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第四章
4-12
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そして数分後、
「あ、ありがとう、タープ、さぁん」
苦笑のラディッシュ。
卵黄がキレイに含まれたメレンゲが入った木鉢を手にする傍ら、
「…………」
汗だくで、笑顔で親指立てて見せる、もはや話す事も出来ないターナップ。
そこにあったのは、やり遂げた充実感。
しかし、その様に疲弊した姿を目の当たりにしたハクサンは、ボソッと呟く様に、
「そんなにチカラを入れなくても、手首の返しを使えば、もっと楽に、」
『ハクさん、それは!』
慌てて制止するラディッシュであったが、時すでに遅し、
「まっ、マジかぁ……」
心が折れたターナップは、膝から崩れ落ちた。
気が抜け、意識を失ったのか、身動き一つしなくなった彼を、
((((((おだてられて、ハリキリ過ぎるからぁ……))))))
仲間たちは憐れむ眼差しで見下ろし、
「タープは休ませましょう、ですわぁ」
ドロプウォート達女子組は両手両足を掴んで持ち上げ、竈から少し離して作った寝床に放置した。
若干、邪な、自業自得感が否めなかったから。
ラディッシュは「彼の努力の結晶」であるメレンゲを、穀物の粒をすり潰して粉にした物が入った、もう一つの木鉢にそっと流し込み、メレンゲの泡をなるべく潰さないように、優しくかき混ぜた。
粉っぽさが当然のように残る中、彼は「小分け用のお椀」の内側に、食用に使っている油を塗り、粉っぽいメレンゲを少な目に盛ると、
「「「「「「「「?」」」」」」」」
仲間たちが不思議そうに見つめる前で、竈の中でくつくつと音を立てる、水が三分の一ほど入れられ煮立つ鍋の中に、幾つか浮かべるように静かに置き、最後の仕上げと言わんばかり、鍋に蓋が出来る程の「大き目の木鉢」をドームのように上から被せた。
木鉢を被った鍋の、異様な姿に、
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
戸惑いを隠せない仲間たち。
そんな仲間たちを代表して、
「え、えぇと……ラディ、それは……何なのですの?」
ドロプウォートが窺うように尋ねると、ラディッシュは何の憂いも無く、
「蒸し焼きだよ」
「蒸し焼き?」
以前に、食材を葉で包んで土に埋め「食材が持つ水分」で調理した料理を思い出し、
「前に食した調理法とは、随分違いますわねぇ?」
「うん。こっちは煮立った水の蒸気を使って蒸すんだ。ふんわり火を通す理屈は一緒だから……多分、大丈夫だとは思うよ? でも、失敗したらごめんねぇ」
苦笑しながら、
「それでも今回のは前のと違って、失敗しても一応は食べられるから、食材は無駄にならないよ♪」
そうこう話している間にも、鍋の中から甘い香りが漏れ出て周囲に漂い始め、
「「「「「「「「!」」」」」」」」
否応なし、食欲を刺激されるドロプウォート達。
特にキーメとスプライツは、ラディッシュの手料理を「初めて食す」にもかかわらず、香りだけで既に目を細め、
『『パパ、まだなぉ?!』』
待ち兼ねたご様子で催促。
一方のラディッシュも、計算通りの甘い香りに自信を得て、
「出来たかどうか、ちょっと見てみようかぁ?」
二人に、保護者の様な優しい笑みを見せた。
父親呼ばわりには拒否反応を示してこそいたが、その実、慕われれば、誰だって嬉しいのである。
食い入るように鍋に顔を寄せる幼子二人を前に、蓋代わりの木鉢に手を掛け、
「それじゃ、開けてみるねぇ♪」
そっ~と外してみると、一斉に解き放たれた甘い香りの湯気に、
『『ふぅわぁああぁ♪』』
二人はキラキラした瞳の歓声を上げた。
その喜びようは香りに対してだけでなく、小分けにしたお椀の中で、薄っすら黄色く、ふっくら膨らんだ、地球で言う所の「蒸しパン」か「スポンジケーキ」の様な姿に、
「まぁんまるぅ、なんぉ♪」
「ふわぁふわぁ、なんのぉ♪」
屈託ない笑顔で大喜び。
そんな二人に、ラディッシュは眼を細めながら、
「もぅちょっとだけ待っててねぇ。食べられるか、一応確認してみるから♪」
竹串代わりの細枝を手にして振り返り、
(えっ?!)
驚き顔で一瞬固まった。
そこには、美味そうな香りを漂わせる「未知の料理」を前に、
「「「「「「…………」」」」」」
おあずけ状態の飼い犬を彷彿とさせる顔をした、ドロプウォート達の姿が。
待ち侘びているのは、幼子二人だけではなかったのである。
年端も行かぬ二人を差し置いて「先に有り付く訳にはいかぬ」と、懸命に自制する仲間たち。
流石のハクサンも、幼児二人が相手では自らに我慢を強いていた。
ラディッシュは思わず苦笑しながら、手にした細枝を蒸し料理にプスリ。
一刺しして引き抜き、枝先にメレンゲが付いて来ていないのを確認し、中まで蒸し上がった様子に、
「うん。大丈夫みたい」
熱湯に浸るお椀を慎重に取り出すと、
「まだスゴク熱いと思うから、ちょっとだけ冷まそうね♪」
木皿の上に一先ず置き、残りも一つ一つ取り出し並べ置き、二回戦に突入した。
新たなお椀たちにメレンゲを盛り、次なる準備にかかる中、
『『パパぁ! まだなぉ?!』』
急かす幼子たち。
まだ二分と経っていない気はしたが、愛らしい二つの顔にねだられては首を横に振る事が出来ず、メレンゲを盛ったお椀を熱湯の中に浮かべながら、
「仕方ないなぁ~」
ラディッシュは苦笑しながらも嬉しそうに、
「熱さと味を、一応確認するね♪」
鍋に蓋をすると、完成品のお椀の一つを手に、木製フォークで端っこを小さくヒト掻き。
幼子二人と仲間たちが息を呑んで見守る中で、パクリ。
途端に顔は緩み、
「んふぅうイイ感じぃ~」
満足気な笑みを浮かべると即座に、推し、勧めるように、
「まだ少し熱いから気を付けて食べるんだよぉ♪」
ラディッシュは、待ち切れない様子で「うんうん」頷く二人にも木製フォークを手渡し、渡された二人は「黄色いモコモコ山」にゴクリと喉を鳴らし、そして慎重に、そして小さくヒト掻き。
フォークの上に乗るフワフワを、しばし食い入るように眺めていたが、やがて二人は仲間たちが羨ましそうに見守る前で、何の示し合わせも無く、同時にパクリ。
『『んん♪♪♪』』
至福に満ちた、天使の様な笑みを見せながら、
『『パパは「ゴウカク」なぉ♪』』
合格の本当の意味が分かるのはしばし後の事であるが、この時のラディッシュは素直に、
「ありがとう。喜んでもらえて僕も嬉しいよ♪」
ほのぼのとした「一家団らんの絵」の傍ら、他の大人たちは、
((((((残るは二つ!))))))
目には見えない駆け引きを、繰り広げていた。
第二陣が作成中であるにもかかわらず。
「あ、ありがとう、タープ、さぁん」
苦笑のラディッシュ。
卵黄がキレイに含まれたメレンゲが入った木鉢を手にする傍ら、
「…………」
汗だくで、笑顔で親指立てて見せる、もはや話す事も出来ないターナップ。
そこにあったのは、やり遂げた充実感。
しかし、その様に疲弊した姿を目の当たりにしたハクサンは、ボソッと呟く様に、
「そんなにチカラを入れなくても、手首の返しを使えば、もっと楽に、」
『ハクさん、それは!』
慌てて制止するラディッシュであったが、時すでに遅し、
「まっ、マジかぁ……」
心が折れたターナップは、膝から崩れ落ちた。
気が抜け、意識を失ったのか、身動き一つしなくなった彼を、
((((((おだてられて、ハリキリ過ぎるからぁ……))))))
仲間たちは憐れむ眼差しで見下ろし、
「タープは休ませましょう、ですわぁ」
ドロプウォート達女子組は両手両足を掴んで持ち上げ、竈から少し離して作った寝床に放置した。
若干、邪な、自業自得感が否めなかったから。
ラディッシュは「彼の努力の結晶」であるメレンゲを、穀物の粒をすり潰して粉にした物が入った、もう一つの木鉢にそっと流し込み、メレンゲの泡をなるべく潰さないように、優しくかき混ぜた。
粉っぽさが当然のように残る中、彼は「小分け用のお椀」の内側に、食用に使っている油を塗り、粉っぽいメレンゲを少な目に盛ると、
「「「「「「「「?」」」」」」」」
仲間たちが不思議そうに見つめる前で、竈の中でくつくつと音を立てる、水が三分の一ほど入れられ煮立つ鍋の中に、幾つか浮かべるように静かに置き、最後の仕上げと言わんばかり、鍋に蓋が出来る程の「大き目の木鉢」をドームのように上から被せた。
木鉢を被った鍋の、異様な姿に、
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
戸惑いを隠せない仲間たち。
そんな仲間たちを代表して、
「え、えぇと……ラディ、それは……何なのですの?」
ドロプウォートが窺うように尋ねると、ラディッシュは何の憂いも無く、
「蒸し焼きだよ」
「蒸し焼き?」
以前に、食材を葉で包んで土に埋め「食材が持つ水分」で調理した料理を思い出し、
「前に食した調理法とは、随分違いますわねぇ?」
「うん。こっちは煮立った水の蒸気を使って蒸すんだ。ふんわり火を通す理屈は一緒だから……多分、大丈夫だとは思うよ? でも、失敗したらごめんねぇ」
苦笑しながら、
「それでも今回のは前のと違って、失敗しても一応は食べられるから、食材は無駄にならないよ♪」
そうこう話している間にも、鍋の中から甘い香りが漏れ出て周囲に漂い始め、
「「「「「「「「!」」」」」」」」
否応なし、食欲を刺激されるドロプウォート達。
特にキーメとスプライツは、ラディッシュの手料理を「初めて食す」にもかかわらず、香りだけで既に目を細め、
『『パパ、まだなぉ?!』』
待ち兼ねたご様子で催促。
一方のラディッシュも、計算通りの甘い香りに自信を得て、
「出来たかどうか、ちょっと見てみようかぁ?」
二人に、保護者の様な優しい笑みを見せた。
父親呼ばわりには拒否反応を示してこそいたが、その実、慕われれば、誰だって嬉しいのである。
食い入るように鍋に顔を寄せる幼子二人を前に、蓋代わりの木鉢に手を掛け、
「それじゃ、開けてみるねぇ♪」
そっ~と外してみると、一斉に解き放たれた甘い香りの湯気に、
『『ふぅわぁああぁ♪』』
二人はキラキラした瞳の歓声を上げた。
その喜びようは香りに対してだけでなく、小分けにしたお椀の中で、薄っすら黄色く、ふっくら膨らんだ、地球で言う所の「蒸しパン」か「スポンジケーキ」の様な姿に、
「まぁんまるぅ、なんぉ♪」
「ふわぁふわぁ、なんのぉ♪」
屈託ない笑顔で大喜び。
そんな二人に、ラディッシュは眼を細めながら、
「もぅちょっとだけ待っててねぇ。食べられるか、一応確認してみるから♪」
竹串代わりの細枝を手にして振り返り、
(えっ?!)
驚き顔で一瞬固まった。
そこには、美味そうな香りを漂わせる「未知の料理」を前に、
「「「「「「…………」」」」」」
おあずけ状態の飼い犬を彷彿とさせる顔をした、ドロプウォート達の姿が。
待ち侘びているのは、幼子二人だけではなかったのである。
年端も行かぬ二人を差し置いて「先に有り付く訳にはいかぬ」と、懸命に自制する仲間たち。
流石のハクサンも、幼児二人が相手では自らに我慢を強いていた。
ラディッシュは思わず苦笑しながら、手にした細枝を蒸し料理にプスリ。
一刺しして引き抜き、枝先にメレンゲが付いて来ていないのを確認し、中まで蒸し上がった様子に、
「うん。大丈夫みたい」
熱湯に浸るお椀を慎重に取り出すと、
「まだスゴク熱いと思うから、ちょっとだけ冷まそうね♪」
木皿の上に一先ず置き、残りも一つ一つ取り出し並べ置き、二回戦に突入した。
新たなお椀たちにメレンゲを盛り、次なる準備にかかる中、
『『パパぁ! まだなぉ?!』』
急かす幼子たち。
まだ二分と経っていない気はしたが、愛らしい二つの顔にねだられては首を横に振る事が出来ず、メレンゲを盛ったお椀を熱湯の中に浮かべながら、
「仕方ないなぁ~」
ラディッシュは苦笑しながらも嬉しそうに、
「熱さと味を、一応確認するね♪」
鍋に蓋をすると、完成品のお椀の一つを手に、木製フォークで端っこを小さくヒト掻き。
幼子二人と仲間たちが息を呑んで見守る中で、パクリ。
途端に顔は緩み、
「んふぅうイイ感じぃ~」
満足気な笑みを浮かべると即座に、推し、勧めるように、
「まだ少し熱いから気を付けて食べるんだよぉ♪」
ラディッシュは、待ち切れない様子で「うんうん」頷く二人にも木製フォークを手渡し、渡された二人は「黄色いモコモコ山」にゴクリと喉を鳴らし、そして慎重に、そして小さくヒト掻き。
フォークの上に乗るフワフワを、しばし食い入るように眺めていたが、やがて二人は仲間たちが羨ましそうに見守る前で、何の示し合わせも無く、同時にパクリ。
『『んん♪♪♪』』
至福に満ちた、天使の様な笑みを見せながら、
『『パパは「ゴウカク」なぉ♪』』
合格の本当の意味が分かるのはしばし後の事であるが、この時のラディッシュは素直に、
「ありがとう。喜んでもらえて僕も嬉しいよ♪」
ほのぼのとした「一家団らんの絵」の傍ら、他の大人たちは、
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