神の業(わざ)を背負うもの〜記録保管庫(ヴェイクラウ)〜

ノイカ・G

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この世界における【魔法(ラーズィー)】について ③

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※魔法使い登録者及び魔法使い予備群該当者に対する研修資料より抜粋

 【この世界における【魔法(ラーズィー)】について ①】の中で「自分自身と向き合い己を理解することで初めて魔法は使えるようになる」と説明したが、実際にどうすれば魔法の力に目覚めるのか、そのメカニズムは研究機関アルヘスクでも研究が続けられている段階。つまり、原理の全てが解明できているわけではない。
 
 古の魔法使いたちからはこのように言い伝えられている。

「己の魔力の根源を目指せ。求める力は常にそこにある。道程には扉が立ち塞がっているが、その鍵は己の中にのみ存在する」

 魔法使いたちはこの伝承を元に体内を巡る魔力の根源、魂の中にある魔力の発生地点を探る。そして、多くの人がその先にある壁のようなものを感じ取ることになる。それを越えることでようやく自分だけの魔法の力を身につけることができる。

 研究機関アルヘスクが魔法の力を手に入れた者たちに聴取してわかったのは、単純に強い欲求を抱いているのではなく、自分が本当に求めているものをはっきりと理解している人しか魔法の力に目覚めてはいないということだけ。現在の魔法使い登録者用教材に上述のような文言で書かれているのはそのためである。


 力を手に入れた魔法使いたちはこう語る。

「特別な何かしたという感じではない。新しく覚えたというより、忘れていたことを思い出したという感覚の方が近い」

 タイミングは皆バラバラである。危機的状況に陥ったときという者もいれば、訓練中という者もいる。日常生活の中という者もいた。共通しているのは、何らかの理由で魔力を使おうとした時だということ。自分の意思で魔力を魂から引き出そうと意識した瞬間、頭の中にパッと浮かび上がったというのである。
 
 彼らの証言から研究機関アルヘスクの中では「使えるようになる魔法は生まれつき決まっているのではないだろうか?」という仮説や「遺伝的要素が存在するのではないか」という仮説が出ている。

 前者に関しては、研究者たちは「YES」「NO」の回答を控えている。その理由を研究機関アルヘスクはこう述べている。

「これを肯定することは《運命》というものを肯定することにもなり、魔法使いとしての、人としての可能性を狭めてしまうことになる。そのため、明確な証拠がない限り回答はできない」


 対して、後者の仮説に対する回答は「NO」という意見が多い。

 家族で同種の魔法に目覚めるケースは特に古くからの魔法使いの家系では多い。それを誇りにしている一族も多く、現調査機関ヴェストガインレディールのルイス・ブランドの一族は家紋に両刃の剣をあしらっていることや、代々法執行機関キュージストに勤めている岩端家の家紋が人の手の形なのは有名である。

 しかしながら、そうではない家系も多く存在するため研究機関アルヘスクの中では《遺伝的要素》ではなく、例えば《炎の魔法を使う親の姿を見て育ったことで強い力に炎のイメージを持つ》といったような《人生経験》が強く影響している可能性の方が強いのではないかと考えられている。
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