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外伝  章努の話 

待っている間に思い出す

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 バイエンス氏がカードを2枚手に取り、
「おお!どうなっているのだか!いやあ未だ信じられませんなあ!」

 そんな事を言っているが、俺はふと思い出した。
 そう言えばどさくさで石板だっけか?あれも持ってきていたんだっけ。
「そういえば、このカードを貰った時に血を滴らせ石板へ置いたんだが、あれ今あるんだが。」

 俺はカードを見て思い出したので、深く考えずそう言ったのだが、バイエンス氏はカードの時以上に驚き、
「ショー殿はあの石板を所有しているので?」
「ああ、出そうか?」
「是非お願いします!」
 俺はこれを見せる事で、今後起こりえる事を全く考えておらず、予想もしていなかった。

 そして取り出す。
「おお!素晴らしいですな!どれどれ・・・・おお!まさしくこれは本物の【運命の石板】でございますが、どうやってこれを個人で所有しているのでしょう?」

 何だ?この石板そんな名前があるのか?しかも個人で所有している奴はいない?
 だが勝手に持ち出し・・・・ゲフンゲフン、俺は不当に拘束されたんだ。あの時慌ててしまったが、決してどさくさで持ち出した訳じゃないぞ?いや、確信犯だって?
 俺はあの後簀巻きにされたんだ。これぐらいいいじゃないか。
 そんな事を思っているとバイエンス氏は何を思ったのか、一つの提案を。

「ショー殿、このカードひょっそしたらひょっとしますぞ?」
「何はひょっと何だよ。何をしたいんだ?」
「私こう見えて秘密は守る主義でございまして。このカード、死体のカードでございますが、ショー殿はこのカードの人物に成りすます事ができるかもしれませぬ。」

「あ?何を言っているんだ?」

「ショー殿に隠し事は致しませぬ。私は商売人として最も重要なスキルの一つ、鑑定のスキルを所有しておりまして。こちらにある2枚のカードを鑑定させて頂きました。」

 カードを鑑定?どうなるんだ?
「因みに商人というのは情報が命でございまして。そして王都でどうやら大変な問題が発生した様子。このカードで別人に成りすます事ができますぞ?」

 うん?どういう事だ?このおっさん胡散臭いと思っていたが、胡散臭いとかそういうレベルじゃないな。
「入れ替わったとして俺とあんたにどういうメリットがあるんだ?」

 商人というからには、金にならなければ損をするから、何かあるのだとは思うが、聞いてみる。

「ショー殿、貴方にはどうやら普通の人とかけ離れた何かを感じます。そして私、ショー殿に恩を売る事でショー殿と誼を得、お助けする事で今後大いなる利益を生むと考え、このような提案をした次第でございますよ?」
 うわ!怪しさを飛びぬけてるぞ。
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