282 / 894
第四章
4-56
しおりを挟む
チィックウィードはダガーと呼ばれる短刀のナイフを左右の手に持ち、幼いながらも俊敏な動きで敵を翻弄しつつ、繰り出される攻撃を次々かわしながら撃破し、守られるだけの存在ではないのを余すところなく披露した。
剣豪サジタリアとグラン・ディフロイスに関しては言わずもがな。
そして仲間たちが切り開いた道を突き進むのは、白き輝きをその身に纏ったラディッシュとドロプウォート。
目指すは、黒狐ハクサン。
しかし彼は、劣勢になりつつある現状を理解できているのか、いないのか、分身体である小黒狐たちの戦いには目もくれず、迫り来る二人だけを真正面で捉え、
『ぼくぉ認めなかったオマエ達などぉぉぉおっぉおぉ!』
九つの黒い尾を長く伸ばし、前後左右、上方からと巧みに襲い掛かり、対して二人は、右に、左に、前に、後ろにと、攻守を目まぐるしく入れ替えながらも、互いの背中を守り、距離を詰めたが、
「「!」」
誘導されたが如く逃げ場を失ったところへ、黒狐ハクサンが待ち構えていたように、
『消えてしまぇぇえぇっぇえっぇ!!!』
獣の大口を開けて牙を剥き出し、
バァオォォオオオォッォオォオォーーーーーーッ!
特大の「黒炎のブレス」を放った。
進路上に居た、小黒狐たちをも巻き込みながら。
迫る強大な黒炎に二人は、
『行くよ、ドロプ!』
『無論ですわ、ラディ!』
臆する事も、怯む事もなく、迎え撃つと言わんばかり、白き輝きの中で剣を構えると、突如目の前に、
『二人だけで何を盛り上がってるのさぁ!』
白き輝きを放つニプルが背を向け立ち、続けて、
『パパ、ママ、不合格なぉ!』
『でぇすでぇすよ!』
『俺らは置いてけぼりっスかぁ、兄貴! 姉さん!』
『二人で格好をつけ過ぎだ、もとい、つけ過ぎですわ!』
チィックウィード、パストリス、ターナップ、カドウィードも、迫る黒炎から二人を守る様に立ちはだかり、
ドォシャアァァアアァッァァーーーーーーッ!!!
五人がかりで受け止め四散させながら、
『『『『『今だァーーーッ!』』』』』
思いを受け取ったラディッシュとドロプウォートは気合の入った表情で頷き、
≪≪天技ィ!≫≫
白き輝きを眩き輝きに増し、パストリスたちに背を押されたが如く、
≪≪(千桜乱舞・炎空斬)ッ!!!≫≫
特大の術を、黒炎の奥に居る黒狐ハクサンを見据えて放った。
即座に射線上から飛び退くターナップたち。
放たれた二人のチカラは黒炎を消し飛ばし、巨大な光りの柱となって唸りを上げて突き進み、立ち塞がる小黒狐たちを蒸発させるが如くに撃ち消しながら突き進み、遂には、
『キィシャアァァァァァアァアアアアアァアアァ!』
黒狐ハクサンをも飲み込んだ。
甲高い悲鳴を上げ、浄化される様に消えて行く黒狐の姿。
その中心核とも言えるハクサンは、白き光の中で髪が、瞳が、本来の薄紫色に戻りつつ、
(あぁ……死なない筈の「ぼくと言う存在」が、次第に消えて逝く……)
浄化される様に消えながら、皮肉にも正気を取り戻し、
(ぼくぁいったい何にこだわっていたんだ……)
ラディッシュ達と共に旅をした日々を思い返しながら、悔やむ様に、
(今となっては、そのこだわりの全てが馬鹿馬鹿しい……)
そして彼は己の身を以て知った、
(そうか……そうだったのか……ラミウムが彼に与えた本当のチカラとは≪天世殺し≫……)
最後に残った天世に対する「悪意の一欠けら」で、
(クックック……やっぱり彼女も、ぼくぅと同じ穴の狢……)
歪んだ笑みを見せながら、
(吉報を待っているよ、ラミウム。地球人の言う「地獄の底」と言う場所でね……)
光の中で完全消滅した。
しかし事態は「これで終わり」ではなかった。
ラディッシュとドロプウォートが撃ち放った天技は、黒狐ハクサンが背後に守っていた謎の秘密兵器にも直撃し、小さい火花がアチコチで飛び始めたかと思うと、
ドォン! ドォオォ! ドドォン!
大爆発へと繋がりそうな、小爆発を次々起こし始め、ラディッシュは勝利の余韻に浸る間もなく、
「こ、これはちょっとマズイんじゃ……」
うろたえ数歩後退ると、
『にっ、逃げますですわよぉおぉぉぉおっぉおっぉ!』
ドロプウォートが血相を変え、仲間たちとサジタリア、そしてグラン・ディフロイスも、
「「「「「!!!」」」」」
「「!!!」」
出口に向かって一斉に駆け出した。
剣豪サジタリアとグラン・ディフロイスに関しては言わずもがな。
そして仲間たちが切り開いた道を突き進むのは、白き輝きをその身に纏ったラディッシュとドロプウォート。
目指すは、黒狐ハクサン。
しかし彼は、劣勢になりつつある現状を理解できているのか、いないのか、分身体である小黒狐たちの戦いには目もくれず、迫り来る二人だけを真正面で捉え、
『ぼくぉ認めなかったオマエ達などぉぉぉおっぉおぉ!』
九つの黒い尾を長く伸ばし、前後左右、上方からと巧みに襲い掛かり、対して二人は、右に、左に、前に、後ろにと、攻守を目まぐるしく入れ替えながらも、互いの背中を守り、距離を詰めたが、
「「!」」
誘導されたが如く逃げ場を失ったところへ、黒狐ハクサンが待ち構えていたように、
『消えてしまぇぇえぇっぇえっぇ!!!』
獣の大口を開けて牙を剥き出し、
バァオォォオオオォッォオォオォーーーーーーッ!
特大の「黒炎のブレス」を放った。
進路上に居た、小黒狐たちをも巻き込みながら。
迫る強大な黒炎に二人は、
『行くよ、ドロプ!』
『無論ですわ、ラディ!』
臆する事も、怯む事もなく、迎え撃つと言わんばかり、白き輝きの中で剣を構えると、突如目の前に、
『二人だけで何を盛り上がってるのさぁ!』
白き輝きを放つニプルが背を向け立ち、続けて、
『パパ、ママ、不合格なぉ!』
『でぇすでぇすよ!』
『俺らは置いてけぼりっスかぁ、兄貴! 姉さん!』
『二人で格好をつけ過ぎだ、もとい、つけ過ぎですわ!』
チィックウィード、パストリス、ターナップ、カドウィードも、迫る黒炎から二人を守る様に立ちはだかり、
ドォシャアァァアアァッァァーーーーーーッ!!!
五人がかりで受け止め四散させながら、
『『『『『今だァーーーッ!』』』』』
思いを受け取ったラディッシュとドロプウォートは気合の入った表情で頷き、
≪≪天技ィ!≫≫
白き輝きを眩き輝きに増し、パストリスたちに背を押されたが如く、
≪≪(千桜乱舞・炎空斬)ッ!!!≫≫
特大の術を、黒炎の奥に居る黒狐ハクサンを見据えて放った。
即座に射線上から飛び退くターナップたち。
放たれた二人のチカラは黒炎を消し飛ばし、巨大な光りの柱となって唸りを上げて突き進み、立ち塞がる小黒狐たちを蒸発させるが如くに撃ち消しながら突き進み、遂には、
『キィシャアァァァァァアァアアアアアァアアァ!』
黒狐ハクサンをも飲み込んだ。
甲高い悲鳴を上げ、浄化される様に消えて行く黒狐の姿。
その中心核とも言えるハクサンは、白き光の中で髪が、瞳が、本来の薄紫色に戻りつつ、
(あぁ……死なない筈の「ぼくと言う存在」が、次第に消えて逝く……)
浄化される様に消えながら、皮肉にも正気を取り戻し、
(ぼくぁいったい何にこだわっていたんだ……)
ラディッシュ達と共に旅をした日々を思い返しながら、悔やむ様に、
(今となっては、そのこだわりの全てが馬鹿馬鹿しい……)
そして彼は己の身を以て知った、
(そうか……そうだったのか……ラミウムが彼に与えた本当のチカラとは≪天世殺し≫……)
最後に残った天世に対する「悪意の一欠けら」で、
(クックック……やっぱり彼女も、ぼくぅと同じ穴の狢……)
歪んだ笑みを見せながら、
(吉報を待っているよ、ラミウム。地球人の言う「地獄の底」と言う場所でね……)
光の中で完全消滅した。
しかし事態は「これで終わり」ではなかった。
ラディッシュとドロプウォートが撃ち放った天技は、黒狐ハクサンが背後に守っていた謎の秘密兵器にも直撃し、小さい火花がアチコチで飛び始めたかと思うと、
ドォン! ドォオォ! ドドォン!
大爆発へと繋がりそうな、小爆発を次々起こし始め、ラディッシュは勝利の余韻に浸る間もなく、
「こ、これはちょっとマズイんじゃ……」
うろたえ数歩後退ると、
『にっ、逃げますですわよぉおぉぉぉおっぉおっぉ!』
ドロプウォートが血相を変え、仲間たちとサジタリア、そしてグラン・ディフロイスも、
「「「「「!!!」」」」」
「「!!!」」
出口に向かって一斉に駆け出した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】能力が無くても聖女ですか?
天冨 七緒
恋愛
孤児院で育ったケイトリーン。
十二歳になった時特殊な能力が開花し、体調を崩していた王妃を治療する事に…
無事に王妃を完治させ、聖女と呼ばれるようになっていたが王妃の治癒と引き換えに能力を使い果たしてしまった。能力を失ったにも関わらず国王はケイトリーンを王子の婚約者に決定した。
周囲は国王の命令だと我慢する日々。
だが国王が崩御したことで、王子は周囲の「能力の無くなった聖女との婚約を今すぐにでも解消すべき」と押され婚約を解消に…
行く宛もないが婚約解消されたのでケイトリーンは王宮を去る事に…門を抜け歩いて城を後にすると突然足元に魔方陣が現れ光に包まれる…
「おぉー聖女様ぁ」
眩い光が落ち着くと歓声と共に周囲に沢山の人に迎えられていた。ケイトリーンは見知らぬ国の聖女として召喚されてしまっていた…
タイトル変更しました
召喚されましたが聖女様ではありません…私は聖女様の世話係です
天才魔導医の弟子~転生ナースの戦場カルテ~
けろ
ファンタジー
【完結済み】
仕事に生きたベテランナース、異世界で10歳の少女に!?
過労で倒れた先に待っていたのは、魔法と剣、そして規格外の医療が交差する世界だった――。
救急救命の現場で十数年。ベテラン看護師の天木弓束(あまき ゆづか)は、人手不足と激務に心身をすり減らす毎日を送っていた。仕事に全てを捧げるあまり、プライベートは二の次。周囲からの期待もプレッシャーに感じながら、それでも人の命を救うことだけを使命としていた。
しかし、ある日、謎の少女を救えなかったショックで意識を失い、目覚めた場所は……中世ヨーロッパのような異世界の路地裏!? しかも、姿は10歳の少女に若返っていた。
記憶も曖昧なまま、絶望の淵に立たされた弓束。しかし、彼女が唯一失っていなかったもの――それは、現代日本で培った高度な医療知識と技術だった。
偶然出会った獣人冒険者の重度の骨折を、その知識で的確に応急処置したことで、弓束の運命は大きく動き出す。
彼女の異質な才能を見抜いたのは、誰もがその実力を認めながらも距離を置く、孤高の天才魔導医ギルベルトだった。
「お前、弟子になれ。俺の研究の、良い材料になりそうだ」
強引な天才に拾われた弓束は、魔法が存在するこの世界の「医療」が、自分の知るものとは全く違うことに驚愕する。
「菌?感染症?何の話だ?」
滅菌の概念すらない遅れた世界で、弓束の現代知識はまさにチート級!
しかし、そんな彼女の常識をさらに覆すのが、師ギルベルトの存在だった。彼が操る、生命の根幹『魔力回路』に干渉する神業のような治療魔法。その理論は、弓束が知る医学の歴史を遥かに超越していた。
規格外の弟子と、人外の師匠。
二人の出会いは、やがて異世界の医療を根底から覆し、多くの命を救う奇跡の始まりとなる。
これは、神のいない手術室で命と向き合い続けた一人の看護師が、新たな世界で自らの知識と魔法を武器に、再び「救う」ことの意味を見つけていく物語。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
聖女の孫だけど冒険者になるよ!
春野こもも
ファンタジー
森の奥で元聖女の祖母と暮らすセシルは幼い頃から剣と魔法を教え込まれる。それに加えて彼女は精霊の力を使いこなすことができた。
12才にった彼女は生き別れた祖父を探すために旅立つ。そして冒険者となりその能力を生かしてギルドの依頼を難なくこなしていく。
ある依頼でセシルの前に現れた黒髪の青年は非常に高い戦闘力を持っていた。なんと彼は勇者とともに召喚された異世界人だった。そして2人はチームを組むことになる。
基本冒険ファンタジーですが終盤恋愛要素が入ってきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる