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第八章
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街と城を外敵から守る防壁を馬車で抜けるラディッシュ達――
勇者組にはヤケに懐かしく想える町であり、天世の三人にとっては新鮮な初体験となる、中世の城下町。
リンドウは御者台で手綱を引き続けるラディッシュの迷惑も顧みず、彼の肩に両手を乗せて身を乗り出し、目に飛び込む街並みに、
「へぇ~♪」
喧騒に、
「へぇえぇ~♪♪」
行き交う人々に、
「へぇえぇぇえぇ~♪♪♪」
右を見て、左を見て、上を見て、下を見て、興味津々。
共に身を乗り出すゴゼンも、
「うひょ~~~♪」
都会的にオシャレに着飾った女性たちに興味を引かれ、ヒレンは抑え切れぬ内なる興奮を、
「大人げなくはしゃいで見苦しいわねぇ」
斜に構えて偽りながら身を乗り出し、
(ここに「例の店」があるのねぇ♪)
同人誌専門店に期待を膨らませ、そんな三人組のラディッシュに対する迷惑行為を見かねた御者台のドロプウォートとニプルウォートは苦言を呈そうとしたが、
((!))
当事者(ラディッシュ)は「大丈夫だよ」とでも言いたげな笑みを二人に見せ、
「「…………」」
仕方なく矛を収めた。
しかし、荷台のパストリスやカドウィード達からも、物言いたげな気配を背で感じた彼は、
(少し空気がヒリヒリして来てるかなぁ?)
雑談で空気を入れ替えようと、肩に乗るリンドウを手綱は引きながらチラ見、
「そう言えば「髪と目の色」を変えたんだね、リンドウさん♪」
天世人特有の薄紫から、中世で一般的に目にする色に変えた彼女に笑みを見せると、少し照れを感じる指摘であったのか、
「あ、アーシだってぇそこまで馬鹿じゃないしぃ~」
あえての「不服そうな顔」を見せながら、
「王都で村と同じのやったらぁ、とんでもない騒ぎになるしぃ~♪」
少しの自慢と、誤魔化しのからかいを以て、彼の首元に抱き付いた。
これにはドロプウォートとニプルウォートは黙って居れず、即座に不満を露に、
『ちょっとリンドウぉ! ラディの邪魔ですわぁ!』
『アンタ達ぁ子供かぁい!』
荷台のパストリスやチィックウィード達も騒ぎ立てたが、勇者女子組の反応はリンドウにとって、むしろ「優越」を感じさせるモノであったらしく、
「ふぅ~んしぃ~♪」
どこ吹く風で無視。
「「「「「ッ!」」」」」
苛立ちを覚える女子五人を尻目に、
『それにしてもラディってばぁ♪』
満面の笑顔で、彼の肩をバシバシ軽く叩きながら、入門時に警備兵や一般の人々から受けた歓待や、沿道から熱い眼差しを送る人々の姿に、
「ホントぉ有名人なぁんしぃー♪」
興奮冷めやらぬ彼女に、勇者女子組からの冷たいジト目に、
「あはは……ま、まぁねぇ……」
笑ってお茶を濁すしかないラディッシュは、
(こぉ、こんな状態で王様に会って大丈夫なのかな……)
一抹の不安を抱かずには居られなかった。
勇者組にはヤケに懐かしく想える町であり、天世の三人にとっては新鮮な初体験となる、中世の城下町。
リンドウは御者台で手綱を引き続けるラディッシュの迷惑も顧みず、彼の肩に両手を乗せて身を乗り出し、目に飛び込む街並みに、
「へぇ~♪」
喧騒に、
「へぇえぇ~♪♪」
行き交う人々に、
「へぇえぇぇえぇ~♪♪♪」
右を見て、左を見て、上を見て、下を見て、興味津々。
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「「…………」」
仕方なく矛を収めた。
しかし、荷台のパストリスやカドウィード達からも、物言いたげな気配を背で感じた彼は、
(少し空気がヒリヒリして来てるかなぁ?)
雑談で空気を入れ替えようと、肩に乗るリンドウを手綱は引きながらチラ見、
「そう言えば「髪と目の色」を変えたんだね、リンドウさん♪」
天世人特有の薄紫から、中世で一般的に目にする色に変えた彼女に笑みを見せると、少し照れを感じる指摘であったのか、
「あ、アーシだってぇそこまで馬鹿じゃないしぃ~」
あえての「不服そうな顔」を見せながら、
「王都で村と同じのやったらぁ、とんでもない騒ぎになるしぃ~♪」
少しの自慢と、誤魔化しのからかいを以て、彼の首元に抱き付いた。
これにはドロプウォートとニプルウォートは黙って居れず、即座に不満を露に、
『ちょっとリンドウぉ! ラディの邪魔ですわぁ!』
『アンタ達ぁ子供かぁい!』
荷台のパストリスやチィックウィード達も騒ぎ立てたが、勇者女子組の反応はリンドウにとって、むしろ「優越」を感じさせるモノであったらしく、
「ふぅ~んしぃ~♪」
どこ吹く風で無視。
「「「「「ッ!」」」」」
苛立ちを覚える女子五人を尻目に、
『それにしてもラディってばぁ♪』
満面の笑顔で、彼の肩をバシバシ軽く叩きながら、入門時に警備兵や一般の人々から受けた歓待や、沿道から熱い眼差しを送る人々の姿に、
「ホントぉ有名人なぁんしぃー♪」
興奮冷めやらぬ彼女に、勇者女子組からの冷たいジト目に、
「あはは……ま、まぁねぇ……」
笑ってお茶を濁すしかないラディッシュは、
(こぉ、こんな状態で王様に会って大丈夫なのかな……)
一抹の不安を抱かずには居られなかった。
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