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第五章
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調理を未だ始めず、食材の味を確認してばかりいるラディッシュに、パストリスはおずおずと、
「あ、あのぉ、ラディ……さん。料理人のオジサンはぁ、もぅ三品目が完成しそうなのでぇす……」
顔色を窺うと、緊張の場にあって不意に、
≪大丈夫だから、パストさん♪≫
ラディッシュが久々となるスキル【キラッキラのイケメンスマイル】を発動。
光り輝く「爽やかイケメンスマイル」に、
『はぁう♪』
容赦なくハートを射抜かれるパストリス。
流れ弾は見守るドロプウォート達にも。
被弾した女子たちは、
「ひっ、卑怯ですわぁ♪」
「アンタはぁなんてぇスケコマシな笑顔をぉ見せんのさぁ♪」
「そんなぁ笑顔を見せようとぉ主導権は譲りましぇんでぇすのよぉ♪」
苦言を呈しながらも、そこはかとなく嬉しそうであり、更には野次馬で集まっていた御歴歴の酸いも甘いも噛み分けた、人生経験豊富な女史たちまでもが少女のように両眼をキラつかせ、
『すけこましぃ♪ すけこましぃ♪ チイのパパは「すけこまし」ぃ、なぉ♪』
言葉のリズムが琴線に触れ、笑顔で連呼するチィックウィード。
異性問題には、まだ少し早いか。
娘(仮)の「悪意の無い連呼」に、
「ちょ、ちょっとぉチィちゃぁん!」
慌てて止めるように促す、無自覚ラディッシュ。
仲間たちからの苦言に対しても、
「みんなもヒドイよぉ~」
困惑笑いを見せていると、
『お待たせしたっス、ラディの兄貴ぃ!』
ターナップが、ラディッシュの手提げカバンを手に戻って来た。
しかし、
「ん?」
ふわふわとした空気を漂わせる全ての女性陣と、トゲトゲした空気を漂わせる全ての男性陣を目の当たりに、
「なぁ、何スかぁ、この微妙な空気ぃ? 何かあったんっスかぁ???」
事情が分からない故にキョトンとしていると、ラディッシュは「女たらし扱い」された話の矛先を早々に変えようと、
「あっ、ありがとうぉ、タープさぁん!」
荷物を受け取り、少々無理矢理作ったお茶を濁す笑顔で、
「さっ、さぁパストさぁん♪ 僕達も調理を始めるよぉ~♪」
カバンからケースに入れたマイ包丁を取り出し、調理を始める動きをやっと見せた。
拭いきれない不安を胸に、
「そ、それでラディさぁん、何を作るのでぇす……?」
するとラディッシュは鳥系の胸肉を二、三センチ程のブロック状に切りながら、
「とりあえずパストさんは、球根の形をした野菜を切ってもらえるかなぁ♪」
その笑顔は先程と違い、自然で、穏やかで、春の日向のように優しく、不安は次第に和らぎ、
「は、ハイなのでぇすぅ」
(やっぱりボクは……)
頬をほんのり桜色に染めながら、
「きゅ、球根って、コレなのでぇす?」
玉ねぎを思わせる野菜を手に取ると、
「うん。それを半分に切ったら、先端と根を切り落として、繊維を切る向きで、細切りにしてもらえるかな♪」
「は、ハイなのでぇす……それで、何個を切るでぇす?」
「そうだなぁ~人数分を考えて……」
作業が遅れているにもかかわらず、慌てる素振りも見せず、
(元老院の人の分は三人で、あと、料理長さんとスパイダマグさんと、料理をちゃんと食べられなかった自分たちの分もだから、三+二+七だからぁ……)
呑気に一考し、
「とりあえず十二個を切ってもらえるかな?」
(えっ?! 今から十二個なのでぇす?!!!)
内心で驚くパストリス。
ミネズが既に三品、四品と完成させていく姿を横目にし「間に合うのか」との不安がよぎったが、
(ラディさぁんは、大丈夫と言ったでぇす!)
彼が見せた笑顔を信じ、
「ハイ、なのでぇすぅ♪」
屈託ない笑顔で手を挙げると、早速調理に取り掛かかり、肉を切り、球根を切り、キノコを切り、ひたすら切るだけの二人の様子にミネズは勝ちを確信してか、見下す不敵な笑みを浮かべた。
「あ、あのぉ、ラディ……さん。料理人のオジサンはぁ、もぅ三品目が完成しそうなのでぇす……」
顔色を窺うと、緊張の場にあって不意に、
≪大丈夫だから、パストさん♪≫
ラディッシュが久々となるスキル【キラッキラのイケメンスマイル】を発動。
光り輝く「爽やかイケメンスマイル」に、
『はぁう♪』
容赦なくハートを射抜かれるパストリス。
流れ弾は見守るドロプウォート達にも。
被弾した女子たちは、
「ひっ、卑怯ですわぁ♪」
「アンタはぁなんてぇスケコマシな笑顔をぉ見せんのさぁ♪」
「そんなぁ笑顔を見せようとぉ主導権は譲りましぇんでぇすのよぉ♪」
苦言を呈しながらも、そこはかとなく嬉しそうであり、更には野次馬で集まっていた御歴歴の酸いも甘いも噛み分けた、人生経験豊富な女史たちまでもが少女のように両眼をキラつかせ、
『すけこましぃ♪ すけこましぃ♪ チイのパパは「すけこまし」ぃ、なぉ♪』
言葉のリズムが琴線に触れ、笑顔で連呼するチィックウィード。
異性問題には、まだ少し早いか。
娘(仮)の「悪意の無い連呼」に、
「ちょ、ちょっとぉチィちゃぁん!」
慌てて止めるように促す、無自覚ラディッシュ。
仲間たちからの苦言に対しても、
「みんなもヒドイよぉ~」
困惑笑いを見せていると、
『お待たせしたっス、ラディの兄貴ぃ!』
ターナップが、ラディッシュの手提げカバンを手に戻って来た。
しかし、
「ん?」
ふわふわとした空気を漂わせる全ての女性陣と、トゲトゲした空気を漂わせる全ての男性陣を目の当たりに、
「なぁ、何スかぁ、この微妙な空気ぃ? 何かあったんっスかぁ???」
事情が分からない故にキョトンとしていると、ラディッシュは「女たらし扱い」された話の矛先を早々に変えようと、
「あっ、ありがとうぉ、タープさぁん!」
荷物を受け取り、少々無理矢理作ったお茶を濁す笑顔で、
「さっ、さぁパストさぁん♪ 僕達も調理を始めるよぉ~♪」
カバンからケースに入れたマイ包丁を取り出し、調理を始める動きをやっと見せた。
拭いきれない不安を胸に、
「そ、それでラディさぁん、何を作るのでぇす……?」
するとラディッシュは鳥系の胸肉を二、三センチ程のブロック状に切りながら、
「とりあえずパストさんは、球根の形をした野菜を切ってもらえるかなぁ♪」
その笑顔は先程と違い、自然で、穏やかで、春の日向のように優しく、不安は次第に和らぎ、
「は、ハイなのでぇすぅ」
(やっぱりボクは……)
頬をほんのり桜色に染めながら、
「きゅ、球根って、コレなのでぇす?」
玉ねぎを思わせる野菜を手に取ると、
「うん。それを半分に切ったら、先端と根を切り落として、繊維を切る向きで、細切りにしてもらえるかな♪」
「は、ハイなのでぇす……それで、何個を切るでぇす?」
「そうだなぁ~人数分を考えて……」
作業が遅れているにもかかわらず、慌てる素振りも見せず、
(元老院の人の分は三人で、あと、料理長さんとスパイダマグさんと、料理をちゃんと食べられなかった自分たちの分もだから、三+二+七だからぁ……)
呑気に一考し、
「とりあえず十二個を切ってもらえるかな?」
(えっ?! 今から十二個なのでぇす?!!!)
内心で驚くパストリス。
ミネズが既に三品、四品と完成させていく姿を横目にし「間に合うのか」との不安がよぎったが、
(ラディさぁんは、大丈夫と言ったでぇす!)
彼が見せた笑顔を信じ、
「ハイ、なのでぇすぅ♪」
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