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ティンポラス編
22 北の草原を統べる者
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赤紫の空の下、二人の男が歩いている。
「良かったんですかい? 佐川を置いてきちゃったりして。」
「えぇ、ひどい事しちゃったとは思ってます。でも、彼ならきっと分かってくれる。」
「ふぅん、随分信頼してんですね。」
「まぁオレ以上に、彼がオレを信じてくれるって話ですよ。」
「それにしても店主さんまで置いてくる事はなかったんじゃないかい? あれでも相当強くなってたんですよ。」
「確かに店主さんも尋常じゃない魔法をいくつも身につけてるみたいですけど、北の草原の支配者に魔法が有効なのか正直怪しいところですから。」
「というと?」
「以前の北の草原での戦いの時、ドワーフ達がオレ達の逃げる時間を作るために防御魔法で時間稼ぎをしてくれました。」
「あぁ。」
「あの防御魔法はドワーフたち全員が集まって最後の力を振り絞って展開した魔法に見えましたが、その魔法ですらあの敵の前ではすぐに壊されてしまった。」
「なるほど、だから物理攻撃特化の儂だけ連れてきたってことかい。」
「はい、それに万が一の時に凛を守ってくれる人が必要ですから。」
「なるほどな。けど、儂の物理攻撃だって効くかわからんぞ?」
「ランさんは店主さんの魔法攻撃すらパンチ一発で破壊してましたから、あの紫の攻撃も対処可能なんじゃないかと思って……それに物理攻撃でも無理ならそれこそゲームオーバーですよ。」
オレは冗談めかしく笑う。
「確かにな、儂らでなんとか出来ることを祈るしかないってわけだ。」
「そういう事です。」
「まぁこっちには四天王を全員倒したお前さんがついてくれてるんだ。儂の出番もなく終わっちまうんじゃないかい?」
「ははっ、それは楽観的すぎるんじゃないですか?」
「どうだろうな、まぁ戦ってみれば分かる事だ。……さてと、着いたようだな。」
喋りながら歩いていたオレ達は北の草原を目の前にしていた。
「ここに入ったら速攻で紫色の攻撃が放たれる訳だが……」
「オレはいつでも準備できてますよ。」
オレはオ○ホを握りしめる。
「死んでいったドワーフ達に報いてやらんとな。この戦いが終わったら街のみんなで幸せに暮らす、それが一番の報いだろ。」
「ランさん、ちょっと今のは死亡フラグ感が否めないっすよ。」
「マジで?」
「マジっす。それ言ったやつは九割死にますよ。」
「縁起でもねぇな。じゃ、死なない程度に頑張ろうぜってことで。」
オレ達は互いに少し笑って草原に踏み出した。
「行きましょうか。」
「あぁ。」
数十分前、北の草原の奥に存在する洞穴のような場所へ走っていく一体の骸骨がいた。
「報告します。」
「どうした?」
洞穴の奥にいる男が低い声を出す。
「二人の人間がこの北の草原に向かっているようです。」
「人間? どうしてまた……」
「以前、魔王様が殲滅されたドワーフと人間の連合軍の残党だと考えられます。」
「なるほど、仇討ちか。」
「いかがいたしましょう。」
「まぁ前と同じ方法で処理できるだろう。とりあえず俺がここから攻撃を飛ばす、貴様は可能な限り骸骨供を集めて、草原の入り口付近で待機だ。」
「はっ。」
骸骨は再び草原の入り口へと走っていく。
「人間か……もしかしたら、ありえるかもな。」
魔王と呼ばれたその男は頰杖をつき、気味の悪い笑みを浮かべた。
「良かったんですかい? 佐川を置いてきちゃったりして。」
「えぇ、ひどい事しちゃったとは思ってます。でも、彼ならきっと分かってくれる。」
「ふぅん、随分信頼してんですね。」
「まぁオレ以上に、彼がオレを信じてくれるって話ですよ。」
「それにしても店主さんまで置いてくる事はなかったんじゃないかい? あれでも相当強くなってたんですよ。」
「確かに店主さんも尋常じゃない魔法をいくつも身につけてるみたいですけど、北の草原の支配者に魔法が有効なのか正直怪しいところですから。」
「というと?」
「以前の北の草原での戦いの時、ドワーフ達がオレ達の逃げる時間を作るために防御魔法で時間稼ぎをしてくれました。」
「あぁ。」
「あの防御魔法はドワーフたち全員が集まって最後の力を振り絞って展開した魔法に見えましたが、その魔法ですらあの敵の前ではすぐに壊されてしまった。」
「なるほど、だから物理攻撃特化の儂だけ連れてきたってことかい。」
「はい、それに万が一の時に凛を守ってくれる人が必要ですから。」
「なるほどな。けど、儂の物理攻撃だって効くかわからんぞ?」
「ランさんは店主さんの魔法攻撃すらパンチ一発で破壊してましたから、あの紫の攻撃も対処可能なんじゃないかと思って……それに物理攻撃でも無理ならそれこそゲームオーバーですよ。」
オレは冗談めかしく笑う。
「確かにな、儂らでなんとか出来ることを祈るしかないってわけだ。」
「そういう事です。」
「まぁこっちには四天王を全員倒したお前さんがついてくれてるんだ。儂の出番もなく終わっちまうんじゃないかい?」
「ははっ、それは楽観的すぎるんじゃないですか?」
「どうだろうな、まぁ戦ってみれば分かる事だ。……さてと、着いたようだな。」
喋りながら歩いていたオレ達は北の草原を目の前にしていた。
「ここに入ったら速攻で紫色の攻撃が放たれる訳だが……」
「オレはいつでも準備できてますよ。」
オレはオ○ホを握りしめる。
「死んでいったドワーフ達に報いてやらんとな。この戦いが終わったら街のみんなで幸せに暮らす、それが一番の報いだろ。」
「ランさん、ちょっと今のは死亡フラグ感が否めないっすよ。」
「マジで?」
「マジっす。それ言ったやつは九割死にますよ。」
「縁起でもねぇな。じゃ、死なない程度に頑張ろうぜってことで。」
オレ達は互いに少し笑って草原に踏み出した。
「行きましょうか。」
「あぁ。」
数十分前、北の草原の奥に存在する洞穴のような場所へ走っていく一体の骸骨がいた。
「報告します。」
「どうした?」
洞穴の奥にいる男が低い声を出す。
「二人の人間がこの北の草原に向かっているようです。」
「人間? どうしてまた……」
「以前、魔王様が殲滅されたドワーフと人間の連合軍の残党だと考えられます。」
「なるほど、仇討ちか。」
「いかがいたしましょう。」
「まぁ前と同じ方法で処理できるだろう。とりあえず俺がここから攻撃を飛ばす、貴様は可能な限り骸骨供を集めて、草原の入り口付近で待機だ。」
「はっ。」
骸骨は再び草原の入り口へと走っていく。
「人間か……もしかしたら、ありえるかもな。」
魔王と呼ばれたその男は頰杖をつき、気味の悪い笑みを浮かべた。
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