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異世界転移編
武功
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こんにちは。当時このエピソードは皆さんからすれば「へぇ~」程度だったと思うのですが、作者からすれば結構大事な所だったので新たに加筆しました笑
大雑把に分かりやすくしました笑
(もっと先を読んでる人からすれば、この意味がなんとなーく伝わると思います笑)
しかも最近色々なところで武功が使われるようになりましたよね笑(といっても"この作品"ではそんな詳しいところまで行かないですが)
では!
・
・
・
晩餐会が終わり、次の日。ガゼルの頭はダンジョン攻略の事でいっぱいっぱいだった。主に早く行きたいという方に。
「⋯⋯んんー」
「ご主人様、どうかされたんですか?」
食堂にある机の少し横で、ガゼルは事務用机の上で片肘を乗せ、外の景色を複雑な表情を浮かべながら眺めていた。
そんなガゼルに近くで直立不動のガルとセレーヌが問い掛ける。
「んー?いやな、S級ダンジョンは結構面倒な事になりそうなんだよな」
「というとどういうことが複雑に?」
ガルの疑問にガゼルは1冊の手帳を見せる。書かれてあるのはカルデア以外のS級ダンジョンについての話と地図である。
「まず、情報が明らかに無さ過ぎる。理由は明白だが」
所在情報によると、ウィーレンと王都近郊にそれぞれ一つずつ置いてあり、そこはどれも一定以上の成績とランクが無いと入れない。警備も厳重。こりゃ手詰まり。
「かといってカルデアのダンジョンも無断に入るわけにはいかない。どうにか入る為の許可証が必要なんだよな」
「なるほど。そういう事ですか」
「あぁ。いくら実力があるって言っても、他のやつもおんなじ事を言って死んだやつなんてゴマンといるだろう。そんな簡単に入れる訳がない」
「仰る通りです。冒険者に掟が出来たのもそこからが理由です」
「やっぱり。死亡者数が跳ね上がるのは明白だからな」
「では、どうにか潜入して⋯⋯⋯⋯」
「出来なくはないが、却下になる。バレた時のリスクがでか過ぎる」
今の俺は商店をおっきく構えてる。そう簡単にリスクを犯してまでやる必要はない。
「確かに手詰まりですね」
「あぁ。ダンジョンを攻略したいのは山々だが、これじゃ意味が無い。商店を先に広げたのは微妙だったな」
暴論が通じない。こりゃダルい。
「何か案があればいいんだが⋯⋯⋯⋯」
「ここ単純な話でいきませんかご主人様?」
「⋯⋯ん?」
「ご主人様は大事なことをお忘れになっているのでは?」
「ほう?一体なんだ?」
「賄賂ですよ、賄賂。少し金を握らせればなんとかなりますよ」
「⋯⋯忘れていたな」
久しぶりにこんな清々しいくらい笑えるやり方を聞いたな。確かに昔死ぬほどやっていたが、こっちに来てからだいぶ普通の事をしかやって来なかったおかげで、すっかり忘れていた。
「よし、さっさと動くとするか」
・
・
・
時間は過ぎ深夜。あれからガゼルは賄賂に大成功。多めの金額で門番を懐柔することに成功し、すぐに攻略する為に日付指定は万全。
日付は回ったが、今日の昼頃出発予定だ。
「⋯⋯とりあえず俺はいつも通り体を整えないと」
修練場にやってきた俺。
やりたいことは一つ。
この世界にあるのかわからないのだがつい先日会った亜人の使う闘気に非常に酷似していた。
胡座を組み両目を閉じたガゼルの体から少しずつ薄い膜が出来上がっていき、赤紫色の膜に変わって濃くなっていく。
「ふぅ⋯⋯さて、」
体に流れている氣の流れを清浄させていく作業に取り掛かる。
転移してから⋯⋯やっとまともに修練できる時間が出来た。これで俺もやっと安心してダンジョン攻略が出来る。
この世界に来てからずっとステータス頼りの戦いばかりで恥ずかしくなっていたところだった。
"体の中に流れるすべてを感じろ"
"丹田の器作りの開始だ"
用意してある洗浄された火を吸い込み、作業は始まる。
「ふぅ⋯⋯」
大量の汗が滲む。体の中に流れる内功の多くが活性化し丹田へと急速に集束していく。
流れていく工程で清浄作業は終了する。
そう当たり前のように言うガゼルだが、本来そんな事を当然のように出来ない。これは彼だから出来る芸当であり、普通に行っていれば数年は掛かる超作業である。
魔法はおかしい。
こんなふわふわ純度が薄いもので使い物になんてならないのに。
やっぱり内功でなければ意味がない。
俺達修練者がやって来たように超高純度で行われる清浄作業によって丹田に作られた器に溜め込み、真の修練者となっていく。
魔法も悪い訳ではないが、やっぱりこっちだな。魔法は後!ひとまずこっちから解決していかないと。
S級ダンジョンが終われば、魔法も同じように──検証と実験のオンパレードとなるだろう。今のままでは想定外のことに対処ができない。馴染んでいないから。
瞳を閉じているガゼルの体内では、炎の魔神と赤黒い人型が戦っていた。
この現象は内功修練者の多くに見られ、火を扱う属性の内力と修羅と呼ばれる神門創一が作った全てが詰まっている魂によって力の増幅が行われる魔功に近い新たな門派による力だった。
火の属性の力が眠るこの内力は体の骨格を更に強化させる物だ。
今の強度から2倍から三倍に増幅させ、骨格を新たに作り上げる事である。
炎の魔神が赤黒い修羅の人型を拒否している。力の反発のせいでガゼルの表情が歪む。
「⋯⋯ったく面倒をかけるな」
更に丹田へ正確な量を流し込み、2つの人型が納得するように抑え込む。
2つのヒト型が5対5の均等になるように見事棲み分けが終わり、ガゼルの体内に流れる力が安定し始める。
「はぁ⋯⋯やっとか」
作業時間は二時間。制御、骨格の再構成に時間が掛かったな。
「鏡がねぇから微妙だが、多分伸びただろう」
修羅と火蓋功の相性は最悪だが上手く行けばこうして色々すっ飛ばして事を行える。上手く行ってよかった。
「汚ったね」
周りは体から出てきた汚物でいっぱいだ。清浄作業は体の老廃物を強制的に外へと押し出す。
「⋯⋯ふぅっ!!」
試し打ちの正拳突き。腰を落とした一撃は山一つが吹っ飛びそうな轟音に音が変わり、感触を確かめたガゼルはそうそうこれと頷く。
「これなら今日のダンジョン攻略も楽ちんだ」
と、俺は修練場を背に部屋に戻って準備を始めた。
大雑把に分かりやすくしました笑
(もっと先を読んでる人からすれば、この意味がなんとなーく伝わると思います笑)
しかも最近色々なところで武功が使われるようになりましたよね笑(といっても"この作品"ではそんな詳しいところまで行かないですが)
では!
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晩餐会が終わり、次の日。ガゼルの頭はダンジョン攻略の事でいっぱいっぱいだった。主に早く行きたいという方に。
「⋯⋯んんー」
「ご主人様、どうかされたんですか?」
食堂にある机の少し横で、ガゼルは事務用机の上で片肘を乗せ、外の景色を複雑な表情を浮かべながら眺めていた。
そんなガゼルに近くで直立不動のガルとセレーヌが問い掛ける。
「んー?いやな、S級ダンジョンは結構面倒な事になりそうなんだよな」
「というとどういうことが複雑に?」
ガルの疑問にガゼルは1冊の手帳を見せる。書かれてあるのはカルデア以外のS級ダンジョンについての話と地図である。
「まず、情報が明らかに無さ過ぎる。理由は明白だが」
所在情報によると、ウィーレンと王都近郊にそれぞれ一つずつ置いてあり、そこはどれも一定以上の成績とランクが無いと入れない。警備も厳重。こりゃ手詰まり。
「かといってカルデアのダンジョンも無断に入るわけにはいかない。どうにか入る為の許可証が必要なんだよな」
「なるほど。そういう事ですか」
「あぁ。いくら実力があるって言っても、他のやつもおんなじ事を言って死んだやつなんてゴマンといるだろう。そんな簡単に入れる訳がない」
「仰る通りです。冒険者に掟が出来たのもそこからが理由です」
「やっぱり。死亡者数が跳ね上がるのは明白だからな」
「では、どうにか潜入して⋯⋯⋯⋯」
「出来なくはないが、却下になる。バレた時のリスクがでか過ぎる」
今の俺は商店をおっきく構えてる。そう簡単にリスクを犯してまでやる必要はない。
「確かに手詰まりですね」
「あぁ。ダンジョンを攻略したいのは山々だが、これじゃ意味が無い。商店を先に広げたのは微妙だったな」
暴論が通じない。こりゃダルい。
「何か案があればいいんだが⋯⋯⋯⋯」
「ここ単純な話でいきませんかご主人様?」
「⋯⋯ん?」
「ご主人様は大事なことをお忘れになっているのでは?」
「ほう?一体なんだ?」
「賄賂ですよ、賄賂。少し金を握らせればなんとかなりますよ」
「⋯⋯忘れていたな」
久しぶりにこんな清々しいくらい笑えるやり方を聞いたな。確かに昔死ぬほどやっていたが、こっちに来てからだいぶ普通の事をしかやって来なかったおかげで、すっかり忘れていた。
「よし、さっさと動くとするか」
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時間は過ぎ深夜。あれからガゼルは賄賂に大成功。多めの金額で門番を懐柔することに成功し、すぐに攻略する為に日付指定は万全。
日付は回ったが、今日の昼頃出発予定だ。
「⋯⋯とりあえず俺はいつも通り体を整えないと」
修練場にやってきた俺。
やりたいことは一つ。
この世界にあるのかわからないのだがつい先日会った亜人の使う闘気に非常に酷似していた。
胡座を組み両目を閉じたガゼルの体から少しずつ薄い膜が出来上がっていき、赤紫色の膜に変わって濃くなっていく。
「ふぅ⋯⋯さて、」
体に流れている氣の流れを清浄させていく作業に取り掛かる。
転移してから⋯⋯やっとまともに修練できる時間が出来た。これで俺もやっと安心してダンジョン攻略が出来る。
この世界に来てからずっとステータス頼りの戦いばかりで恥ずかしくなっていたところだった。
"体の中に流れるすべてを感じろ"
"丹田の器作りの開始だ"
用意してある洗浄された火を吸い込み、作業は始まる。
「ふぅ⋯⋯」
大量の汗が滲む。体の中に流れる内功の多くが活性化し丹田へと急速に集束していく。
流れていく工程で清浄作業は終了する。
そう当たり前のように言うガゼルだが、本来そんな事を当然のように出来ない。これは彼だから出来る芸当であり、普通に行っていれば数年は掛かる超作業である。
魔法はおかしい。
こんなふわふわ純度が薄いもので使い物になんてならないのに。
やっぱり内功でなければ意味がない。
俺達修練者がやって来たように超高純度で行われる清浄作業によって丹田に作られた器に溜め込み、真の修練者となっていく。
魔法も悪い訳ではないが、やっぱりこっちだな。魔法は後!ひとまずこっちから解決していかないと。
S級ダンジョンが終われば、魔法も同じように──検証と実験のオンパレードとなるだろう。今のままでは想定外のことに対処ができない。馴染んでいないから。
瞳を閉じているガゼルの体内では、炎の魔神と赤黒い人型が戦っていた。
この現象は内功修練者の多くに見られ、火を扱う属性の内力と修羅と呼ばれる神門創一が作った全てが詰まっている魂によって力の増幅が行われる魔功に近い新たな門派による力だった。
火の属性の力が眠るこの内力は体の骨格を更に強化させる物だ。
今の強度から2倍から三倍に増幅させ、骨格を新たに作り上げる事である。
炎の魔神が赤黒い修羅の人型を拒否している。力の反発のせいでガゼルの表情が歪む。
「⋯⋯ったく面倒をかけるな」
更に丹田へ正確な量を流し込み、2つの人型が納得するように抑え込む。
2つのヒト型が5対5の均等になるように見事棲み分けが終わり、ガゼルの体内に流れる力が安定し始める。
「はぁ⋯⋯やっとか」
作業時間は二時間。制御、骨格の再構成に時間が掛かったな。
「鏡がねぇから微妙だが、多分伸びただろう」
修羅と火蓋功の相性は最悪だが上手く行けばこうして色々すっ飛ばして事を行える。上手く行ってよかった。
「汚ったね」
周りは体から出てきた汚物でいっぱいだ。清浄作業は体の老廃物を強制的に外へと押し出す。
「⋯⋯ふぅっ!!」
試し打ちの正拳突き。腰を落とした一撃は山一つが吹っ飛びそうな轟音に音が変わり、感触を確かめたガゼルはそうそうこれと頷く。
「これなら今日のダンジョン攻略も楽ちんだ」
と、俺は修練場を背に部屋に戻って準備を始めた。
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