猫舌ということ。

結愛

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再会

第92話

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10分ほど歩き駅に着く。駅周辺を見渡すが鹿島の姿は見当たらない。
僕はスマホを取り出し、電源を点ける。鹿島からのLIMEの通知。

「楽しみ~♫楽しみ~♫」

その通知をタップし、鹿島とのトーク画面へ飛び、返信を打ち込む。

「今どの辺?」

そう送り、その画面のまま電源を消さずに返信を待つ。
するとすぐに既読がつき、返信が来る。

「あぁ、次かな?」

との返信を見て
「もう着くって」
と匠に言う。僕は鹿島に

「あいよー」

と送り、トーク一覧に戻り、電源を切ってポケットにしまう。
しばらく匠と話していると改札から人が出てきた。
お、着いたんじゃ?と思って改札から出てくる人たちを見ていると
案の定その中に鹿島の姿があった。
鹿島も僕と匠、というか派手な匠を見つけたのか、笑顔でこちらに歩いてくる。
「おいー!」
鹿島がワイヤレスイヤホンを外し、ジーンズのポケットにしまっていた
ワイヤレスイヤホンケースを取り出し、そこへしまう。そしてまたポケットに帰っていく。
「いやぁ~匠ちゃん派手ですぐわかったわ」
やはり匠が目印となっていた。そのまま3人で駅近くコンビニへ立ち寄った。
「なんかほしーのある?」
「あ、鹿島。飲み物は各種取り揃えてあるから安心しろ」
「マジ?各種取り揃えてあんの?」
「いや、ないやつはないから」
「あぁ、あるやつはあるけど、ないやつはないからな?ね」
「百舌鳥の太鼓さんね」
バカバカしい会話で3人で笑う。
結局コンビニではホットスナックが置いてあるケースに置いてあった
「からあげ様」のレギュラー、チーズ、レッドを買った。
「匠さん!ごちになります!」
「ごちになります!」
鹿島と僕で空手の押忍のポーズで匠にお礼を言う。
僕は匠の家にバッグを置いてきて財布を忘れて、僕のを奢るんなら
ついでにまとめて買うわ。ということで匠が奢ってくれたのだ。
「早速いただいていいっすか?」
「え、今食べんの?」
「匂い嗅いだら食べたくなっちゃって」
「ん」
匠がビニール袋を広げる。
「じゃっあぁ~…これ」
鹿島はからあげ様レッドを手に取り
親切設計の爪楊枝入れに入った、これまたご丁寧にビニールで包まれた爪楊枝を
ビニールから突き出すように破り、爪楊枝を手にする。パカッっと蓋を開け
からあげ様レッドを1つ爪楊枝で刺し、蓋を閉めて、匠のビニール袋へ戻す。
「いやぁ~わかる?この懐かしい感じ」
妙にテンションの高い鹿島。
「なに?わからん。なに?」
とテンションの高い鹿島に半笑いで尋ねる。
「いやさ、よく学校帰りに買って、食べながら帰らなかった?」
僕と匠で顔を見合わせる。
「あったっけ?」
「まぁ無くはないんじゃない?」
「え、鹿島はよくあったの?」
「割とあったよ?あれはそーだなぁ~。
友達とケンカして勝手に家に帰ったときの帰り道だったなぁ~」
「いや、なにしとんねん」
「いやさ、もうその場にいたくなくてね。
後からその友達から謝罪のLIME来たけど。あと後で先生に怒られたね」
「そりゃそうだろ」
「あとはあれだなぁ~。放課後好きな子に告白して
フラれて意気消沈しながら帰った帰り道」
「んー。悲しい。ってか今んところ1人やん」
「たまたまよ。玉玉!」
「おい、下ネタやめろ」
鹿島がガニ股に足を広げて、自分の玉を指差す姿に匠が笑った。
「くだらねぇー。玉玉…玉玉…」
「イェーイ!匠ちゃんのツボにストラーイク!」
「匠あれだから、下ネタ大好き魔人だから」
「男なんてみんなそうでしょ。怜ちゃんだって好きでしょ?」
「まぁ嫌いではないよ?」
「百舌鳥さんの番組見て大笑いしてたくせにぃ~」
「うるせぇな」
「むーっつり!はいっ!むーっつり!はいっ!」
「「むーっつり!はいっ!むーっつり!はいっ!」」
最初は鹿島1人だったのが、匠も加わった。
「イジメだと思いまーす!」
「スキンシップでーす!」
「うわ!それマジでイジメしてるやつが言うセリフやん!鹿島お前さては前科持ちだな?」
「バカだなぁ~このお優しい僕ちゃんがイジメなんてするわけねぇやん」
「まぁそれは置いといて」
「置いとかないで?」
「でもコーミヤ(黄葉ノ宮高校の略称)ってイジメなかったん?
なんか偏見だけどありそうなイメージだけど」
「ん~…。オレが知る限りではないな。割とみんな仲良かったよ?
もちろんまぁオレは嫌いだったけどカースト?ってのはあって
陽キャ、陰キャは分かれてたけどね。
でも陰キャだからってハブってたり、イジメたりはなくて。あぁ!あれかも!
うちバカばっかりだったから青春を楽しむのに全力注いでたから
イジメする暇とか、そんな考え自体、はなから無かったのかも」
めちゃくちゃ良いことをいう鹿島に僕も匠もなんて言っていいかわからず黙り込む。
「え、なになに?この静けさ」
「鹿島お前…良いやつだな」
「最高だな」
僕は右手を鹿島の左肩、匠は左手を鹿島の右肩に置き、しみじみ言う。
「えっなになに?褒めてもレベル上げくらいしか付き合わんよ?」
「褒めたらなんか出るタイプかよ」
「あぁ、でも今のマンガの参考になるかも」
「お!マジ!?そのキャラの名前オレの名前にしてね?」
「身内そのまま出すマンガってそれエッセイだろ」
「たしかに」
3人で笑う。そんなくだらない会話をしながら歩き、角を曲がった道の先に匠の豪邸が見えた。
ここで教えたらどんな反応するかな?とイタズラを思いついたように心の中でニヤニヤし
「鹿島鹿島」
と鹿島に声をかける。
「ん?」
「あれあれ。あれが匠ん家」
まだ遠いがここからでも見える匠邸を指指す。鹿島が僕の指指す方向に視線を向ける。
「は?」
おもしろかったがグッっと堪え
「あれあれ。あそこ」
と指を激しく指す。
「は?…は?え?いやいや…え?」
笑いが堪えきれない。だがまだ我慢する。
戸惑う鹿島を連れ、匠の家の敷地を囲う塀がすぐそこに近づく。
「ここここ。ここが匠の家」
と塀をパンパン叩く。コンクリートの塀の冷たさが手に伝わる。
「は?え?会社じゃん」
「違うんですなぁ~これが」
長い塀の先に恐らく車用の大きな門が現れ
その隣の人が出入りする用の両開きの扉の鍵を開ける匠。
「え、マジで匠ちゃん家なの?」
「どうぞ」
匠が鹿島を招き入れる。
へにゃへにゃした歩き方の鹿島が匠の家の敷地内に足を踏み入れる。
「え、ここ全部匠ちゃん家の敷地なの?」
「うん。そうだね。裏に庭もあるよ」
「…プールもあったり?」
「プールはないね」
「あぁ、そういえば匠ん家ってプールないね」
「手入れがめんどくさいだけだって父が言ってた」
「夏しか使わんもんね」
「そうそう。それに父も母も仕事が忙しくて、入る暇もないしね。
オレしか使わんし。まぁあっても…オレも使わんかな」
「はぁ~…桁違いの金持ちって感じ…」
魂の抜けたような鹿島にさすがに笑いが漏れた。
飛び石のように置かれたタイルの道を進み、匠が玄関の扉の鍵を開ける。
「どぞ~」
匠が扉を開けてくれて、鹿島が最初に入る。
「玄関でっか!」
どうやらどこかに行っていた鹿島の魂は戻ってきたようだ。
「ね。何回か来てるけどオレもまだ慣れん」
扉を開けていてくれている匠に
「さんきゅ」と言い、鹿島に続いて2番目に入る。
「お邪魔しまーす」
という鹿島。
「ただいまぁ~」
とふざけてみる。靴を脱ぎ、鹿島の靴も一緒に向きを整え、廊下を進む。
匠が左側の洗面所で手を洗う。僕も手洗いうがいをしようと待っていると
「あ、2人は奥の、あのぉ~お風呂場の洗面所使って。怜夢わかるよね?」
と匠が言う。
「あぁ、お風呂場ね。オッケーオッケー」
鹿島を連れて、お風呂場へ向かう。まずリビングに入る。
「天井たっか!」
リビングの天井の高さに驚く鹿島。
「テレビでっか!リビングひっろ!」
「こっちね」
驚く鹿島を連れて、お風呂場へ行く。
「はぁ!?洗面台2つ?わ、いや、お風呂でかー!ガラス張りエッロ」
「エロ…まあたしかに」
驚く鹿島と2人で横並びで手洗いうがいを済ませ、リビングへ戻る。
「テキトーに座ってぇ~」
匠がキッチンへ向かう。僕は先輩面してソファーに座る。鹿島も僕の右隣に恐る恐る座る。
「ソファーやわらけぇ~」
僕はそうは思わなかったが鹿島には刺さったらしい。
「てか、ソファーでかっ!何人がけ?」
「ヤバいよな!ベッド並」
「ベッドよりデカいんじゃない?」
「京弥ー。飲む物なにがいー?」
出た難しい質問。
「あ、なんでも…いいっす」
豪邸に気圧されたのか、少し敬語になる鹿島。
「ちなみに今あるのがオレンジジュース、リンゴジュース、ブドウジュース
ソラオーラ、四ツ葉サイダー、Santa(サンタ)グレープ、Santa(サンタ)オレンジ
ココティー(心の紅茶の略称)ストレート、レモン、ロイヤルミルクティー。あと牛乳と水」
怒涛のメニュー読みがまた聞けた。
「え?え?え?ありすぎじゃ?」
「だから各種取り揃えてるって言ったろ?」
「はぁ~…。マジスゲェわ」
「あ、ハレルヤ。テレビ点けて」
思い出したようにスマートスピーカーに話しかける匠。
匠の言葉が終わった瞬間、目の前の大きなテレビが点いた。
「マジデカいなこのテレビ。何型なんだろ」
「たしかに。家もデカいからわかんなくなるよな」
「たしかね、父が100型って言ってた」
中学のときから来ているがテレビのサイズを聞いたのは恐らく初めてで
100という子どもが言いそうなバカな思い付きで言いそうな数学で僕も面食らう。
「100!?」
「父が100型置けるリビングにしたかったらしくて」
「はぁ~」
「ほえぇ~」
「で?飲み物なのがいい?」
今一度そう聞く匠に
「ちょ、見ていい?」
と鹿島がソファーから立ち上がり、キッチンへ行く。
僕も鹿島の後をゆっくりと追い、キッチンへ行く。匠が開く冷蔵庫の中を見る。
ドリンクホルダーには飲み物がびっちり入っており
「あ、瓶系はこっちね」
と匠が上から2番下の引き出しを開ける。そこには鹿島を駅に迎えに行く前に飲んだ
それぞれの名産地から取り寄せたジュースが入っていた。
その他には欠片の野菜たちしか入っていなかった。
鹿島がオレンジジュースの瓶を手に取る。
「お!これ愛媛のやつじゃん!めっちゃうまいよな!」
「え、鹿島知ってんの?」
ビックリした。
「おん!父さんが愛媛の人でさ
実家から年1でこのジュースとみかんどっさり送られてくんの」
「冬ならいいのにな」
「それな」
3人で笑う。
「みんなオレンジジュースでいいの?」
「鹿島が飲みたいやつで」
「オレもなんでもいいから」
「コップは?これ?」
「おん。あと」
と匠が高級そうな食器が並ぶ食器棚のスライドガラスを開け
キッチンに並んだ2つのグラスと同じグラスをもう1つ取り出し、2つのグラスの横に置く。
「これね。あ、氷入れたかったらここね」
と冷蔵庫の氷の入っているところをトントン叩く。
鹿島が瓶の注ぎ口を塞いでいるコルクを取り、3つのグラスに注いでいく。
瓶特有のトポントポントポンという液体を注ぐリズミカルな音が鳴り響く。
鹿島が瓶にコルクを戻す。キギュー。なぜかみんなその場で1口飲んだ。
「っはっー!やっぱうっま!」
「これヤバいな」
「京弥毎年これ送ってくれるんだ?贅沢だな」
「誰が言ってんねーん」
どうやらいつもの鹿島に戻ったようだ。また3人で笑った。
そしてソファーに移動し、3人でソファーに腰を下ろす。
「いやぁ~なに?このテレビで毎日ゲームしてんの?」
匠に聞く鹿島。
「いや、オレ毎日ゲームはしないし」
「でもゲームするときはここ?」
「あぁ~…たまぁ~に?」
「大概は部屋?」
「そうね」
匠の「そうね」に被せるように食い気味で
「てか匠ちゃんの部屋みたいんですけど」
と言う。その言い方につい
「なんその言い方。ギャルかよ」
と笑いながら言う。
「みぃ~たぁ~いぃ~」
「キモいキモい」
「別にいいけど?そんなおもしろくないよ?」
「匠にとってはおもしろくなくても、オレら庶民にとってはカルチャーショックだから」
「「ねぇー?」」
鹿島と声を合わせる。
「ま、オレは何回か来てるから匠の部屋はある程度知ってるけどね」
「知っとんのかーい」
「怜夢が来てから多少は変わったかも?こっちこっち」
とオレンジジュースを飲み終えたグラスをガラス製のローテーブルに置いたまま
キッチン横の階段から2階に上がる。少し上がり、曲がってまた階段を上がる。
すると左手には長い廊下、そして右手には広場があった。
「あ、やべ」
と1階を見てそう言った匠が
「ハレルヤ、テレビを消して」
そうスマートスピーカーに言い、1階のリビングのテレビを消した。
「こっちこっち」
と匠は左手の長い廊下に進む。恐らく部屋であろう扉が1つ2つ、3つ4つ5つと過ぎていく。
「部屋数どうなってん?匠ちゃんて5人兄弟くらい?」
「いや、お兄ちゃんが1人いるだけ」
「それでこの部屋数?設計ミス!?」
笑った。
「ここはトイレね」
長い廊下の通り過ぎてきた扉の5つ目の扉を掌でトントン叩きながら言う。
「でここがちょっとした広場であの階段から3階に行ける」
「3階もあんの!?」
「1、2階に比べたらちっさいけどね」
そう言いながら角を曲がる匠。
「匠の小さいを信じたらアカン」
「せやな」
なぜか関西弁で鹿島とコソコソ話す。
「ここがお兄ちゃんの部屋で」
扉を掌ででトントン叩きながら言う。
「でここがオレの部屋」
と言いながら扉を開く匠。ひさしぶりに匠の部屋に入る僕はなぜかワクワクしていた。
僕の部屋の2倍以上ありそうな広い部屋に大きめのテレビ。
ローテーブルにソファーにベッド。クローゼット。
お店のように綺麗に飾られたアクセサリーたち。一言で言えばオシャレな部屋だった。
「ひっろ!」
鹿島が驚く。広いのは昔来ていたから知っていたが、僕の思った匠の部屋とは違っていた。
「え、マンガ1冊もないじゃん」
そう。1万冊もあると聞いていたので
部屋の壁全面にマンガが並んでいる部屋だと思っていた。
しかし1万冊どころか100冊、10冊、1冊すらない。
「あぁ、マンガはね、多すぎるからマンガ専用の場所に置いてある」
「マンガ専用の場所!?」
つくづく匠のお金持ちさには驚かされる。
「このピアスかっけぇ~」
鹿島は気にせず匠の部屋を見て回っていた。
僕もその鹿島の言葉に引っ張られるようにお店のように
ガラスケースに飾られたアクセサリーを眺める。
「あ、これ可愛いな」
棒状のインダストリアルというピアスの
丸いキャッチと呼ばれる部分が木の枝になっており
その木の枝の上にフクロウがとまっているデザインのものを指指す。
「あぁ、これね。可愛いよね。オレも気に入ってる」
「フクロウといえば怜ちゃんだもんね?」
「なんだそのイメージ」
「これ怜夢にあげよっか?」
「オレこのピアス開いてないから」
「開けりゃいいやん」
「開けんよ。なんか怖い」
「怖くないよ?痛くもないし」
「嘘だぁー!こんなん痛いやろ!」
「いや、軟骨のほうが痛いし、安定するの遅い」
「インダストリアルも軟骨だろ」
「あぁ、まぁよく考えればそうか」
3人で笑った。そんな感じでアクセサリーを眺めたり
匠の持ってるゲームで鹿島がゲーム談義を始めたり
服屋開けるほどの多い服が入ってるクローゼットを開けて
Yシャツなどを羽織ってみたりした。
「な?全然おもしろくなかったろ?」
部屋着に着替えた匠が部屋を出る。その後に続いて僕と鹿島も部屋を出る。
「いやぁ~広くてビックリ。アクセサリーの多さにビックリ。
服の多さにビックリ。ゲームの少なさにビックリだったよ」
「ゲームに関しては鹿島が持ち過ぎなだけ」
「えぇ~マジで?」
「オレもあんくらいだよ」
「マジでか!?」
お兄さんの部屋を通り過ぎ、3階に上がる階段のある広場へ匠が行く。
「え、ここにもテレビあんの?」
「あ、さっき見えなかった?」
「マジ?ここもリビング的なこと?」
「リビングというより寛げる場所?」
「いやいや、部屋で充分寛げるでしょ。部屋もめっちゃ広いんだから」
「まぁね。でもたまに家でパーティーするときとかはここでも寛げますよ~的なね?」
テレビの前に広げられたラグの上に座る匠。僕と鹿島も座る。
「あぁ~なんかいいな。ここ」
「あ、わかる。うちみたいよな。まぁこんな綺麗じゃないけど
この広さがうちのリビングみたいで落ち着く」
「電気こんな色にも出来るよ」
とテレビ台の上に置いてあったテレビのリモコンの隣の小さなリモコンを手に取り
ピッっとボタンを押す。すると頭上の照明が夕焼け色に変わる。
「あ!これうちもできる!」
「オレん家もできるわ!」
「うわぁ~なおさら落ち着く」
「泊まるときここで寝る?」
「ありだな」
なんとなくほっこりのんびりする。
「3階行く?なんもないけど」
「「行く行く!」」
鹿島とハモる。階段を上る。すると卓球台があったり、遊び道具がたくさんあった。
「は?え?卓球台?」
「あぁ?なにここ。オレも知らん」
「だって怜夢卓球興味ないだろ?」
「まぁないけど…。匠だってないだろ」
「ないね」
「ならなんであんの?」
「オレがちっさい頃父や母、お兄ちゃんと遊んだのよ。その名残りだな。だからほら」
と端に置いてあった小さなな車に近寄る。
「こんなのを見ると遊び場だったんだなって思うだろ?」
子どもが乗るおもちゃの高級車を見て
「あぁ、これ欲しがった記憶あるかも」
と鹿島が言う。
「こんな高級車じゃないけど、もっとふつーのやつ。
でもたぶん乗るところないからだろうね。
ミニカーよりは大きい車のおもちゃ買ってもらったわ」
「あぁ!ホン・キオーテに売ってるようなこんくらいのやつ?」
「そうそう!」
懐かしトークで盛り上がる。
「んで、ここから屋上に出れる」
学校の屋上に出るための扉のような、すりガラスが大きくはめられた扉を開く。
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