58 / 892
1-58
しおりを挟む
思わず素っ頓狂な声を上げる二人を前に、ラミウムはフッと小さく笑い、
「良いかい、パスト。アタシがアンタに与えた天世のチカラは、あくまでアンタが中世で生きる為の「枷」なのさぁね」
「枷?」
「おぅさ。アンタが、地世のチカラを飼い馴らせる様になるまでのねぇ」
「で、でぇも……」
自信無く、不安げな表情に、
「飼い方を身に付けな」
「…………」
「そしてチカラを「使うべき時が来た」と思った時、躊躇なく「枷」を外して使うんだ。良いね?」
「はぁい……」
返事を返しつつ、
(ボクなんかに出来るのかな……失望させてしまうんじゃ……)
不安しかない表情に、ラミウムは満面の笑顔で以って、
「自信をお持ちぃな、パスト! アンタは、このアタシが見込んで「チカラを分け与えたオンナ」だよ!」
「え!?」
(もしかしてボクぅ、両親以外の人に初めて評価されたぁ!?)
パストリスは曇りが晴れた様な笑顔を見せ、ラミウムもその表情に満足げな笑みを浮かべつつ、
「ただし!」
「!」
「感情任せに「地世のチカラ」を求め過ぎるんじゃないよ。下手をすると、今の姿に戻れなくなっちまうからねぇ」
「ハぁイ!」
未来を見据える眼差しに、
「良い返事さぁね」
横たわったまま、嬉しそうにパストリスの頭を撫でまわすと、未だ納得出来ない様子でソッポを向くドロプウォートに、
「アンタも分かったかぁい? アンタは、頭はイイが「頭でっかち」に物事を捉え過ぎ過ぎなのさぁね。目先の知識や体裁に囚われて、心の眼まで曇らせんじゃないよ」
「…………」
しかし応えは返らない。
するとパストリスが意を決してバッと立ち上がり、
「ドロプウォートさん!」
右手を差し出し、
「もしボクがまた暴走したらぁ、今度こそアナタの手でぇ、容赦なく斬って下さぁい!」
「………」
決意を以って差し出された右手を、黙って見つめるドロプウォート。
(この子(パストリス)が良い子ですのは十分過ぎるほど分かっていますわ……ですが私は「国と民」を護る四大が一子。危険な要素があると知りながら、それを放置など……)
内なる葛藤に苛まれていると、惑う背中を押す様に、ラディッシュが優しく微笑みながら、
「ドロプウさぁん」
握手を促し、促されたドロプウォートも、
(ラディ……)
心は大きく揺らいだが、
(でも……それでも、やはり私は……)
唇の端をキュッと噛み、凛然とした表情は崩さず、
「言葉だけでなら、何とでも言えますわ」
差出された手を握る事無く背を向け、
「少し一人にして下さいですわ」
家から出て行ってしまった。
握ってもらえなかった右手を胸元で握り、
「…………」
閉ざされた玄関扉を悲し気に見つめるパストリス。
するとそんな彼女の傍らに、ラディッシュが優しく立ち、
「納得は出来ないけど、理解はしてくれるってさ」
微笑みに、
「……はぁい」
不安の残る笑顔を返した途端、
バァン!
閉ざされたばかりの玄関扉が勢いよく跳ね開き、
「家が武装した村人たちに取り囲まれてますわァ!」
血相を変えたドロプウォートが飛び込んで来た。
「「「!」」」
急ぎ扉を閉め、窓辺に駆け寄るラディッシュとパストリス。
窓から、そぉ~と外の様子を窺うと、
「「!!!」」
ドロプウォートの言う通り、家の周囲は既に「中世人の姿となった村人たち」に、遠巻きで囲まれていた。
「良いかい、パスト。アタシがアンタに与えた天世のチカラは、あくまでアンタが中世で生きる為の「枷」なのさぁね」
「枷?」
「おぅさ。アンタが、地世のチカラを飼い馴らせる様になるまでのねぇ」
「で、でぇも……」
自信無く、不安げな表情に、
「飼い方を身に付けな」
「…………」
「そしてチカラを「使うべき時が来た」と思った時、躊躇なく「枷」を外して使うんだ。良いね?」
「はぁい……」
返事を返しつつ、
(ボクなんかに出来るのかな……失望させてしまうんじゃ……)
不安しかない表情に、ラミウムは満面の笑顔で以って、
「自信をお持ちぃな、パスト! アンタは、このアタシが見込んで「チカラを分け与えたオンナ」だよ!」
「え!?」
(もしかしてボクぅ、両親以外の人に初めて評価されたぁ!?)
パストリスは曇りが晴れた様な笑顔を見せ、ラミウムもその表情に満足げな笑みを浮かべつつ、
「ただし!」
「!」
「感情任せに「地世のチカラ」を求め過ぎるんじゃないよ。下手をすると、今の姿に戻れなくなっちまうからねぇ」
「ハぁイ!」
未来を見据える眼差しに、
「良い返事さぁね」
横たわったまま、嬉しそうにパストリスの頭を撫でまわすと、未だ納得出来ない様子でソッポを向くドロプウォートに、
「アンタも分かったかぁい? アンタは、頭はイイが「頭でっかち」に物事を捉え過ぎ過ぎなのさぁね。目先の知識や体裁に囚われて、心の眼まで曇らせんじゃないよ」
「…………」
しかし応えは返らない。
するとパストリスが意を決してバッと立ち上がり、
「ドロプウォートさん!」
右手を差し出し、
「もしボクがまた暴走したらぁ、今度こそアナタの手でぇ、容赦なく斬って下さぁい!」
「………」
決意を以って差し出された右手を、黙って見つめるドロプウォート。
(この子(パストリス)が良い子ですのは十分過ぎるほど分かっていますわ……ですが私は「国と民」を護る四大が一子。危険な要素があると知りながら、それを放置など……)
内なる葛藤に苛まれていると、惑う背中を押す様に、ラディッシュが優しく微笑みながら、
「ドロプウさぁん」
握手を促し、促されたドロプウォートも、
(ラディ……)
心は大きく揺らいだが、
(でも……それでも、やはり私は……)
唇の端をキュッと噛み、凛然とした表情は崩さず、
「言葉だけでなら、何とでも言えますわ」
差出された手を握る事無く背を向け、
「少し一人にして下さいですわ」
家から出て行ってしまった。
握ってもらえなかった右手を胸元で握り、
「…………」
閉ざされた玄関扉を悲し気に見つめるパストリス。
するとそんな彼女の傍らに、ラディッシュが優しく立ち、
「納得は出来ないけど、理解はしてくれるってさ」
微笑みに、
「……はぁい」
不安の残る笑顔を返した途端、
バァン!
閉ざされたばかりの玄関扉が勢いよく跳ね開き、
「家が武装した村人たちに取り囲まれてますわァ!」
血相を変えたドロプウォートが飛び込んで来た。
「「「!」」」
急ぎ扉を閉め、窓辺に駆け寄るラディッシュとパストリス。
窓から、そぉ~と外の様子を窺うと、
「「!!!」」
ドロプウォートの言う通り、家の周囲は既に「中世人の姿となった村人たち」に、遠巻きで囲まれていた。
0
あなたにおすすめの小説
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
異世界立志伝
小狐丸
ファンタジー
ごく普通の独身アラフォーサラリーマンが、目覚めると知らない場所へ来ていた。しかも身体が縮んで子供に戻っている。
さらにその場は、陸の孤島。そこで出逢った親切なアンデッドに鍛えられ、人の居る場所への脱出を目指す。
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる