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26 真実の謝罪文
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ベルーガ帝国の魔術師達はすでにマリロイド王国内で大活躍をしていた。日照り続きの穀物地帯にたちまち雨を降らせ、倒れた人々を介抱した。
だが、いつまで経っても自然な雨が降らない。それなりに広い王国内に日に日に帝国の魔術師は増えていった。他国の人間に免疫のないマリロイドの王国民達は、最初こそ侵略者だと警戒していたが、感謝と慣れの割合が時が経つほどに増えていき、いつの間にか彼らがいることに何の違和感もなくなっていた。
「国王のベルーガ皇帝嫌いがなければもっと早く救援に来れていたらしいぞ」
「あの王はいつも判断が遅いのだ!」
人々の不満は王へと向かっていった。王にもその声は届いており、彼は日に日に胃の調子が悪くなっていく。だが、今政務を離れることは出来ない。王太子も全くあてに出来なかった。
「陛下、やはり大賢者様に例の魔道具をお願いいたしましょう。それで水不足の問題はかなりの間心配はなくなります」
「だが……!」
「今度こそ! レミリア様に正式な謝罪を!」
「……今更許してもらえるだろうか」
「許してもらうしかありません!」
王も結局それが1番だということはわかっている。すでに彼は自覚していた。冤罪で故郷から追い出されてしまった若い娘の、ただ謝って欲しいという約束すらまともに守ることもできない愚王だと。くだらない王族のプライドを優先させたせいで今割を食っているのは彼の国民達だ。
先日の公爵との言い争いや我が子の堕落ぶりを認識し、ついに自身の目がいかに曇っていたかを自覚したのだ。そして心には、いつの間にかこの国を1番に考えるべき人間に不必要なものがこびりついていた。
「……皇帝に仲立ちを願おう……彼からの話なら大賢者もレミリア嬢も耳を傾けてくれるかもしれん」
「それがよろしいかと」
従者は表情が明るくなった。王がやっと判断してくれて安心したようだ。
だが、災難は続いていた。
「魔物が出たぞー!!!」
「すぐに騎士団を呼べ!!!」
国全体を覆っていた結界も所々ほころびが生じ、強い魔物がそこを破って王国内へ入ってくるようになってしまった。騎士団は西へ東へ南へ北へと連日連夜戦い続けた。結局、相次ぐ魔物の出現で活躍したのは、すでに水不足田愛作の為、各地に散っていたベルーガ帝国の魔術師達だった。
「聖女様は何をされているんだ!?」
「なんでも王都で遊びまわっているらしいぞ?」
「……まともな結界も張らず俺達の税で贅沢三昧かよ」
「あーあ。ベルーガ帝国はいいよなぁ~聖女なしに魔道具で結界を張ってるらしいぜ」
「王国は魔道具じゃダメな理由があるのか?」
ついに聖女の存在価値まで疑問視する者が現れ、聖女に対する信仰心すら薄れていった。教会側への寄付も大きく減ってしまい、神官達も慌てはするが、聖女ユリアの実力以上のことはなにもできなかった。
「王太子様は慰問にも来て下さらない」
「レミリア様がいらしたときは……」
「あの聖女にたぶらかされてからお変わりになってしまった」
ただでさえ急落していた王太子アルベルトの人気はついに地の底まで落ちてしまった。彼への期待が大きかった分、人々はガッカリせずにはいられなかった。
そしてついに国民は真実を知ることになった。王の名で元公爵令嬢レミリアへの謝罪文が再度交付されたのだ。前回とは違い、今度は王が知り得た真実が書かれていた。
「なぜあのような謝罪文を!? あれでは俺、それにグレンやロニーやカイルが悪いようではないですか!」
王太子アルベルトは疲れ果てた顔の父親に何の配慮もなく食って掛かった。その姿を見て王は再び落胆するのだった。もう怒鳴る気も起きなかった。どこかで王であり父である自分が怒鳴れば……怒りを露わにすれば、自省してくれるのではと思っていた。だが期待外れもいいところだ。
「事実だろう」
「……事実ではありません!」
「はあ……もうよい。下がれ」
これ見よがしにため息を吐き、息子を追いやろうとした。
「事実ではありません!!!」
「ではその証拠を提出せよ。聖女の涙などという馬鹿で愚かで間抜けな理由を出せば廃嫡とする」
「なっ!? 本気ですか!!? 俺以上に王に相応しいものがいると!?」
「それはお前が決めることではない。下がれ」
近衛兵に促され、屈辱感の中アルベルトは王の執務室を後にした。
「クソッ! クソッ! 全部あの女のせいだ! レミリアめ! あの優しかった父上に何を言ったのだ!」
ぐちゃぐちゃした謝罪文を更に破き、廊下へとまき散らした。
だが、いつまで経っても自然な雨が降らない。それなりに広い王国内に日に日に帝国の魔術師は増えていった。他国の人間に免疫のないマリロイドの王国民達は、最初こそ侵略者だと警戒していたが、感謝と慣れの割合が時が経つほどに増えていき、いつの間にか彼らがいることに何の違和感もなくなっていた。
「国王のベルーガ皇帝嫌いがなければもっと早く救援に来れていたらしいぞ」
「あの王はいつも判断が遅いのだ!」
人々の不満は王へと向かっていった。王にもその声は届いており、彼は日に日に胃の調子が悪くなっていく。だが、今政務を離れることは出来ない。王太子も全くあてに出来なかった。
「陛下、やはり大賢者様に例の魔道具をお願いいたしましょう。それで水不足の問題はかなりの間心配はなくなります」
「だが……!」
「今度こそ! レミリア様に正式な謝罪を!」
「……今更許してもらえるだろうか」
「許してもらうしかありません!」
王も結局それが1番だということはわかっている。すでに彼は自覚していた。冤罪で故郷から追い出されてしまった若い娘の、ただ謝って欲しいという約束すらまともに守ることもできない愚王だと。くだらない王族のプライドを優先させたせいで今割を食っているのは彼の国民達だ。
先日の公爵との言い争いや我が子の堕落ぶりを認識し、ついに自身の目がいかに曇っていたかを自覚したのだ。そして心には、いつの間にかこの国を1番に考えるべき人間に不必要なものがこびりついていた。
「……皇帝に仲立ちを願おう……彼からの話なら大賢者もレミリア嬢も耳を傾けてくれるかもしれん」
「それがよろしいかと」
従者は表情が明るくなった。王がやっと判断してくれて安心したようだ。
だが、災難は続いていた。
「魔物が出たぞー!!!」
「すぐに騎士団を呼べ!!!」
国全体を覆っていた結界も所々ほころびが生じ、強い魔物がそこを破って王国内へ入ってくるようになってしまった。騎士団は西へ東へ南へ北へと連日連夜戦い続けた。結局、相次ぐ魔物の出現で活躍したのは、すでに水不足田愛作の為、各地に散っていたベルーガ帝国の魔術師達だった。
「聖女様は何をされているんだ!?」
「なんでも王都で遊びまわっているらしいぞ?」
「……まともな結界も張らず俺達の税で贅沢三昧かよ」
「あーあ。ベルーガ帝国はいいよなぁ~聖女なしに魔道具で結界を張ってるらしいぜ」
「王国は魔道具じゃダメな理由があるのか?」
ついに聖女の存在価値まで疑問視する者が現れ、聖女に対する信仰心すら薄れていった。教会側への寄付も大きく減ってしまい、神官達も慌てはするが、聖女ユリアの実力以上のことはなにもできなかった。
「王太子様は慰問にも来て下さらない」
「レミリア様がいらしたときは……」
「あの聖女にたぶらかされてからお変わりになってしまった」
ただでさえ急落していた王太子アルベルトの人気はついに地の底まで落ちてしまった。彼への期待が大きかった分、人々はガッカリせずにはいられなかった。
そしてついに国民は真実を知ることになった。王の名で元公爵令嬢レミリアへの謝罪文が再度交付されたのだ。前回とは違い、今度は王が知り得た真実が書かれていた。
「なぜあのような謝罪文を!? あれでは俺、それにグレンやロニーやカイルが悪いようではないですか!」
王太子アルベルトは疲れ果てた顔の父親に何の配慮もなく食って掛かった。その姿を見て王は再び落胆するのだった。もう怒鳴る気も起きなかった。どこかで王であり父である自分が怒鳴れば……怒りを露わにすれば、自省してくれるのではと思っていた。だが期待外れもいいところだ。
「事実だろう」
「……事実ではありません!」
「はあ……もうよい。下がれ」
これ見よがしにため息を吐き、息子を追いやろうとした。
「事実ではありません!!!」
「ではその証拠を提出せよ。聖女の涙などという馬鹿で愚かで間抜けな理由を出せば廃嫡とする」
「なっ!? 本気ですか!!? 俺以上に王に相応しいものがいると!?」
「それはお前が決めることではない。下がれ」
近衛兵に促され、屈辱感の中アルベルトは王の執務室を後にした。
「クソッ! クソッ! 全部あの女のせいだ! レミリアめ! あの優しかった父上に何を言ったのだ!」
ぐちゃぐちゃした謝罪文を更に破き、廊下へとまき散らした。
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