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第二章
2-44
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初めて足を踏み入れたフルール国の首都、城下町は薄っすら雪化粧をしつつ、街並みは石畳と木組みの家々で構成され、整然としていて塵の一つも落ちておらず、アチラこちらの街角、軒先、窓辺には季節の花が飾られ、国の名前「フルール」に恥じぬ、華やかな姿と香りで町を美しく彩っていた。
それに加え、何かしらの「祭り」でも近いのか、女性職人たちが赤や、金、煌びやかな装飾を街灯などに飾り付ける姿が、アチラこちらに。
華やいだ町の中をニプルに従い、同人誌即売会会場へ向かうラディッシュ達。
すると「浮足立った町の空気」に当てられ表情の緩んだラディッシュが、荷物を持って歩きながらおもむろに、
「そう言えば、ニプルさんとリブロンさんて、幼馴染か、何かなの?」
「ん? どぅしてそぅ思ったのさ?」
不思議そうに顔だけ振り返る彼女に、
「う~んと、何となく?」
「何だい、そりゃ♪」
「え、えぇと、つまり、気の置けないと言うか、言いたい事が言い合える仲に見えたと言うか……」
感じた思いをそのまま伝えると、
「そぉんなイイモンじゃないさぁ♪」
愉快げに、
「単なる「腐れ縁」ってヤツさ。まぁ同じ孤児院で、同じ時を過ごしたって意味では、幼馴染でもあるのかねぇ?」
小さく笑い、昔を懐かしむ様子で、
「アイツはさ、ガキの頃から「あのまんまの堅物」でさぁ……」
語り始めたが、ラディッシュ達が向ける「微笑まな視線」に気付き、
「うっ、うるさいねぇ!」
照れ隠しの憤慨をして見せ、
「ほら行くよ!」
足を速めた。
その素直ではない背を、クスクス笑い合うラディッシュ達。
少々浮ついた気分になるのは、やはり町全体を包む「華やいだ雰囲気」のせいか。
煌びやかに飾り立てられた家々を目にラディッシュは、
(やっぱり「同人誌即売会」以外にも、何かあるのかな?)
素朴な疑問を持ち、並び歩くドロプウォートに、
「「お祭り」でもあるのかなぁ?」
すると彼女は、
「何かって……」
一瞬だけ意外そうな顔を見せたが、ハッと何かに気付いた様子で、
「ラディが知らないのも、無理ありませんですわね」
「?」
二人の後ろをパストリスと並び歩くターナップも、
「中世では、年末の大掃除の前に「祭り」があるんスよ。呼び名は国や地域によって違うんスけどぉ「一年の憂さ晴らし」って奴っスぁ♪」
パストリスも、
「ボクの村でもやってましたでぇすよぉ♪」
前を行くニプルも、
「フルールだと大人はどんちゃん騒ぎで、ウチらの歳だと「贈り物交換」なんかをしたりするのさ」
「へぇ~」
地球の記憶は失われたままであったが、何となく懐かしさを感じる風習に思わず目を細めると、
『我々はァ! この国における女性との格差是正ぇ! 地位向上を求めぇ! 活動する者であるゥ!』
ほのぼの空気をブチ壊す、熱が籠もり過ぎの野太い声が。
関わり合いになると面倒そうな空気が満載で、それとなく、気付かれない様に、
(…………)
チラリと様子を窺うラディッシュ。
そこには「日本の学ラン」を彷彿とさせる黒い制服を纏った、ガッチリした体躯を持った「いかつい顔した漢たち」が、両手持ちの旗を振りかざし、唾を飛ばしながら喚声を張り上げていた。「蛮カラ風」とでも言えばイメージが容易であろうか。
(ッ!)
スグさま視線を逸らし、
(に、ニプルさぁん、あの(面倒臭そうな)人たちは何ぃ?!)
小声で尋ねると、
「ん? あぁ」
彼女は嫌悪を滲ませながら、
「「地位向上漢会」とか名乗ってる、関わると面倒な連中さぁ」
(やっぱり「面倒な人達」なんだ……)
声を掛けられないのを祈りつつ、
(…………)
ふと湧いた素朴な疑問から、
「あの人達が言う「格差」ってあるの?」
その問いに、ニプルは小さく苦笑してから、
「まぁ、この国は女王制を敷く、女性主体の国だから多少はあるだろうし、そう感じる男連中が居ても不思議な話じゃないさ」
それなりの理解は示した上で、
「けどさ、今のフルール様が在位してからは格差是正に尽力して下さったお陰で、昔ほどじゃないそうだけどさ……」
彼女は少し考えてから、
「なぁラディ」
「?」
「この町に来てみてさ「男が少ない」とは思わなかったかい?」
改めて周りを見渡してみれば、
「…………」
行き交う人々も、作業をする職人も、女性ばかりが目につき、
「言われてみれば……」
確かに少ない。
「この国はさ、周辺国と比べて男女の役割が逆転してるってのもあるけどさ、今のフルール様が在位される前は、酷い女尊男卑があったらしい上に、他国へ移住するのも許されなかったらしくてさ、その反動なのさ」
「みんな逃げ出しちゃったんだ?」
「他所の芝は美味く見えるからなぁ」
小さく苦笑すると、
「まぁ、そういう歴史的背景(負い目)もあって、今のフルール陛下は周囲に迷惑掛けない限り「あぁ言う連中」にも寛大なのさぁ。目の下にクマを作っての作家活動も「本人の息抜き」ってのもあるけどさ、全ては国民を喜ばせたいが為なのさ」
語る笑顔の横顔には、フルールの評価を「自身の評価」の様に喜ぶ様子が窺え、
(前々から思ってたけど、なんかニプルさんて、ラミィとドロプさんを、足して二で割ったような人だなぁ♪)
そう言った親近感を持ったのはラディッシュだけでは無かったらしく、ドロプウォート達も話を聞きながら生温かな眼差しで見つめていたが、四人の視線に気付いたニプルは、
「!」
(はっ、恥ずぅ! ウチ恥ずゥ! 何をペラペラとぉ! 祭りが近いせいで、ウチ浮かれてるぅ?!)
羞恥の真っ赤な赤面顔で、
「せっ、設営時間が足りなくなるから急ぐよぉ!」
照れ隠しに更に足を速め、そんな彼女を小さく笑い合ったラディッシュ達も彼女に続き足を速めた。
それに加え、何かしらの「祭り」でも近いのか、女性職人たちが赤や、金、煌びやかな装飾を街灯などに飾り付ける姿が、アチラこちらに。
華やいだ町の中をニプルに従い、同人誌即売会会場へ向かうラディッシュ達。
すると「浮足立った町の空気」に当てられ表情の緩んだラディッシュが、荷物を持って歩きながらおもむろに、
「そう言えば、ニプルさんとリブロンさんて、幼馴染か、何かなの?」
「ん? どぅしてそぅ思ったのさ?」
不思議そうに顔だけ振り返る彼女に、
「う~んと、何となく?」
「何だい、そりゃ♪」
「え、えぇと、つまり、気の置けないと言うか、言いたい事が言い合える仲に見えたと言うか……」
感じた思いをそのまま伝えると、
「そぉんなイイモンじゃないさぁ♪」
愉快げに、
「単なる「腐れ縁」ってヤツさ。まぁ同じ孤児院で、同じ時を過ごしたって意味では、幼馴染でもあるのかねぇ?」
小さく笑い、昔を懐かしむ様子で、
「アイツはさ、ガキの頃から「あのまんまの堅物」でさぁ……」
語り始めたが、ラディッシュ達が向ける「微笑まな視線」に気付き、
「うっ、うるさいねぇ!」
照れ隠しの憤慨をして見せ、
「ほら行くよ!」
足を速めた。
その素直ではない背を、クスクス笑い合うラディッシュ達。
少々浮ついた気分になるのは、やはり町全体を包む「華やいだ雰囲気」のせいか。
煌びやかに飾り立てられた家々を目にラディッシュは、
(やっぱり「同人誌即売会」以外にも、何かあるのかな?)
素朴な疑問を持ち、並び歩くドロプウォートに、
「「お祭り」でもあるのかなぁ?」
すると彼女は、
「何かって……」
一瞬だけ意外そうな顔を見せたが、ハッと何かに気付いた様子で、
「ラディが知らないのも、無理ありませんですわね」
「?」
二人の後ろをパストリスと並び歩くターナップも、
「中世では、年末の大掃除の前に「祭り」があるんスよ。呼び名は国や地域によって違うんスけどぉ「一年の憂さ晴らし」って奴っスぁ♪」
パストリスも、
「ボクの村でもやってましたでぇすよぉ♪」
前を行くニプルも、
「フルールだと大人はどんちゃん騒ぎで、ウチらの歳だと「贈り物交換」なんかをしたりするのさ」
「へぇ~」
地球の記憶は失われたままであったが、何となく懐かしさを感じる風習に思わず目を細めると、
『我々はァ! この国における女性との格差是正ぇ! 地位向上を求めぇ! 活動する者であるゥ!』
ほのぼの空気をブチ壊す、熱が籠もり過ぎの野太い声が。
関わり合いになると面倒そうな空気が満載で、それとなく、気付かれない様に、
(…………)
チラリと様子を窺うラディッシュ。
そこには「日本の学ラン」を彷彿とさせる黒い制服を纏った、ガッチリした体躯を持った「いかつい顔した漢たち」が、両手持ちの旗を振りかざし、唾を飛ばしながら喚声を張り上げていた。「蛮カラ風」とでも言えばイメージが容易であろうか。
(ッ!)
スグさま視線を逸らし、
(に、ニプルさぁん、あの(面倒臭そうな)人たちは何ぃ?!)
小声で尋ねると、
「ん? あぁ」
彼女は嫌悪を滲ませながら、
「「地位向上漢会」とか名乗ってる、関わると面倒な連中さぁ」
(やっぱり「面倒な人達」なんだ……)
声を掛けられないのを祈りつつ、
(…………)
ふと湧いた素朴な疑問から、
「あの人達が言う「格差」ってあるの?」
その問いに、ニプルは小さく苦笑してから、
「まぁ、この国は女王制を敷く、女性主体の国だから多少はあるだろうし、そう感じる男連中が居ても不思議な話じゃないさ」
それなりの理解は示した上で、
「けどさ、今のフルール様が在位してからは格差是正に尽力して下さったお陰で、昔ほどじゃないそうだけどさ……」
彼女は少し考えてから、
「なぁラディ」
「?」
「この町に来てみてさ「男が少ない」とは思わなかったかい?」
改めて周りを見渡してみれば、
「…………」
行き交う人々も、作業をする職人も、女性ばかりが目につき、
「言われてみれば……」
確かに少ない。
「この国はさ、周辺国と比べて男女の役割が逆転してるってのもあるけどさ、今のフルール様が在位される前は、酷い女尊男卑があったらしい上に、他国へ移住するのも許されなかったらしくてさ、その反動なのさ」
「みんな逃げ出しちゃったんだ?」
「他所の芝は美味く見えるからなぁ」
小さく苦笑すると、
「まぁ、そういう歴史的背景(負い目)もあって、今のフルール陛下は周囲に迷惑掛けない限り「あぁ言う連中」にも寛大なのさぁ。目の下にクマを作っての作家活動も「本人の息抜き」ってのもあるけどさ、全ては国民を喜ばせたいが為なのさ」
語る笑顔の横顔には、フルールの評価を「自身の評価」の様に喜ぶ様子が窺え、
(前々から思ってたけど、なんかニプルさんて、ラミィとドロプさんを、足して二で割ったような人だなぁ♪)
そう言った親近感を持ったのはラディッシュだけでは無かったらしく、ドロプウォート達も話を聞きながら生温かな眼差しで見つめていたが、四人の視線に気付いたニプルは、
「!」
(はっ、恥ずぅ! ウチ恥ずゥ! 何をペラペラとぉ! 祭りが近いせいで、ウチ浮かれてるぅ?!)
羞恥の真っ赤な赤面顔で、
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