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すっきりと晴れ渡った青空の下――
教会の中庭にて、完成した椅子車を取り囲む司祭(ターナップ)、大司祭(彼の祖父)、ドロプウォート、パストリス、満足げなドヤ顔をする親方と弟子、そしてラディッシュの背には、アレほど嫌がっていた筈が、嘘の様に興味津々目を輝かせるラミウムが。
そこに加えて、初登場となる村長の姿も。
大司祭に非礼を詫びさせておいての、今更の登場に、
((((実在してたんだ……))))
皮肉を交えて思うラディッシュたちであったが、今その様な事は些末な話であり、ラミウムはラディッシュの背から身を乗り出し、食い入る様に椅子車を見つめ、
「コイツが完成形なのかぁい?! ドロプが「尻で粉微塵にしたヤツ」とは随分と形が違うさぁねぇ!」
「それは言わないでぇですわぁ!」
頭を抱えるドロプウォートに笑いが起こった。
すると、やおら親方が自慢げに、
「ラミウム様ぁ、アレはあくまで「仮」ですじゃあ」
試作の椅子車は、木製イスに、二つの大きな車輪が単に付けてあるだけの感であったが、完成品は、地面に接する外径の大きな輪と、回す為に手を添える一回り小さい輪がセットになった車輪を左右側面に一つずつ持ち、踵が接する辺りにも椅子車の安定を増す為の、三百六十度回る、小さい車輪が二つ付けられていた。
大きい方の両輪はそれぞれ独立して回せるのは当然の事ながら、車軸には滑らかさを維持しつつ、接触部の摩耗、劣化を低減させる為の、なめした動物の皮に油を十分浸み込ませた物が貼り付けてあり、四輪を固定する木枠部と、ラミウムが腰掛ける椅子部の間には、ラディッシュがバッタの様な昆虫を見て思い付いたと言う、跳ね板(板バネ)が挟み込まれ、走行中にラミウムの体に伝わる振動を軽減させる事も可能としていた。
そして背面と座面には若干の傾斜を付けた上で、厚みのある布が掛けられ、その事により、試作よりも精密に、よりリアルに再現された「ラミウムの体のライン」に合わせた凹凸は隠され、ラディッシュの背のラミウムはご満悦。
「隠し布とは気が利いてるじゃないかぁい♪」
しかし、他にも仕掛けがあるラディッシュと親方は顔を見合わせニヤリ。
「それダケ、じゃないんだなぁ~♪」
椅子車の前で、ラミウムごと椅子車に向かって背を向け屈むと、親方は椅子車が動かない様に後ろで押さえ、
「な、何事さぁねぇ? 座れってのかぁい?」
ラミウムが不思議そうな顔する間もなく、
「?!」
予め相談してあったのか、ドロプウォートとパストリスがラミウムを両脇から抱え上げ、
「キッシッシ。介護みたいで済まないさぁねぇ」
冗談交じりに苦笑する彼女を、椅子車にそっと座らせると、
「おぉう?!」
ラミウムは初めて温水洗浄便座を使った人の様な、緩んだ驚き顔をして、
「硬くないさぁねぇ???」
背中と尻に伝わるフワッとした感触に、不思議そうに厚手布を撫で撫で。
「フカフカしてるでしょ?」
嬉しそうなラディッシュに、
「アタシにゃぁ「ふかふか」の意味は分からないけどぉねぇ、コイツは良いさぁねぇ。もしか綿入りかぁい?」
「長く座って居られる様にね。いくら体の線に合わせて木を削ってはあっても、長時間、直接体に当たってると流石に痛くなるからね♪」
屈託ない笑顔に、親方は感心しきり、
「うんうん。こいつはぁ勇者様の発想なのですじゃぁ」
すると補足する様に、愛らしい容姿を持つ「孫の弟子」が天使の笑顔で、
「これはもぅ『愛』ですねぇ♪」
想像もしていなかった一言に、
((愛ぃいぃ?!!!))
照れからボッと赤くなるラミウムとラディッシュ。ラミウムはすかさず、
「しょ、ショタがぉ馬鹿をお言いでないさぁねぇ!」
((((((((「しょた」って何?))))))))
一同の疑問をよそに、
「こ、コイツはぁぁアタシが異世界から拾って来た、言わばアタシの所有物さぁねぇ! ご主人様であるぅアタシに気遣うのはぁ当り前さねぇ!!」
まくし立てる様に言い訳がましく反論すると、ドロプウォートが嫉妬を多分に含んだジト目で以て、
『何でぇ、ラミィがぁ、その様な言い訳をしていますぅのゥ?』
問う、その眼の奥には、
(羨ましいですわ羨ましいですわ羨ましいですわ『妬ましいですわ』羨ましいですわ羨ましいですわ羨ましいですわ羨ましいですわ羨ましいですわ羨ましいですわ)
「病んだ瞳」に執拗に見入られるラミウム。
逃れる様に、
「うっ、ぅウルサイねぇ!」
プイっと顔を背けつつ、
(あ、アタシはアタシでぇ何を照れてるぅのさぁねぇ!)
激しく自問自答していると、パストリスが唐突に、
「どうしてラディさんは椅子車を作ったんでぇす?」
「え?」
「それって「一人で何処へでも」って理由だけじゃないでぇすよね?」
問いながら短く考え、
「やっぱり重いからぁ?」
『ヤッパリって何だい!』
ラミウムの照れ隠しを多分に含んだツッコミに、
「ひぃう!」
パストリスが反射的に身を縮めると、ラディッシュがポツリと、
「別に重くは無いんだけど……」
((((((((無いんだけどぉ?))))))))
答えを待つ一同。
教会の中庭にて、完成した椅子車を取り囲む司祭(ターナップ)、大司祭(彼の祖父)、ドロプウォート、パストリス、満足げなドヤ顔をする親方と弟子、そしてラディッシュの背には、アレほど嫌がっていた筈が、嘘の様に興味津々目を輝かせるラミウムが。
そこに加えて、初登場となる村長の姿も。
大司祭に非礼を詫びさせておいての、今更の登場に、
((((実在してたんだ……))))
皮肉を交えて思うラディッシュたちであったが、今その様な事は些末な話であり、ラミウムはラディッシュの背から身を乗り出し、食い入る様に椅子車を見つめ、
「コイツが完成形なのかぁい?! ドロプが「尻で粉微塵にしたヤツ」とは随分と形が違うさぁねぇ!」
「それは言わないでぇですわぁ!」
頭を抱えるドロプウォートに笑いが起こった。
すると、やおら親方が自慢げに、
「ラミウム様ぁ、アレはあくまで「仮」ですじゃあ」
試作の椅子車は、木製イスに、二つの大きな車輪が単に付けてあるだけの感であったが、完成品は、地面に接する外径の大きな輪と、回す為に手を添える一回り小さい輪がセットになった車輪を左右側面に一つずつ持ち、踵が接する辺りにも椅子車の安定を増す為の、三百六十度回る、小さい車輪が二つ付けられていた。
大きい方の両輪はそれぞれ独立して回せるのは当然の事ながら、車軸には滑らかさを維持しつつ、接触部の摩耗、劣化を低減させる為の、なめした動物の皮に油を十分浸み込ませた物が貼り付けてあり、四輪を固定する木枠部と、ラミウムが腰掛ける椅子部の間には、ラディッシュがバッタの様な昆虫を見て思い付いたと言う、跳ね板(板バネ)が挟み込まれ、走行中にラミウムの体に伝わる振動を軽減させる事も可能としていた。
そして背面と座面には若干の傾斜を付けた上で、厚みのある布が掛けられ、その事により、試作よりも精密に、よりリアルに再現された「ラミウムの体のライン」に合わせた凹凸は隠され、ラディッシュの背のラミウムはご満悦。
「隠し布とは気が利いてるじゃないかぁい♪」
しかし、他にも仕掛けがあるラディッシュと親方は顔を見合わせニヤリ。
「それダケ、じゃないんだなぁ~♪」
椅子車の前で、ラミウムごと椅子車に向かって背を向け屈むと、親方は椅子車が動かない様に後ろで押さえ、
「な、何事さぁねぇ? 座れってのかぁい?」
ラミウムが不思議そうな顔する間もなく、
「?!」
予め相談してあったのか、ドロプウォートとパストリスがラミウムを両脇から抱え上げ、
「キッシッシ。介護みたいで済まないさぁねぇ」
冗談交じりに苦笑する彼女を、椅子車にそっと座らせると、
「おぉう?!」
ラミウムは初めて温水洗浄便座を使った人の様な、緩んだ驚き顔をして、
「硬くないさぁねぇ???」
背中と尻に伝わるフワッとした感触に、不思議そうに厚手布を撫で撫で。
「フカフカしてるでしょ?」
嬉しそうなラディッシュに、
「アタシにゃぁ「ふかふか」の意味は分からないけどぉねぇ、コイツは良いさぁねぇ。もしか綿入りかぁい?」
「長く座って居られる様にね。いくら体の線に合わせて木を削ってはあっても、長時間、直接体に当たってると流石に痛くなるからね♪」
屈託ない笑顔に、親方は感心しきり、
「うんうん。こいつはぁ勇者様の発想なのですじゃぁ」
すると補足する様に、愛らしい容姿を持つ「孫の弟子」が天使の笑顔で、
「これはもぅ『愛』ですねぇ♪」
想像もしていなかった一言に、
((愛ぃいぃ?!!!))
照れからボッと赤くなるラミウムとラディッシュ。ラミウムはすかさず、
「しょ、ショタがぉ馬鹿をお言いでないさぁねぇ!」
((((((((「しょた」って何?))))))))
一同の疑問をよそに、
「こ、コイツはぁぁアタシが異世界から拾って来た、言わばアタシの所有物さぁねぇ! ご主人様であるぅアタシに気遣うのはぁ当り前さねぇ!!」
まくし立てる様に言い訳がましく反論すると、ドロプウォートが嫉妬を多分に含んだジト目で以て、
『何でぇ、ラミィがぁ、その様な言い訳をしていますぅのゥ?』
問う、その眼の奥には、
(羨ましいですわ羨ましいですわ羨ましいですわ『妬ましいですわ』羨ましいですわ羨ましいですわ羨ましいですわ羨ましいですわ羨ましいですわ羨ましいですわ)
「病んだ瞳」に執拗に見入られるラミウム。
逃れる様に、
「うっ、ぅウルサイねぇ!」
プイっと顔を背けつつ、
(あ、アタシはアタシでぇ何を照れてるぅのさぁねぇ!)
激しく自問自答していると、パストリスが唐突に、
「どうしてラディさんは椅子車を作ったんでぇす?」
「え?」
「それって「一人で何処へでも」って理由だけじゃないでぇすよね?」
問いながら短く考え、
「やっぱり重いからぁ?」
『ヤッパリって何だい!』
ラミウムの照れ隠しを多分に含んだツッコミに、
「ひぃう!」
パストリスが反射的に身を縮めると、ラディッシュがポツリと、
「別に重くは無いんだけど……」
((((((((無いんだけどぉ?))))))))
答えを待つ一同。
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