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蹂躙に傾きかけた戦場が息を吹き返す中、
「落とし前はつけてもらうよパトリニアァ! プエラリアの下に戻れると思うんじゃないさぁねぇ!」
≪ガルァラァ! 虫の息の「末席」ごときが、尊崇に値する「我が君」をいつまで呼び捨てかぁあぁ!≫
赤眼を大きく見開き、狂気じみた怒りを露わにする黒狼パトリニアに、
「(アンタは)惚れてたダケだろうが腰抜けがァアァ! (アンタこそ)いつまでダチを上様扱いしてんのさぁねぇ!」
ラミウムは一蹴し、
「王様ごっこは「地世だけ」にしておくんさねぇ!」
≪ガルァ! 言わせておけば「セブンスフェイク」の分際でぇ!≫
「!」
それが指すところの意味は不明だが、ラミウムは露骨な不快感を露わに表情を変え、
「おしゃべりが過ぎんさァねぇえぇぇ!」
話を遮る様に大ジャンプ、右拳に白き輝きを収束させ、
「パトリニアァアァァァァァ!」
左頬から殴り飛ばそうとしたが、
≪チィ!≫
黒狼は三本足で大きく飛び退きながら、黒炎の如き体の一部を複数の触手に変化させ、一斉に伸ばして、多方向から同時に襲い掛かったが、
『ナメてんじゃないさぁねぇ!』
ラミウムは白き輝きを両手両足にも収束、迫り来る多数の触手を四肢の打撃で払い除け、着地するなり、彼女の戦いを呆然と眺めていたドロプウォートに、
「アンタはパストと他の連中を助けてやりなぁ!」
「えぇ? パストとぉ?!」
正気を取り戻すと、
『行きましょうでぇす、ドロプぅ♪』
いつの間、傍らにパストリスの笑顔が。
しかし急を要し、未だ正体を明かしていない彼女は、まかり正体(妖人)が知れれば火刑送りも免れない身の上。
「あっ、貴方は平気ですのぉ!?」
ドロプウォートが不安の表情を見せると、
「戦えるチカラがあるのに戦わないなんてぇ、ラミィさんの隣に立つ資格が無い気がしたでぇすぅ♪」
何かが吹っ切れたような笑顔を見せ、黒狼相手に孤軍奮闘するラミウムを見つめる彼女の横顔に、
(……ですわねぇ)
ドロプウォートもあれやこれやと悩むのを止め、
(何があってもパストは、四大の誇りにかけて、私が守って差し上げれば良いだけの話ですわぁ♪)
決意を新たに、頭の中をシンプルに整理すると、
「この場にとどまっていてはラミィの邪魔になりますわねぇ。行きましょうですわ、パストォ!」
「ハイでぇす、ドロプぅ!」
笑顔の二人は次なる戦場を求め駆け出した。
そんな「若き二人の英雄」の背を、笑顔で追うドロプウォートの両親。
ラミウムがその様を嬉しそうにチラ見していると、
≪グゥルァ! 先ずは「我が君の未練」であるオマエの命から絶たせてもらうぅ!≫
「ぬかしぃなやァパトリニアァ! 中世を捨てた「引き篭もり」共の分際でぇ、このラミウム様の命、取れるモノなら取ってみぃなやァ!」
≪誰のせいだと思ってやがぁるゥ!≫
「他に「やりようがあった」と言ってんのさァねぇ!」
≪天世に支配された「この世界(中世)」で、どうやりようがあったとオマエは言う!≫
二人が因縁めいた言い合いをするさ中、立ち去らずに反撃の機会を窺っていた騎士、兵士たちはここぞとばかり、
「動きを止めたぞぉ! ラミウム様に続けぇーーーーーー!」
「「「「「「「「「「オォーーーーーーーーーッ!」」」」」」」」」」
疲労も忘れて気迫の籠もった表情で黒狼の足下へ群がったが、
『お止めぇアンタ達ィ!』
ラミウムが制止を促すのが早いか、
≪ガァルァ! ったくウルセェ羽虫どもぉがぁあ!≫
黒狼は自身の足下に「青白き高温のブレス」を吐き付け、
「「「「「「「「「「うわぁーーーーーーーーー!」」」」」」」」」」
先陣を一掃、後に続いていた騎士、兵士たちは慌てて足を止め、
「何て事だぁ!」
「ヤツは余力を残しているぞぉ!」
黒狼パトリニアは慄く彼らを赤黒き瞳でギロリと睨み付け、再び大きく息を吸い込み、先に中断されたレーザー砲の如き弐射目の体勢に。
「「「「「「「「「「たっ、たたたぁ退避ィイぃィいィィ!」」」」」」」」」」
わらわらと四散する様に逃げ出そうとしたが、既に射程圏内。
≪ガァルラァ! 地世の民の糧となりなァ羽虫どもぉ!≫
大口を開け、彼らの命までも灰燼に帰そうかと言う刹那、
『よそ見とはぁ余裕じゃないさぁねぇ!!!』
ゴォバァキァイィィ!
黒狼パトリニアは下顎に強烈な「打ち上げの一撃」をくらい、口は強引に閉ざされ、口内で急速収束していた地世のチカラは霧散し、
≪ガァルグァ!≫
殴られたダメージを振り払うかのように首を振るっていると、
「パトリニアァ! 雑魚を相手に優越浸ってんじゃないさぁねぇ! 相変わらず小っさい漢だねぇ! このアタシだけを見てなァ!」
白き輝きを纏いて、凛たる立ち姿で見上げるラミウムに、
≪ほざけぇやァ! 口説き文句なら余所でやるんだなァ!≫
「アンタに言えた義理かァ、この「甲斐性なし」がァア!」
≪んだぁとぉ! 昔っからぁオメェは「でりかしー」ってのが無ぇんだよォ!≫
「何が「デリカシー」さぁね! 言葉の意味を分かって使ってるのかァい!」
露骨な罵り合いのとばっちりは、加勢しようとしていた騎士、兵士たちにもおよび、
「アンタ等もアンタ等でぇ余計な手ぇ出してるヒマがあったら! とっとと自分たちの戦にカタァつけたらどうなのさぁねぇ!!!」
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
発破をかけると、彼らは顔を見合わせラミウムの背に一礼。人狼、サイクロプスとの死闘が未だ続く戦場へと駆け出して行った。
ラミウムはその姿を肩越しチラリと見返り、
(ソレで良いのさぁねぇ)
満足そうに小さく笑った。
「落とし前はつけてもらうよパトリニアァ! プエラリアの下に戻れると思うんじゃないさぁねぇ!」
≪ガルァラァ! 虫の息の「末席」ごときが、尊崇に値する「我が君」をいつまで呼び捨てかぁあぁ!≫
赤眼を大きく見開き、狂気じみた怒りを露わにする黒狼パトリニアに、
「(アンタは)惚れてたダケだろうが腰抜けがァアァ! (アンタこそ)いつまでダチを上様扱いしてんのさぁねぇ!」
ラミウムは一蹴し、
「王様ごっこは「地世だけ」にしておくんさねぇ!」
≪ガルァ! 言わせておけば「セブンスフェイク」の分際でぇ!≫
「!」
それが指すところの意味は不明だが、ラミウムは露骨な不快感を露わに表情を変え、
「おしゃべりが過ぎんさァねぇえぇぇ!」
話を遮る様に大ジャンプ、右拳に白き輝きを収束させ、
「パトリニアァアァァァァァ!」
左頬から殴り飛ばそうとしたが、
≪チィ!≫
黒狼は三本足で大きく飛び退きながら、黒炎の如き体の一部を複数の触手に変化させ、一斉に伸ばして、多方向から同時に襲い掛かったが、
『ナメてんじゃないさぁねぇ!』
ラミウムは白き輝きを両手両足にも収束、迫り来る多数の触手を四肢の打撃で払い除け、着地するなり、彼女の戦いを呆然と眺めていたドロプウォートに、
「アンタはパストと他の連中を助けてやりなぁ!」
「えぇ? パストとぉ?!」
正気を取り戻すと、
『行きましょうでぇす、ドロプぅ♪』
いつの間、傍らにパストリスの笑顔が。
しかし急を要し、未だ正体を明かしていない彼女は、まかり正体(妖人)が知れれば火刑送りも免れない身の上。
「あっ、貴方は平気ですのぉ!?」
ドロプウォートが不安の表情を見せると、
「戦えるチカラがあるのに戦わないなんてぇ、ラミィさんの隣に立つ資格が無い気がしたでぇすぅ♪」
何かが吹っ切れたような笑顔を見せ、黒狼相手に孤軍奮闘するラミウムを見つめる彼女の横顔に、
(……ですわねぇ)
ドロプウォートもあれやこれやと悩むのを止め、
(何があってもパストは、四大の誇りにかけて、私が守って差し上げれば良いだけの話ですわぁ♪)
決意を新たに、頭の中をシンプルに整理すると、
「この場にとどまっていてはラミィの邪魔になりますわねぇ。行きましょうですわ、パストォ!」
「ハイでぇす、ドロプぅ!」
笑顔の二人は次なる戦場を求め駆け出した。
そんな「若き二人の英雄」の背を、笑顔で追うドロプウォートの両親。
ラミウムがその様を嬉しそうにチラ見していると、
≪グゥルァ! 先ずは「我が君の未練」であるオマエの命から絶たせてもらうぅ!≫
「ぬかしぃなやァパトリニアァ! 中世を捨てた「引き篭もり」共の分際でぇ、このラミウム様の命、取れるモノなら取ってみぃなやァ!」
≪誰のせいだと思ってやがぁるゥ!≫
「他に「やりようがあった」と言ってんのさァねぇ!」
≪天世に支配された「この世界(中世)」で、どうやりようがあったとオマエは言う!≫
二人が因縁めいた言い合いをするさ中、立ち去らずに反撃の機会を窺っていた騎士、兵士たちはここぞとばかり、
「動きを止めたぞぉ! ラミウム様に続けぇーーーーーー!」
「「「「「「「「「「オォーーーーーーーーーッ!」」」」」」」」」」
疲労も忘れて気迫の籠もった表情で黒狼の足下へ群がったが、
『お止めぇアンタ達ィ!』
ラミウムが制止を促すのが早いか、
≪ガァルァ! ったくウルセェ羽虫どもぉがぁあ!≫
黒狼は自身の足下に「青白き高温のブレス」を吐き付け、
「「「「「「「「「「うわぁーーーーーーーーー!」」」」」」」」」」
先陣を一掃、後に続いていた騎士、兵士たちは慌てて足を止め、
「何て事だぁ!」
「ヤツは余力を残しているぞぉ!」
黒狼パトリニアは慄く彼らを赤黒き瞳でギロリと睨み付け、再び大きく息を吸い込み、先に中断されたレーザー砲の如き弐射目の体勢に。
「「「「「「「「「「たっ、たたたぁ退避ィイぃィいィィ!」」」」」」」」」」
わらわらと四散する様に逃げ出そうとしたが、既に射程圏内。
≪ガァルラァ! 地世の民の糧となりなァ羽虫どもぉ!≫
大口を開け、彼らの命までも灰燼に帰そうかと言う刹那、
『よそ見とはぁ余裕じゃないさぁねぇ!!!』
ゴォバァキァイィィ!
黒狼パトリニアは下顎に強烈な「打ち上げの一撃」をくらい、口は強引に閉ざされ、口内で急速収束していた地世のチカラは霧散し、
≪ガァルグァ!≫
殴られたダメージを振り払うかのように首を振るっていると、
「パトリニアァ! 雑魚を相手に優越浸ってんじゃないさぁねぇ! 相変わらず小っさい漢だねぇ! このアタシだけを見てなァ!」
白き輝きを纏いて、凛たる立ち姿で見上げるラミウムに、
≪ほざけぇやァ! 口説き文句なら余所でやるんだなァ!≫
「アンタに言えた義理かァ、この「甲斐性なし」がァア!」
≪んだぁとぉ! 昔っからぁオメェは「でりかしー」ってのが無ぇんだよォ!≫
「何が「デリカシー」さぁね! 言葉の意味を分かって使ってるのかァい!」
露骨な罵り合いのとばっちりは、加勢しようとしていた騎士、兵士たちにもおよび、
「アンタ等もアンタ等でぇ余計な手ぇ出してるヒマがあったら! とっとと自分たちの戦にカタァつけたらどうなのさぁねぇ!!!」
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
発破をかけると、彼らは顔を見合わせラミウムの背に一礼。人狼、サイクロプスとの死闘が未だ続く戦場へと駆け出して行った。
ラミウムはその姿を肩越しチラリと見返り、
(ソレで良いのさぁねぇ)
満足そうに小さく笑った。
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