改編版アストロノートとペテン師

ふしきの

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アベイルとケニアン

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 コイン洗浄のカプセルにしては小さく、入れ子細工にしては、大きすぎる、その巨大なものは、パズルのすべてが外れると、中には人がいました。体に合わせた、古風なスーツと靴を履いている人です。彼は、寝たまま立っていたのです。
 彼はゆっくりを呼吸をしました。
 それに合わせて、棺を空けた方も安心したかのように同じように大きく呼吸をしました。
 彼の濡れた睫毛が動いて目が開いたとたん、彼の額の前に尖ったものが当てられていました。彼は、もう一度一呼吸して、凝ったようなしぐさをしたくなったようですが諦めて、両手を上げて自分はなにもしないという合図を送りながら、とてもゆっくりした口調で安定した発音を心がけるように声を発したのです。
「その、なにか、物騒なものをしまってはくれまいか。目覚めの悪いこの現状が今の私は、理解できないでいるのだが、パーティ会場にしては、暗くて静かすぎる」
 彼、アベイルの目の前に銃らしきものが彼がゆっくりとした姿勢で前方へ歩いて出ると、それが額から胸元へと下げられた状態を維持してまだしっかりと向けられていました。
「ごめんなさい、僕は君のことを良くは知らない。けれども君の棺に書かれていることが現実であるのならこの場で何らかの手を打たねばいけない」
 モノを、向けているケニー、ケニアンは残酷なまでに冷静に構えたつもりでしたが、言葉には自信が無さそうです。
 胸に銃口を落としているのでは、足が上がればその場で逆転はできるのを彼、アベイルは、頭で考えてはいましたが、状態の好奇心に勝てず、今はその情報を集めるのに神経を注ぐことを優先させました。
「棺、とは」
「君は今、僕の手によって長い睡眠から目を覚ましたところで…」
「長いねぇ、目覚めにしては私の身体には悪い感じではないが、何よりも不釣り合いなこの両手にあまり美しくはない腕輪がしっかりとあるのだが、これは外していただけないか、身だしなみを整えることも紳士の務めだと思うのだが、いかがかね、初対面の輝ける瞳を持つ君」と、いってのけたのです。少しばかり押されぎみになった方はすかさず、良い退けます。
「ケニーだ。ケニアンでもいい」
 申し出も許可は降りずそのまま膠着状態が続くなかで、言葉の微妙な違い、彼の幼いが鋭い見分、何より風の流れが四方から出入りしているダクト方向を確認はできるのだがと、アベイルの頭の中がクリアになればなるほど、クサイという刺激も戻ってきました。
「はじめまして、私はアベイル、ごきげんいかが」という口を制してケニーは思わずたずねずにはいられませんでした。「君は本当に重罪人なのか?」という問いに変わっていくのです。
「重罪……思い出すことが少しばかり時間がかかりそうなのだが」
 好奇心にケニーの声はうわずります。
「大丈夫。時間は腐るほどある。それこそ退屈するほど長い時間を一人で過ごすのに飽きて君を見つけたのだから」
「独り? 君は今一人ということなのか」細い首など手を使わなくてもヒト蹴りで折れそうな弱さのケニーの言葉を信じるならそうでしょう。
「君は貨物室の中に積まれていた。目視で確認しても重さ計算で不適切違法改造積載と思ったよ。ここの指示表示で君は懲役五百年の刑がなされているらしいが、アベイル、君はなぜ、どうしてここにいる」
「開けた君が退屈で私を探したというのに、それさえ通り越して」と、言おうとした時、はたと、姿勢を正すように優雅にゆっくりと目を見開いて語りました。
「寝起きで汗臭いのを失礼する。どうか私はアベイル『役に立つ』が理由…かもね」と、言い正しました。
「そうか、『役に立つ』の意味か。国は免罪として罪人を人体実験にでも使うつもりでいたのか。法令の範囲外だ、だが申し訳ない僕は君のことを何一つとして知らない上、思わず、枷をしてしまったが…君はそういう意味では必要としないかもしてないと反省している。すまない、僕は大失敗をしてしまった解く鍵が持ち合わせていない、すまない」
「大丈夫だ。私にそれよりも剣先のように私に向けている、その物騒なものもしまってくれはくれまいか」
 そのまま頭突きでも食らわす方が早いと思ったが、ケニーがまさかの腕が四本あるとはアベイルは思っても見なかったし、しかも、裸体の上に長い間の低体温状態から覚めたばかりで体の真の部分の硬直がなかなか解けず鉛のような骨の重たさに感じ、血の流れが末梢神経に流れる度にみっともないほどしびれがきてしまいました。一歩目で相手から肩と腰を腕が同時に出され貧弱そうなケニーに軽々と抱えられる恥ずかしさを味わい、体に起こる変な浮遊感がアベイルに心と身体の混乱を起こしたのです。
 私の視力は暗闇になれていないのか、この少年のように見えるが実はかなりの若返りを繰り返している識者なのかと、思考を動かして確認しつくしましたが、アベイルの杞憂はすぐに想像をするのを止めました。ケニーは本当に不思議にのぞきこんで彼を見て、心配をしていたし、どんな些細なことも明瞭に答えて言ってくれるのです。
「驚かせてゴメンなさい。これは両腕タイプのサポートベストだよ。処置室は重力がかかっているけれど船は基本弱重力で節電モードだから、無重力に慣れていない人は意外と鬱血しやすいから、一般人は特に絶えずリハビリに内臓自発的に動かさないといけないよ」
「え、え、なに言っているの。ちょっとばかり理解できていない」
「うーん、僕は説明はとても苦手な方なんだ。とてもっていうか、かなり、あまり人と話ができにくほうで…」
「退屈すぎて私を起こしてくれたほどなら大丈夫だ。私は何もかも受け止めて聞こう。ゆっくり焦らず慎重に」
 寝首をかくがごとく、という格言を思い起こしながら、笑うのです。ケニーという少年は身だしなみのせいで若く見えるだけなのかもしれない、知的で素直で愚かではないとアベイルには感じ取れたのです。

「いやちょっと、もう無理、疲れた」
「はい?」
「しゃべることが疲れた、次の二十四時間後で良い?」
「ちょっと待て、私は、この状況のまま?」
「空調は快適だから、流感というものの心配はない、ああ、君が保菌者であるなら、たぶん、空調システムが、眠い」
「快適ではないぞ。君は鼻の穴が詰まっているのか。この臭いは塵と埃と分解される、私の服か!耐えられない苦痛と屈辱感に恥ずかしさがくみされたぞ……」
「ごめんなさい、眠い」
「服ぐらい着せろ」
「…」
「枷を外してくれ」
「それは……ヤダ。寝ているから勝手に宇宙船内を探索して自分で探して…ください」
「え、だから、何、船内、宇宙船内って言った!」
「宇宙、の。ふ…」
「寝るなぁ!!!!」
 歩いて走って、飛んで、空中回転まで素人でも出きるのです。けれどもアベイルはそいう意味では素人ではなかったので、さらに頭は混乱したのです。
 カギ。
 宇宙船。
 弱重力のスキップ歩きのできる長い長いフロア。
「真っ裸は嫌ん」

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