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翌日の晴れた朝。昨日あった出来事を思い出しながら庵は軍の廊下を歩いていた。

前代未聞の配属、ありえない教育係ーーーーまだ自分は夢でも見ているのかと思う出来事ばかりだ。

だが、夢でなく現実なのだ。なぜなら、廊下ですれ違う人が驚いた顔で自分を見るのだ。仲間と歩いている人達は小さな声で「あれが噂の‥‥‥」と言い合う声が聞こえる。

一夜にして有名人になった、庵海斗は嘆きたい気持ちをぐっと堪えて、自分が配属された「第一室」と書かれた扉をノックして入る。

室長はまだ来ていなかったが、すでに夜神中佐は来ていて、書類作業をしていた。こちらに気付いて笑顔で挨拶をしてくれる
「おはよう、庵君。昨日は色々あったけどしっかりと休めた?」
「おはようございます。夜神中佐。お早いんですね。お陰様で何とか休めました」

嘘だ。あまりにも色々ありすぎて休めなかった。ベットに入ったけど眠れなかったのだ。多分、二時間寝られていればいいぐらいに休めてない。
「そうなの?顔は疲れているように見えるけど。大丈夫ならいいわ。今日から早速指導に入るけど宜しくね」

嘘だわ。多分あまり寝れてないよね。色々とありすぎて、頭の中グチャグチャでまとまらなかったでしょうに。
夜神は庵の言葉を聞いて嘘を見抜いたが、あえて何も言わなかった。本人がそのように言ってきたのだから、その通りに受け止めておくだけにした。

「今日は初日だから、庵君の実力を見てみたいと思うの。それで射撃・剣術・体術の三つを今日は見させてね」
勉強面も出来るなら見たいが、実際任務するときはこの三つが出来ないと戦えない。

更に「高位クラス武器」を取得したらその武器を扱えなければならない。それはまだ先の話だが、大学でも同じ事をしていたのだから、相手を倒す実力はなくても基本は出来てあたり前。

プロフィールとテスト順位だけでは、相手の本当の実力は分からないものだ。なので直に見て、今後を決めていく事にした。
「室長の朝礼が終わったら、まずは射撃からね。射撃訓練場の場所分からないでしょう?案内してあげるね」
なるべく、安心させるような声のトーンで、庵に微笑みながら今日の工程を説明していく夜神であった。


「ーーー以上が、上層部からの伝達事項である。分かっていると思うが、なるべく問題を起こさないように。特に虎次郎お前だ!お前の変な提案を数年前に出したばかりに毎年、どこの国でも同じような案件が多発しているようだ。なぜ、お前はややこしい問題ばかりを増やしていくのか。胃が痛いぞ」
長谷部室長は、毎年している国同士の合同演習の相手国の説明と、虎次郎の非難をして話を終わらせた。

「朝礼も終わったことだし、射撃訓練場に行こうか庵君」 
「はい。宜しくお願いします。夜神中佐」
「おっ、庵青年。今から射撃か?なら相澤も一緒に連れていけばいいんじゃね?相澤は射撃専門だからな。もしかしたら色々とアドバイスもらえるかもよ」
射撃訓練と聞いて虎次郎が相澤の名前を出した。確かにライフル銃とベルトには二つの銃ホルダーがある。何の銃かは分からないが銃を得意としているのだろう。きっとそのうちのどれかがSランクの武器だろう。

「ついて行ってもいいのだか、今から任務に行かないといけない。またの機会にさせてもらえるだろうか?庵君」
「そんな!!ありがとうございます。お時間合えばぜひ宜しくお願いします」
「虎次郎?教育係は私なんですけど?私も銃ぐらい扱えるし。相澤少佐と比べたらあれだけど・・・けど、庵君大丈夫よ。訓練場には相澤少佐の師匠が居るから」
「師匠ですか?心強いですね。色々と指導してもらえると有り難いですね」
「あーーー多分してもらえると思うよ。学生には気持ち悪いぐらいにベッタリと指導するからね。あの人は」
相澤は眉間にシワを寄せて、何故か遠い目をしながら呟いていたが、時間が迫っていたのだろう。慌て準備をして部屋を出で行った
「さて、私達も準備して行きましょうか」
「はい」
「いってらー庵青年頑張れよー」
簡単な準備をして、自分達も部屋を出で射撃訓練場に向かう。

一歩、部屋を出ると周りにいた人達が、驚きと好機の目を向けながら、二人の後ろ姿を見ていた

きっとこの視線はしばらく続くのだろう。すごく嫌だけど、分からなくもないんだよな。アンバランスな組み合わせ。自分でも自覚しているがやはり辛いな。中佐は大丈夫なんだろうか?

夜神の方をチラッと見たが、慣れているのか、周りの視線など気にすることもなく歩いていた。
これが慣れているのか、それとも気にしていないのかは不明だか、やはり凄い人なんだと庵は改めて思い二人で訓練場に向かった
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