ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第三章

3-6

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 その頃――
 元老院の御歴歴を前に、恭しく跪くスパイダマグ。
 ハクサンの連れ戻りに失敗した経緯を丁寧に説明していたのだが、

『何なのだァ! その一団はァ!』

 元老院の一人が声を荒げ、彼に続けとばかり、

「天威に抗う術を持つ者ばかり集めて、いったい奴めは何を考えているのだ!」
「そもそも我々の意に従わぬとは、何たる無礼ぇ!」

 上から目線の不満が次々噴出し、やがて一人が、
「よもや「謀反」でも企てているのではあるまいな……」
 疑心暗鬼に囚われた言葉を漏らすと、跪いたままのスパイダマグが、

(来た!)

 一枚布で隠した素顔の下で小さくニヤリ。

「畏れながら申し上げます」

 跪いたままズイッと半歩あゆみ出て、
「その御懸念も「飛躍ではない」かと存じます」

『『『『『なんとぉ!』』』』』

 慄く御歴歴を前に、

「さりとて」

 一先ずの平静を促し、
「何の確証も無く「百人の天世人の序列一位」を疑っては、他の九十八柱の御方に角が立ちましょう」
 実権は元老院が握っているとは言え、それはあくまで「裏の話」で、公的に天世の行く末を担っているのは、あくまで「百人の天世人」。
 現役を退いてなお権力は手放したくないが、責任ごと、面倒ごとには関わりたくないとの思考の現われであるが、一般の「天世の民」への手前もあるので、

「「「「「確かに……」」」」」

 頷きを見せると、スパイダマグはすかさず、
「では「七草の一人」を御貸し頂けないでしょうか?」
「かつての勇者の一人を、か?」
「御意にございます」
 スパイダマグは敬意を以た頷きを見せ、
「この様な時の為の「飼い殺し」かと存じます」
「「「「「…………」」」」」
 困惑顔で、互いの顔色を窺い合う御歴歴。

 自らが決断する事さえ渋り、
「しかし、だな……」
 一人が躊躇いを見せると、彼はこれから口にする「極めて冷酷な文言」を、異様なほど平静に、
「何かあってもその時は、「その者に」詰め腹を切らせれば良い話かと存じます」
「「「「「「…………」」」」」」
 自分たちに責任が及ばないと知るや否や御歴歴は再び顔を見合わせ、やがて一人が、
「何か策があるのだな?」

(喰いついた!)

 スパイダマグは心の中でニヤリと笑いつつも、表面上は従順に、かつ粛々と、深々と頭を下げ、
「御意にございます」
 元老院に対しては「二心が無い」のを態度で分かり易く示しつつ、

(待っていろぉ、異世界勇者どもめがぁ)

 部下たちの前でかかされた「耐え難き恥」を思い返し、

(貴様らの「仲良しごっこ」は、貴様ら自の手で瓦解を迎えるのだぁ~♪)

 一枚布で隠した素顔は「布の純白さ」と相反し、仄暗く、醜く歪んでいた。
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