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第3話 こんなシナリオ聞いてないんだが? 1
しおりを挟む♬♪♬♬♬♪
「見つからない?」
僕は手を止めて従者に視線を向ける。
「はい。金髪で紫色の瞳のご令嬢は殿下の婚約者を除いて居ませんでした」
「そう、分かった。下がっていいよ」
「はっ」
一体君はどこの誰なんだろうね?
もう一度君の演奏が聴きたい。今度は最初から最後まで。
僕は彼女の演奏を忘れないように頭の中で彼女の音を思い浮かべた。
♬♪♬♬♬♪♬
「フィーネお嬢様、素晴らしい演奏でした。でも一体全体どうされたんですか? まるで人が変わったような音に」
「あ、えっと、頭を打ってから反省したのよ、だから今回は真面目に練習したのですわ」
「そうでしたか、それはいい心がけです。このままでしたら音楽学校の入試もなんとかなりますよ」
ふくよかなピアノ講師は、自身の髭を伸ばしながらうんうんと頷く。
紗綾と会ってから一週間経った。
そして、今日は、記憶を取り戻してから初めてのピアノレッスンを受けている。説得をしたこともあり、講師は前と変わっていない。
ちなみに、私がピアノを見つけた部屋でレッスンも行なっていたようで、場所も変わらなかった。この屋敷には1つしかピアノがないらしい。
それにしても、今の演奏が褒められるなんて……。
これでも結局適当に弾いてたのになあ。なんなら片手しか使ってなかったし。まぁ、元が下手すぎたのもあると思うけど。
私は上手く弾きすぎないように気を引き締めながら楽譜を眺める。
多分、私の両親は親バカだから、ピアノを上手くなったことをただ喜ぶだけだとは思うけど。他の人から見たらいきなり弾けるようになるのは不気味だと思うし。
ただ、変な癖だけはつけたくないからなあ。そうするとどうしても弾き方は変えられない。
さっきからわざと間違えてたフリをしたり、音楽記号を無視したりはいろいろやってるけど。
これがなかなか難しい。
レッスンが楽しくないと思ったのは初めてかもしれない。
私は普通に弾きたい気持ちを抑えながら、ピアノを弾く。とても苦痛……。
でも、今回のレッスンで得た物もある。前世のクラッシック曲の楽譜がこの世界にあったことが分かった。嬉しすぎるので、楽譜を抱きしめながら今日は寝ようと思う。
多分メイドに没収されそうだけど……。
「そこは、クレッシェンドなのでだんだん大きくして、そこはスタッカートなので音を切ってください」
「分かりましたわ」
体が勝手に講師の言われた通りに修正してピアノを弾く。
「素晴らしい! しかしお嬢様、数週間練習しただけでこんなにすぐに私が言われた通りに直せるようになるものなのでしょうか」
「能ある鷹は爪を隠すって言ってるでしょ、それよそれ」
「そうですか、お嬢様はこれからまだまだ上達しそうですね、私、期待していますぞ」
危ない危ない、前世の癖でついついすぐに言われたことを修正してしまった。
このピアノレッスンは油断できない。
私は早くこのピアノレッスンが終われと願いながら、精神統一をしてピアノを弾き続ける。
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