22 / 894
1-22
しおりを挟む
自身が女性から「好意を向けられた」などとは露も思わず、
(いっ、いきなり二人にソッポを向かれたぁ?!)
慄き、何かしら不始末をしでかしたと思い込み、
(どっ、どうしよう~きっとぉまた何かやらしてぇ怒らせたんだぁあぁぁ~~~)
血の気の引いた青い顔して、
(こ、これは少しでも美味しいゴハンを作って挽回しないと見捨てられるぅ!)
右も左も分からない異世界の、暗い森の奥深く、ポツンと取り残された自身を想像し、
(そ、その為にもぉ!)
引きつり笑顔でおずおずと、
「あ、あのぉ……」
女性二人の顔色を窺いつつ、恐る恐る、
「ちょ、調理するのにナイフがあったらぁ助かるんでぇすけどぉ……」
お伺いを立てる様に尋ねると、未だ赤面と動悸が治まらないドロプウォートが左手で顔を覆い隠したまま、右手で懐から一本の小型ナイフ(隠しナイフ)をサッと取り出し、
「さっ、差し上げますですわ! 新品ですので好きに使うと良いですわぁ!」
顔を見せること無く、柄の方から差し出して来た。
見ようによっては、つれなく突き放す態度に、
(そぅとぅ怒ってらっしゃるぅうぅ~!)
震えあがるラディッシュ。
(いったいぃ、いったい僕はぁ今度はぁ何をしでかしたんだぁあぁぁ~ああぁ!)
激しく衝撃を受け心の中で頭を抱えたが、何をしでかしたか分からないうえに、今更やってしまった何かは取り返しようも無く、少しでも印象を良くしようと精一杯の作り笑顔で、
「あぁ、ありぃがとうぅドロプウォートさぁん」
ナイフを受け取り食材に視線を移すと、
(こっ、これは!)
彼は気付いた。
料理を作る上で、とても重大な「とある不備」がある事に。
更なる怒りを買う可能性に、
(ど、どうしよう……)
悩んではみたもののソレ無くして料理を作るなど不可能であり、腹を括ると、引きつり笑顔で冷や汗を流しつつ、
「そっ、その……つ、ついでにそのぉ……「火」もぉ、起こしてもらえるとぉ……」
するとラディッシュの懸念通り、雑用依頼の連続に、
(なっ!?)
ドロプウォートの中の「四大貴族令嬢」としてのプライドが、首席「誓約者候補生」としての意地が、彼女の怒りの導火線に火を点け、
(これは一言申しませんとぉ!)
厳しく苦言を呈そうと勢いを以って顔を上げたが、彼女は彼女で失念していた。
自身の顔が、ラディッシュのキラキラスマイルに当たられた高揚から、未だ「真っ赤」であった事を。
「!」
気付きはしたが、顔を上げてからでは後の祭り。
(どぉ、ど、ど、ど、どうしましょ! この様な顔を見られては「好意を持たれている」と、誤解されてしまいますですわぁ!)
心の内で激しく狼狽。
その動揺こそ、好意を持ち始めていた気持ちの裏返しに他ならなかったが、国を守る使命を後回しに「男に現を抜かす」など彼女の信念が許さず、ましてや相手は最弱勇者。なおのこと事実と認める訳にはいかず、赤面を「怒りによる物」と誤魔化す為に、
「わっ、ワタクシは「貴方の小間使い」ではなくてよォ!」
不愉快をことさら強調する様に素っ気なくプイッと横を向き、憤慨を猛アピール。
するとその怒り様が、気弱なラディッシュの目には「怒髪冠を衝くが如き怒りよう」に見え、
(ヒィイィィ! 「激怒」していらっしゃるぅぅぅううぅぅう!)
跳ねる様に土下座し、
「ゴメンナサイ! ゴメンナサァイ! ゴメンナサイイ! ゴメンナサアァァァイィ!」
泣きながら平身低頭、何度も頭を上げ下げ平謝り。
その過剰なまでの連続謝罪攻撃に、
(わっ、ワタクシそこまで厳しく怒ったつもりはありませんですわよぉ!???)
ギョッとするドロプウォート。
驚きと共に、自身の羞恥を誤魔化す為に演じた「過剰な不機嫌」であったが故の後ろめたさから、
(い、言い過ぎましたのでしょうか?!)
後悔にも似た戸惑いを覚えていると、更なる追い打ちをかけられる様に、
「!」
ラミウムの批判する様なジト目が。
向けられた「物言いたげな眼差し」に、
(う……)
良心がチクリ。
しかしだからと言って、不機嫌を演じた理由(好意を持ち始めた可能性)を語って聞かせるなど、気高きドロプウォートは口が裂けてもする訳にはいかず、あえてツンとした態度を押し貫き、
「べぇ、別に責めている訳ではありませんですわぁ!」
つれない物言いでお茶を濁すと、落ち込みを見せるラディッシュを前に、
「しぃ、仕方ないですわねぇ! まっ、まったくぅ! 本当に「まったくぅ」ですわぁ」
不承不承である事を強調した上で懐から小袋を取り出し、中に入っていた親指サイズの「黒くて小さな石」二つを、集めた枯れ葉の山の上で「カッカッカッ」と打ち鳴らした。
(いっ、いきなり二人にソッポを向かれたぁ?!)
慄き、何かしら不始末をしでかしたと思い込み、
(どっ、どうしよう~きっとぉまた何かやらしてぇ怒らせたんだぁあぁぁ~~~)
血の気の引いた青い顔して、
(こ、これは少しでも美味しいゴハンを作って挽回しないと見捨てられるぅ!)
右も左も分からない異世界の、暗い森の奥深く、ポツンと取り残された自身を想像し、
(そ、その為にもぉ!)
引きつり笑顔でおずおずと、
「あ、あのぉ……」
女性二人の顔色を窺いつつ、恐る恐る、
「ちょ、調理するのにナイフがあったらぁ助かるんでぇすけどぉ……」
お伺いを立てる様に尋ねると、未だ赤面と動悸が治まらないドロプウォートが左手で顔を覆い隠したまま、右手で懐から一本の小型ナイフ(隠しナイフ)をサッと取り出し、
「さっ、差し上げますですわ! 新品ですので好きに使うと良いですわぁ!」
顔を見せること無く、柄の方から差し出して来た。
見ようによっては、つれなく突き放す態度に、
(そぅとぅ怒ってらっしゃるぅうぅ~!)
震えあがるラディッシュ。
(いったいぃ、いったい僕はぁ今度はぁ何をしでかしたんだぁあぁぁ~ああぁ!)
激しく衝撃を受け心の中で頭を抱えたが、何をしでかしたか分からないうえに、今更やってしまった何かは取り返しようも無く、少しでも印象を良くしようと精一杯の作り笑顔で、
「あぁ、ありぃがとうぅドロプウォートさぁん」
ナイフを受け取り食材に視線を移すと、
(こっ、これは!)
彼は気付いた。
料理を作る上で、とても重大な「とある不備」がある事に。
更なる怒りを買う可能性に、
(ど、どうしよう……)
悩んではみたもののソレ無くして料理を作るなど不可能であり、腹を括ると、引きつり笑顔で冷や汗を流しつつ、
「そっ、その……つ、ついでにそのぉ……「火」もぉ、起こしてもらえるとぉ……」
するとラディッシュの懸念通り、雑用依頼の連続に、
(なっ!?)
ドロプウォートの中の「四大貴族令嬢」としてのプライドが、首席「誓約者候補生」としての意地が、彼女の怒りの導火線に火を点け、
(これは一言申しませんとぉ!)
厳しく苦言を呈そうと勢いを以って顔を上げたが、彼女は彼女で失念していた。
自身の顔が、ラディッシュのキラキラスマイルに当たられた高揚から、未だ「真っ赤」であった事を。
「!」
気付きはしたが、顔を上げてからでは後の祭り。
(どぉ、ど、ど、ど、どうしましょ! この様な顔を見られては「好意を持たれている」と、誤解されてしまいますですわぁ!)
心の内で激しく狼狽。
その動揺こそ、好意を持ち始めていた気持ちの裏返しに他ならなかったが、国を守る使命を後回しに「男に現を抜かす」など彼女の信念が許さず、ましてや相手は最弱勇者。なおのこと事実と認める訳にはいかず、赤面を「怒りによる物」と誤魔化す為に、
「わっ、ワタクシは「貴方の小間使い」ではなくてよォ!」
不愉快をことさら強調する様に素っ気なくプイッと横を向き、憤慨を猛アピール。
するとその怒り様が、気弱なラディッシュの目には「怒髪冠を衝くが如き怒りよう」に見え、
(ヒィイィィ! 「激怒」していらっしゃるぅぅぅううぅぅう!)
跳ねる様に土下座し、
「ゴメンナサイ! ゴメンナサァイ! ゴメンナサイイ! ゴメンナサアァァァイィ!」
泣きながら平身低頭、何度も頭を上げ下げ平謝り。
その過剰なまでの連続謝罪攻撃に、
(わっ、ワタクシそこまで厳しく怒ったつもりはありませんですわよぉ!???)
ギョッとするドロプウォート。
驚きと共に、自身の羞恥を誤魔化す為に演じた「過剰な不機嫌」であったが故の後ろめたさから、
(い、言い過ぎましたのでしょうか?!)
後悔にも似た戸惑いを覚えていると、更なる追い打ちをかけられる様に、
「!」
ラミウムの批判する様なジト目が。
向けられた「物言いたげな眼差し」に、
(う……)
良心がチクリ。
しかしだからと言って、不機嫌を演じた理由(好意を持ち始めた可能性)を語って聞かせるなど、気高きドロプウォートは口が裂けてもする訳にはいかず、あえてツンとした態度を押し貫き、
「べぇ、別に責めている訳ではありませんですわぁ!」
つれない物言いでお茶を濁すと、落ち込みを見せるラディッシュを前に、
「しぃ、仕方ないですわねぇ! まっ、まったくぅ! 本当に「まったくぅ」ですわぁ」
不承不承である事を強調した上で懐から小袋を取り出し、中に入っていた親指サイズの「黒くて小さな石」二つを、集めた枯れ葉の山の上で「カッカッカッ」と打ち鳴らした。
1
あなたにおすすめの小説
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる