支配するなにか

結城時朗

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第二章

テレビの速報

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ーーーーー麻衣のマンションーーーーー
麻衣の部屋を訪ね、インターホンを鳴らす〇〇
出てこないので、管理人を訪ねに行く。

〇〇「すみません!(警察手帳を出し)私ねこういうものなんですが、506号室に住んでる方がね出てこなくて、開けてもらっても良いですか?  もしかしたら緊急かもしれないので」
管理人「えっ?それは大変ですね!  で、どこの警察署?」
〇〇「湾岸署です」
管理人「礼状がないと勝手に開けられないんですよ!」
〇〇「それは、分かっています。  でもね、もし死んでいたらどうしますか?」
管理人「そんなこと言われてもね」
〇〇「じゃあ、私の責任にして構いません。鍵だけ貸してください!」
管理人「無理ですよ!」

難しい顔をしながら部屋から出てくる管理人

管理人「着いていきますが、もし中に人がいたら、責任はアナタに取ってもらいますからね」
〇〇「分かってます」

麻衣の部屋の前まで来る2人
管理人がマスターキーで鍵を開ける。
管理人「失礼しますね!白井さん!」
〇〇「警察です!  入りますよ!」

電気が点いていないだけで、以前訪ねてきた時と変わらない玄関。

管理人「私は、前にいるんで、終わったら声掛けてください!」
〇〇「えぇ。わかりました」

電気を点ける〇〇。
ゆっくりと歩んでいく。

〇〇「麻衣さん?  いますか?」

応答は無い。
他のところに指紋が付かないよう白い手袋をはめる
リビングまで進んでいくと、綺麗に片付けられたままで以前と何も変わっていない様子。
何もないと思った〇〇は、全ての部屋を確認していく。
もう一度リビングに戻り、確認する。
来た時には何も思わなかった、少し開いたカーテンに目が行く。
ベランダを確認すべく、鍵を開け、扉を開ける。
5階というのもあり、眺めはあまり良くない。
気のせいかと思った〇〇は、リビングに戻ろうとする。
ふと、ベランダに置かれた黒いゴミ袋が目に入る
気になり、中を確かめる〇〇
中には、黒いウィンドブレーカーと、血がついているタオルが出てくる
底には、赤黒くになった血が付着した、カッターナイフとペティナイフが出てくる
〇〇は、すぐに携帯を取り出し、捜査本部に連絡する。
数分後には、マンションの周りに多くのパトカーが止まっており、規制線の向こう側には多くのテレビカメラが撮影や中継をしていた。

ーーーーー民放テレビ・昼ーーーーー

俳優の司会者が速報を読み上げる。
司会者「ええーー?  アイドルグループの麻衣さんが行方不明?」

インサート映像が入り、男性アナウンサーが原稿を読み上げる
男性アナ「速報です。 今日の昼過ぎ、所属事務所が発表しました。  所属事務所によると、弊社所属のアイドルグループに在籍している、麻衣が昨日の夜から連絡が取れず、昼過ぎになっても連絡が取れない事から、警察に行方不明届けを提出しました」
司会者「一体何が起こってるんですかね?  番組中に続報が入り次第、続報をね、届けたいと思います」

速報から5分後、続報原稿が男性アナに届けられる
フロアディレクターが《麻衣、行方不明、続報》と大きな文字で書かれたカンペを出す。

司会者「コーナの途中ですが、先程の続報が入った模様です!」
男性アナ「続報です。  先程連絡が取れず行方不明となっている人気アイドルグループの麻衣さんの部屋から、先日殺害された、男性マネージャーの村尾さんのものと見られる血痕が付いたカッターナイフと、昨日、遺体となって発見された同じグループに所属していた、堀さんと思われる血が付いたタオルが、麻衣さんの部屋のベランダに置いてあったゴミ袋の中から発見しました。  警察では、見つかった凶器などのDNA鑑定を進めると共に、事件性があるとみて、事情を知っている可能性がある麻衣さんの行方を追う方針です」
司会者「全く分からないですね。この事件。  えー現場と中継が繋がっています。現場の権堂リポーター?  現場の様子はどうですか?」

スタジオのモニターに映し出される権堂リポーター。

権堂「はい。こちら現場の権堂です。  先程、行方不明という情報が入り、別の取材先から急いで駆けつけた次第なんですが、到着した際には、辺りはかなり物々しい騒ぎとなっていました。  まずはこちらをご覧下さい」

インサート映像が流れる。

権堂「こちらの映像は、私たちが到着してすぐの映像ですが、奥から2台のパトカーがやってきた後、鑑識を乗せたと思われる車両が到着するところです。何人もの警察官が辺りを捜査している様子も伺えます」

現場の映像に戻る。

権堂「私は今、ベランダが見える所に来ているのですが、あちらが麻衣さんの自宅だと思われます。鑑識の方が捜査していると思われます。現場からは以上です」

スタジオに戻る。

司会者「麻衣さんの安否が気になるところです。  一旦、コマーシャル」

番組のジングルが流れ、CMへ。

ーーーーードラマ撮影現場・昼ーーーーー

控え室で台本を読み込んでいる西野。
ノックをして入ってくるマネージャーの高瀬。
高瀬「失礼します。西野さんちょっと」
西野「集中したいんで、短めにお願いします」

耳打ちしようとする高瀬に

西野「誰もおらんねんから、普通に話したらええやん!」
高瀬「いつ、他のスタッフさんが来るか分からないので」
西野「ええけど」

耳打ちをする高瀬。
目を見開き驚く西野
西野「行方不明?  麻衣が?  なんで?」
高瀬「ちょっと!西野さん!」
西野「ごめん!  で、なんでなん?」
高瀬「なんか、麻衣さんの部屋から、ゴミ袋に入った凶器や、堀さんの血が付いたタオルが見つかったりしたそうです」
西野「はっ?  どうゆうこと?」
高瀬「ニュースは、事情を知ってる者って報道していますが、本当は重要参考人として行方を追ってるそうです」
西野「何?  じゃあ麻衣が犯人ってこと?」
高瀬「分かりません。  けど、重要参考人にということは、もしかしたらかも知れません」
西野「もしかしたらとかで話さんといて!」

しばらく黙りこむ西野。
深くため息をついて話始める。

西野「万が一その可能性があったとしても、ウチは麻衣を信じる」
高瀬「それは良いんですけど、個人的な連絡は控えてください!」
西野「せぇへんよ!  どうせトラブル防止とかやろ?」
高瀬「すみませんがよろしくお願いします」

楽屋をでる高瀬

西野M「麻衣がそんなことするはずないやん!」

西野を呼びに来るドラマスタッフ

スタッフ「失礼します!  西野さんお願いします!」
西野「はい!」

鞄の中にしまってあった携帯が鳴る
画面には公衆電話の文字
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