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第八章
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馬車で街道を進むラディッシュ達――
エルブ国の王都エルブレスを目指し進む中、街道の賑わいが次第に増して来て、
「!」
進行方向の「何か」に目を留める、御者台のラディッシュ。
進む先に注意は払ったまま、荷台の誰に言うでもなく、
「町の防壁が見えて来たよ♪」
すると、
『やぁっとぉ着くしぃ~♪』
『シャレオツな女子に期待大だよねぇ~♪』
『ウザぁ。アンタってばホントそればっかぁ』
リンドウ、ゴゼン、ヒレン、天世の三人が荷台から真っ先に顔をのぞかせ、未だ距離を感じる防壁をながめながら、
「でぇも、意外と快適な旅だったしぃ~♪」
「おぅ、それなぁ♪ しかも「用足し」って初体験も出来てぇ~まさか自分の体から、」
「無神経ぇ!」
笑うゴゼンにヒレンが拳で、脇腹に即のツッコミを入れた。
彼の話から自身の姿も思い出し、羞恥の赤面顔で。
下ネタ話に勇者組が苦笑する中、半泣きで脇腹を擦る彼の姿にリンドウは笑いながらの「何の気なし」に、
「ラミウムの時もぉ、こぉんなぁ感じだったのしぃ?」
軽い気持ちの問い掛けであったが、
((((!))))
ギクリとした動きを一瞬見せるラディッシュ、ドロプウォート、パストリスとターナップ。
不意に、傷口を触られたが如くに。
彼女と面識の無い後発組のニプルウォート達も、彼女と四人の間で何があったか話では聞かされていた為、ラディッシュの心中を思い、
「「「…………」」」
表情を曇らせ、微妙な空気に変わった「沈黙の意味」が分からない天世組の三人は、
「「「???」」」
すると業者台で手綱を引くラディッシュが唐突に、
「い、いやぁ~あの時はラミィにぃ、本当に負担を掛けちゃったよぉ~♪」
「「「?!」」」
「馬車も、浄化のチカラも無かったからさぁ~♪ 「空腹と汚染との戦い」みたいになっちゃってさぁ~♪ ホントぉ、ラミィには申し訳ない事をしちゃったよぉ~♪」
今だから「笑える話」として語ったが、その笑顔の横顔には微妙な引きつりがあり、声には上擦りが感じられ、旅が「単なる過酷」では無かったのを窺わせ、
(((…………)))
天世組の三人は察した。
一言では言い表せない「何かがあった」のを。
その理解は、三人がラミウムと同じ「百人の天世人」であるがゆえ。
しかも彼は、天世で悪名高きラミウムが召喚した勇者である。
あえての「明るい言動」や「複雑な表情」からも、色々あったであろう事は容易に想像でき、
《気軽に立ち入って良い話じゃナイ》
天世の三人は無言のうちに示し合わせたような配慮から、
「そぉ、それよりぃ「お城の料理」にぃ期待値大だしぃー♪」
「きゅ、宮廷料理ってくらいだからぁラディッシュちゃんの料理を上回るんだよねぇー♪」
「とぉ、当然でしょ?! マズかったら承知しないわよー♪」
話の矛先を、強制逸らし。
そのあからさまで、ド下手な誤魔化しに、
((((((・・・))))))
ドロプウォート達が苦笑を浮かべた一方、ラディッシュは天世組三人の「不器用ながらの心配り」を内心で感謝しつつ、
(ヘンに気を遣わせちゃった……)
動揺が顔や態度に出てしまっていたのに気付かされて、密かに自省した。
表立っての反省は、余計に気を遣わせてしまうと思ったから。
エルブ国の王都エルブレスを目指し進む中、街道の賑わいが次第に増して来て、
「!」
進行方向の「何か」に目を留める、御者台のラディッシュ。
進む先に注意は払ったまま、荷台の誰に言うでもなく、
「町の防壁が見えて来たよ♪」
すると、
『やぁっとぉ着くしぃ~♪』
『シャレオツな女子に期待大だよねぇ~♪』
『ウザぁ。アンタってばホントそればっかぁ』
リンドウ、ゴゼン、ヒレン、天世の三人が荷台から真っ先に顔をのぞかせ、未だ距離を感じる防壁をながめながら、
「でぇも、意外と快適な旅だったしぃ~♪」
「おぅ、それなぁ♪ しかも「用足し」って初体験も出来てぇ~まさか自分の体から、」
「無神経ぇ!」
笑うゴゼンにヒレンが拳で、脇腹に即のツッコミを入れた。
彼の話から自身の姿も思い出し、羞恥の赤面顔で。
下ネタ話に勇者組が苦笑する中、半泣きで脇腹を擦る彼の姿にリンドウは笑いながらの「何の気なし」に、
「ラミウムの時もぉ、こぉんなぁ感じだったのしぃ?」
軽い気持ちの問い掛けであったが、
((((!))))
ギクリとした動きを一瞬見せるラディッシュ、ドロプウォート、パストリスとターナップ。
不意に、傷口を触られたが如くに。
彼女と面識の無い後発組のニプルウォート達も、彼女と四人の間で何があったか話では聞かされていた為、ラディッシュの心中を思い、
「「「…………」」」
表情を曇らせ、微妙な空気に変わった「沈黙の意味」が分からない天世組の三人は、
「「「???」」」
すると業者台で手綱を引くラディッシュが唐突に、
「い、いやぁ~あの時はラミィにぃ、本当に負担を掛けちゃったよぉ~♪」
「「「?!」」」
「馬車も、浄化のチカラも無かったからさぁ~♪ 「空腹と汚染との戦い」みたいになっちゃってさぁ~♪ ホントぉ、ラミィには申し訳ない事をしちゃったよぉ~♪」
今だから「笑える話」として語ったが、その笑顔の横顔には微妙な引きつりがあり、声には上擦りが感じられ、旅が「単なる過酷」では無かったのを窺わせ、
(((…………)))
天世組の三人は察した。
一言では言い表せない「何かがあった」のを。
その理解は、三人がラミウムと同じ「百人の天世人」であるがゆえ。
しかも彼は、天世で悪名高きラミウムが召喚した勇者である。
あえての「明るい言動」や「複雑な表情」からも、色々あったであろう事は容易に想像でき、
《気軽に立ち入って良い話じゃナイ》
天世の三人は無言のうちに示し合わせたような配慮から、
「そぉ、それよりぃ「お城の料理」にぃ期待値大だしぃー♪」
「きゅ、宮廷料理ってくらいだからぁラディッシュちゃんの料理を上回るんだよねぇー♪」
「とぉ、当然でしょ?! マズかったら承知しないわよー♪」
話の矛先を、強制逸らし。
そのあからさまで、ド下手な誤魔化しに、
((((((・・・))))))
ドロプウォート達が苦笑を浮かべた一方、ラディッシュは天世組三人の「不器用ながらの心配り」を内心で感謝しつつ、
(ヘンに気を遣わせちゃった……)
動揺が顔や態度に出てしまっていたのに気付かされて、密かに自省した。
表立っての反省は、余計に気を遣わせてしまうと思ったから。
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