをあっさり倒しましたが、フェンリムは比べものにならないぐらい、生命力があります。はっきり言って手強いです」
うん! あまり、うれしくない、情報ね。
すると、ニ体いる内の一体のフェンリムが、大きく口を開いた。
「皆~、避けて~!」
カチュアはのんびりしているけど大声で叫ぶ。
そのフェンリムの口から光線? 見たいのが出てきた。なんとか、皆んなは、躱わしたが、光線は地面に当たり、大きな穴が開いていた。
あれって、ビーム!? なんでビームが出せるの?
「何なの!? あれ!?」
「光線です。あれに喰らったら、人なんて消し炭になってしまいます」
「狼って、あんなのもを、だせるんだね」
「感心している場合じゃたいですよエドナさん。それに狼型って、いっても魔物だから」
「そーなんだ~」
さっきから、そんなのでいいのかよ!? てか、カチュアは相変わらず、危機感が感じられない、返事の仕方だよな!
「フェンリムは、さっき見たいな光線を放てるんです。デッドウルフが全身燃えているのと同じで基本魔物は体内に魔石があります。魔術が使えるもは当然です」
こんな状況なのに、ルナは平常に答える。
てか、あれ、魔術の一種なの? 兵器でしょ!? てか、生物兵器?
フェンリムを呼び出した方の、フードの男が杖をカチュア達がいる方へ指すと。
「さあ! フェンリン行くがいい!」
フードの男がフェンリムに指示を出だす。これから、攻撃を仕掛けられるだろうと、いうのにも関わらず、カチュアは。
「あなた達は見ない方がいいわ~」
エドナ、ルナ、ユミルに見せないよう、左腕を上げた。
「カチュアさん、こんな時に」
こんな状況なのに、見ないでと言われても、それは困惑するよな。
普通だったら、逃げないとだけど、カチュアのこのセリフ……。もう、フラグが立っているかもしれない。どこから、フラグという言葉が出てきたのかはわからないが。だけど、カチュアのこの行動からして、恐らく……。
「ぎゃああああああ!!!」
男達の悲鳴が聞こえてきた。
やっぱり、ですか……。
フェンリムの方を見ると、二体いるうち一体のフェンリムは、フードの男たちを二人同時に食べてしまった。
「いやーーーーー!!!」
この光景を見た、ユミルが叫んでしまう。いきなり、これを見ちゃったら、平然には、いられないよな。
てか、自分達が呼ぶ寄せた、魔物に食べられるって、手懐けいなかったのね。魔物使い? が魔物に食われて終わるなんて。
「まさか、呼び出した、魔物に食べられるなんて……。飼い犬に噛まれるってこのことですね」
ルナが上手いことを言ったわね。笑いを取りに、いっているわけでなく、真面目に言っていると思うが。
「あれは狼だよ」
おーい、エドナさーん。そう言う、ボケはいらないから。
「いや、そういうことじゃ、なくって」
ルナが困っているよ。
「違うよ~、エドナちゃん、あの人達は食べられたんだよ~」
「そっか!」
カチュアも、そう言うボケはいらないから。こんな時に何をやっているんだ? この能天気コンビは。目の前見ろよ! 魔物がいるから!
フェンリムの一体の口元を見ると。
『呑気にコントしている場合じゃないよ。フェンリムがまた、ビーム放つよ!』
フェンリム方を向くと、フェンリムの口が光り出した。
「はわわ! また、光線が!?」
「ちょっと、カチュアさん?」
いつの間にか、カチュアはビームを放とうとしているフェンリムの真上にいた。
カチュアはフェンリムの、開いた口の上に、踵を落としをかました。その衝撃で、ビームを出そうとする、フェンリムの口が塞がってしまった。
すると。
ドカーーーーーン!!!
ビームを砲発する道が塞がれたため、ビームはフェンリムの口の中で、暴発した。フェンリムはそのまま倒れた。
「やったんですか!?」
エドナが尋ねる。
「……まだよ?」
カチュアが、ぼそっ言ったのが、聞こえた。
あの爆発を受けたにも、関わらず。体がフラフラしては、いるが、フェンリムは立ちあがった。口元を見渡すと焦げた部分が見える。
「まだ生きていわ~」
「魔物は生命力が強く、異常なタフさを持っています。フェンリムは魔物の中でも上級の方です。簡単には倒れません」
「そう~、……でも、倒れて欲しかったわ~、もう一体も相手にしないといけないから~」
そう言えば、もう一体居たんだ。
もう一体のフェンリムの方を見ると、フェンリムの口が光り出し。……って! また、さっきのビームがくる!!
もうじき、放たれる。時間が足りないから、さっきのカチュアが行《おこな》った、口を塞いで、爆発をさせる方法は、できなそうだ。
「カチュアさーん!!」
カチュアは、逃げようとせず、エドナ達の前に立った。
ビームが放たれた。しかし。
カキーーーン!!
ビームはカチュアに当たろうとした。しかし、カチュアさんが縦に回転をしながら蹴りをして、光に当たると、光はフェンリムの方に向かっていった。さっきのユミル様がフードの男の魔術を跳ね返したことと、同じことが起きていた。
ビームはフェンリムの顔に直撃した。
「跳ね返しちゃったんだよ。カチュアさん、何が起きたんですか?」
エドナじゃなくっても、気になるよね。この状況。
「これのこと?」
カチュアは足を上げた。
「カチュアさんの、靴の底を、よく見ると刃物のような物が付いるんだよ。さっきまで付いていなかったのに」
そう、カチュアの靴底には刃物みたいのが付いていた。カチュアが今履いている靴には刃物が仕込まれていて、思いっ切り蹴ると刃物が出る仕組みだ。
「これは武器屋の人に作ってもらったの~」
「ハルトさんに?」
この靴はルナの考案で、武器屋のハルトとかいう、おじさんに作ってもらった特注品。元々、カチュアは、戦闘に蹴りも入れていたので、以前のガイザック戦いを見た、ルナが提案してくれたんだ。ちなみにフェンリムのビームを跳ね返すことが出来たのは、ユミルの刀と同じ、この靴底に仕込まれている刃物には、魔術を跳ね返す金属を使われているからだ。
この魔術を跳ね返す金属はおまけとしてだ。そのおまけが、こんなところで、役に立つなんて。
「気を付けて~、まだよ」
あの凄まじい、ビーム攻撃を受けても、全身焦げた、だけで、まだ生きている。ここまでいくと狼型魔物よりもゴキブリだね。もしかして、魔物の正体はゴキブリだったりして。
こんな、しぶとい奴を倒せるのか?
「では、これならどうですか」
ユミルはさっき放った水の刃よりも、さらに大きいものをフェンリム目掛けて放った。
水の刃は全身焦げたフェンリムの額に当たる。けど、その攻撃でも額に縦の切り傷をつけられていただけだった。
それを見たカチュアは、全身焦げたフェンリムの方へ、向かっていた。
カチュアは剣を切り傷の付いた額に向けて、突き刺した。
グサリ! ブシューーーー!!!
額には大量の血が噴き出した。だけど、倒れない。しぶとすぎでしょ、この狼!
「は~~~~」
カチュアは突き刺した剣をさらに押し付ける。そして、段々とカチュアは傷口からフェンリムの体の中に入っていった。その後、カチュアはフェンリムの首下から出てきた。そう貫通したのだ。さすがに、ゴキブリ並みに、しぶといフェンリムも倒れた。
だけど、終わりじゃない。まだ一体、残っている。
口元が焦げたフェンリムはフラフラしているがこっちに向かってきた。口元が焦げたフェンリムは、口を大きく開けた。また、ビームを放つのか?
あれ? 出てこない。光すらない。もしかして、ビームを放つ元気がないのか? やはり、あの強力なビームを直撃して、死ななかったとしても、体力は削られるのか?
だけど、もう一体相手に出来るのか? 一体倒すのに、精一杯なのに。ユミルの水の刃で傷を負わせることはできた。傷だけでも、付けらるなら、さっきのカチュアがやったように、あのバカ力が通る筈。どうする?
一方、エドナとルナが、何か話しているのが聞こえた。
「エドナさん、さっきの口の中に風の矢を放てますか?」
「はい」
「なら、ルナの火の球を同時にあのフェンリムの口に狙ってください」
「わかりました」
話がついたようで、ルナがカチュアに。
「カチュアさん、すみませんが、最初にフェンリムの、口を塞いだ方法はできます?」
「……わかったわ~。やってみるわ~」
口を塞いだって、あの、ビームの放出させないようにカチュアの踵落としで、口を塞いだ、あれか。その後、口の中で、暴発したんだ。でも、あれをどうするんだ? 奴がビームを放てるのが、前提なのに。
カチュアはフェンリムのところへ向かっていた。一方、エドナは風の矢を作り出し、その矢を弓で弾いて構える。ルナの杖先には火の球が出現した。
「準備できましたか?」
「はい!」
「では、せーのって、いったら放ってください」
「わかりました」
「せーの!」
エドナの風の矢と、ルナの火の球が同時に放った。風の矢と火の球はフェンリムの口の中に入った。同時に、空高く飛んだカチュアは、フェンリムの顎目掛けて、踵を落とした。その衝撃でフェンリムの口は塞がった。
フェンリムの腹は膨らみだした。これって、フェンリムが飲み込んだエドナの風の矢とルナの火の球が組み合わせて、巨大な炎の渦が出来ているのか。飲み込ませるために、カチュアに口を塞がれたのか。
しばらくすると、フェンリムの腹がへこんだ。フェンリムは口から大量の血を吐きながら倒れた。
カチュアはフェンリムに近づく。
「もう、だいじょぶよ~」
「よかったー」
エドナ、ルナ、ユミルは腰を落とした。
「もう、へとへとなんだよ~」
あのゴキブリ並みの生命力を誇る、デカい狼を二体も相手にしていたから、それは疲れるだろうね。
……それにしても、あの交戦の中、気になったことがあった。それは、カチュアはフェンリムの体を突き破った時だ。当然全身に血が付くはずなのに、カチュアの体には血が付いていなかった。
その代わり、なぜかカチュアの足元には白い粉が広がっていた。……何か、白い粉って、言い方が悪いような。それは置いといて、これは……灰なのか? 何故、カチュアの体に灰が付いていたんだ?
戦闘は終わったのに、謎が深まったわ。
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