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第2話  私、前世で何か悪いことでもしました? 3

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「悪役令嬢の義理の弟、モデラート·ソル。このゲーム唯一のヤンデレキャラよ。悪役令嬢に自分の演奏をバカにされたり、いじめられたりして自分に自信をなくしていたけど、ヒロインに自分の演奏を褒めてもらったことによって自信を持つようになり、やがてヒロインが好きになるっていう感じのストーリーだったわ。
 
 
 バイオリン科の1つ年上の先輩、マルカート·ラルゴ。真面目にバイオリンを練習していたけど、女遊びが激しいかったから周りからはそうと思われることはなかったわ。ただ褒められるだけの中、授業でヒロインと二重奏をすることになり、そこでヒロインから自分のバイオリンについて、的確な指摘をされてヒロインが気になり始めるっていうストーリーよ。
 
 
 ピアノ科の後輩、ロベルト·ルイ。自分の演奏が1番だと思っていた中、ヒロインの演奏を聴いてヒロインにライバル意識を持ち始め、それが恋心に変わるっていうストーリーだったわ。
 
 
 隠しキャラがいたらしいけど、分からないわ。隠しキャラの条件は、音ゲーの曲すべてパーフェクトにする。だったことだけは、覚えてるけど。私、音ゲー苦手だからクリアできなかったのよね。
 
 
  後、あんたみたいに、ピアノオタクじゃないからどの曲が使われてたかは覚えてないわ。私がクラッシック音楽で分かるのってエリー○のためにぐらいだし」
 
 
 
 
 ほうほうほう
 
「全体的な感想言ってもいい?」
「うん?」
「あんまりこの乙女ゲーム面白くなさそう」
「多分、ゲームの制作者もストーリーを読んでないあんただけには言われたくないと思ってると思うわ」
 
 あっやっぱり?
 
 
「えへへへ」
 
 とりあえず、照れてみる。
 
 無言で睨まれた。
 
 あともう一つ気になったのが……。
 
 
「私義理の弟なんていないんだが」
「確か、公式ブックで悪役令嬢が9歳の春頃にソルが来たって書いてた気がするから、今から来るんじゃないかしら?」
「まじか」
 
 全く知らなかったことばかりだなあ。無知って怖いね。うんうん。
 
 
「でも確か義理の弟のバットエンドだけ悪役令嬢が殺されるから気をつけなさいよ」
「え、悪役令嬢のバットエンドって音楽会から追放されるだけじゃなかったの?」
「あんた、それ絶対パッケージの裏に書いてあったあらすじの文章でしょ? まぁ、私がいざとなったら守ってあげるわ」
 
 
 紗綾……私あなたのちょっとツンデレなところ好きだよ。
 
 
 キラキラとした眼差しで紗綾を見つめたら、睨み返された。これが本物のツンデレか。なるほど。
 
 
 
 まぁ、そんなことはどうでもいいので、私は気持ちを切り替えて今後どうするか考える。
 
 
「とりあえず、義理の弟は、いじめなければいいかな、死にたくないし。死んだらピアノ弾けないし」
「本当にあんたってピアノに一途よね。あんたの幼馴染が可愛そうだったわ見向きも……で」
「なんか言った?」
「いや何も」
 
 
 紗綾はやれやれと両手を振りながら、ため息をつく。
 
 失礼だなあ。
 
 
「じゃあ、そろそろ暗くなってきたし私帰るわ。なんかあったら私の屋敷に来てちょうだい」
「ありがとう紗綾ところでさ」
「うん?」
「紗綾の名前何だったけ?」
 
 
 その後、レガート嬢にボコボコに殴られたのは言うまでもない。
 
 
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